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閑話 クー太2

連続投稿十本目です!


クー太視点2話目です〜。

 

 だれ!?


『『落ち着きなさい』』


 そこには怒ったハクとクレナイがいた。ハクがランを。クレナイがボクを殴ったらしい。しかもいつの間にか魔物の姿に戻っている。


『だってー…』


『例え、ご主人様の身に何か起こったとしても。あそこにいる魔物たち…一番強い個体でも私たちと同じくらいの魔物にご主人様が手も足も出ずに負けるなんてあり得ないでしょう。落ち着きなさい。貴方たちが取り乱して、あいつらを相手にしている時間の方が無駄よ』


 ハクがいつにも増してキツい言い方をしてくる。歯も剥き出しで…でもボクに怒ってるんじゃないね…。ボクたちと一緒。訳もわからずご主人様が害されたかもしれないことに。防げなかった自分に怒ってる。


『ごめん…』


『…悪かったわ』


「もー! なの! クー太君とランちゃんが暴れたらワタシじゃ止められないの。ひやひやなの!」


『ラックもごめんー……ラックは落ち着いてるね』


 なんでこんなに落ち着いてるんだろう…?


「だってご主人様とのパスは切れてないの。少し薄くなってる感じはするけど、問題ないの」


 パス…あ、ほんとだ。ご主人様を感じる…けど薄い…。

 ハクもクレナイも落ち着いてる理由もそれかな…?


 他の皆を見てみる。


 アキは…多分状況を理解してないのかなー? ポカンってしてるー。

 フェリは慌ててるかな? 動いてないし何も喋らないけど多分テンパってる、かなー?

 アメリは毛を逆立てて…怒ってるの? なんだろうー? 

 最近仲間になった子達も多分動揺してる。さっきは周りを見る余裕がなかったから気づかなかったけど、落ち着いてるのはクレナイとハク、それとラックだけみたい。


『なにが起こったのかはわかりませんが…落ち着きましょう。あの魔物たちをどうにかするにしてもご主人様がいないと無傷で、というわけにはいかないでしょうし、ご主人様がテイムしたがらないわけありませんから勝手に殺すのは少し待ちなさい』


『『はい…』』


 ハクの言う通りだ…。


『でもどうするの?』


『とりあえず巨大鳥…あの魔物に助力可能か聞いてみましょう。可能なら拠点近くで迎撃。拠点まで来たら殺してしまってもいいでしょう。ご主人様も仕方ないと言ってくれます。クレナイさんはそれでいいですか?』


 ハクは強いなー…。


『はい。それが良いかと。ただご主人様の行方を探すか、待つか…どうしましょうか』


「大丈夫なの! 離れてるけど元気なのは確かなの! 放っておけば戻ってくるの」


 ラックはご主人様から産まれたからボクらよりご主人様とのパスが強いのかな? ボクには元気とか遠いとかはわからないからちょっと悔しい…。


 拠点に戻って、皆と別れて拠点にいる魔物と人間さんにご主人様のことを伝えに行く。ボクも鳥さんのところに行きながらご主人様がいないかと探してみるがやっぱりいない。


『ねぇー。鳥さんはご主人様がどこ行ったかわからないー?』


『突然消えた、と言ったな? そういった技を使える者は知っているが…あやつを攫う意味がないしな。それにこの山の何処かにいるのならすぐ戻るだろう』


『そっかー…。近くにはいないんだね…』


『なに。心配することはない。お前たちの主人はそんな柔ではないだろう』


『うん…うん。ご主人様は強いよー。でもこのまま戻って来なかったらボクどうすればいいのかなー』


 ご主人様がいなくなる。考えたくない。そんなことになったらボクはどうすればいいんだろう。ずっと一緒だと思ってたのに…。


 《はいはーい! マコト君の魔物とご家族、協力者と被保護者の皆聞こえるかい?》


『だれ!?』


 聞いたことのない声! 敵!? 

 周りを見渡すけど仲間しかいない。


『…誰だ』


 鳥さんが物凄く怖い声を出す。鳥さんの知り合いでもない?


 《僕は神様だよ! それでマコト君はちょっと借りてるから心配しなくていいよ。ただ少しの間戻らないからこうして君らに話しかけてる。それと…ガルーダ。君は協力者ということでこうやって報告しているだけだ。彼を気に入っているんでしょ? なら僕に対する敵意はあまり抱かない方がいいと思うよ?》


 ガルーダ?? ガルーダってなんだろ?

 それより鳥さんがさっきより鋭い目で舌打ちしてる。貫禄があっていいなーって思う。ボクもキッて感じで目を細めてみたら貫禄でるかな??


『ん…? 少しの間戻らない…?』


 少しの間戻らないって言ったよね? ならご主人様はちゃんと戻ってくる…?


 《クー太君もランちゃんも、他の皆もそんな心配しなくても戻ってくるから安心してね》


 信じて良いのかな…?


 《それと、さっきまでいた魔物の大群はマコト君のために隔離しておくから安心してね。あとは…今進化できる子たちはマコト君が選ぶだろう種族に進化させておいてあげる》


 隔離? ご主人様のため? この声はやっぱり敵じゃないってことで良いのかなー?


 周りにいた仲間たちがどんどん光に包まれていく。

 進化いいなー。ボクはまだできないのかあ…。


 《ではでは! またねー!》


 えー? 行っちゃうの? ご主人様がどこにいるか教えて欲しかったな…。


 それから何日も経った。


 ご主人様のお母さんとお父さんが気晴らしに狩り以外もやろうとボクらを誘ってくれて、ハクとラックは刺繍? 編み物? 詳しくはわからないけどそんなことをしてる。

 クレナイはお父さんと一緒に小屋を作ったり、ご主人様が作った壁の外にあるお風呂に入るところに手を加えたりと色々している。

 ボクとランもスキルの練習とか、お母さんと街に行ったり、お父さんが作った丸い円盤を追いかける遊びをしてみたり、人型に変化してクレナイとお父さんのお手伝いをしてみたり…でも狩りをしないと落ち着かないからたまに抜け出してレベル上げをしてる。


 今もランと狩りに出かけてる。

 でも…戦っていてもご主人様がいないとあんまり楽しくない。敵を倒して後ろを振り向いても褒めてくれるご主人様も、見守っていてくれるご主人様も、心配そうにしているご主人様もいない。


『ご主人さまいつ戻ってくるのかな…』


『もう! 言わないでって! 集中できなくなるでしょ!』


 ランに叩かれた。

 最近よく叩かれる…。痛くないけど八つ当たりしないで欲しい。


『だってー…』


『寂しいのはあんただけじゃないのよ! 神ってやつが戻ってくるって言っていたけど、皆やっぱり元気ないし。そんな辛気臭い顔しないで欲しいわ! ご主人様が戻ってきた時に褒めてもらえるくらい訓練したり、色々なことを覚えればいいじゃない!』


 ランの言う通りだけど…物足りないし寂しいのは事実なんだし仕方ないじゃん…。


『ランの怒りん坊』


『あんたがうじうじしてるからでしょ!』


 ふんっ! ボクだけじゃないもん!


『ランだって夜寝ながら泣いてるじゃん! 夜泣きうるさいー!』


『なっ!? 嘘でしょ!?』


 あっ。言っちゃった。ハクに内緒にしてあげようって言われてたのに…。まあいいや。


『ご主人さまがいなくなってから毎日だよー! ランの泣き虫!』


 目を釣り上げてボクを睨むラン。

 夜泣きするたびにハクがトントンと背中をさすってあげて、皆で寄り添っていたけど…やっぱり気づいてなかったんだ。


『あんたの夢じゃないの! 私が泣くわけないじゃない!』


『夢じゃないもんー! 意地っ張り!』


『なによ! 弱虫!』


『弱虫じゃないもんー! ランの泣き虫!』


『『…ふんっ!』』


 別方向に走っていきたい衝動に駆られるけど、なんか逃げたみたいで嫌。ランも同じなのかそっぽを向きながらも隣を歩いている。


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