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閑話 クー太1

連続投稿九本目です!


クー太視点です!

 

『クー太! 早く見に行くわよ!』


『えー?』


『偵察よ! 強そうな魔物がいるか確認しに行くわよ!』


 拠点に戻った時に巨大鳥さんから魔物が来ると言われた。そのままランと一緒に飛び出してきちゃったけど…ご主人様のとこに戻った方がいいと思うんだよねー。

 さっきクロから集合するように言われたしー。


 それにしてもランってボクより血の気が多いよねー。まあボクも強い敵がいるか、どんな敵がいるのか気になるけど…でも…。


『ご主人さまから集合かかってるよー? 飛び出してきちゃったけど戻ろうよー』


『だから早く見に行くのよ! パパッと見て、どんな魔物がいたか報告すればご主人様喜んでくれるかもしれないでしょ!』


『でもー…』


『いいから! 行くわよ!』


 渋るボクにイライラしたのか、尻尾で何度も叩いてくるラン。


『わかったよー…。少しだけだよー?』


『もちろんよ!』


 まったくランは…手のかかる妹みたい。もっと小さい時は兄弟もお母さんもお父さんもいたけど、その頃の記憶は曖昧。だから兄弟ってこんな感じなのかなーって思う。


 ランにそんなこと言ったら、私の方がお姉さんね!って言うに決まっているけど…。


 大きくなった体で森の中を駆ける。たまに木々の間隔が狭くて通れない場合は前にいるランが薙ぎ倒して直進する。


 静かにしないと魔物が寄ってきちゃうよーって言っても「来たら経験値にするだけだわ!」と言って聞き入れてもらえない。ご主人様とハクの言うことなら素直に聞くのに…ふんっ。


『クー太! クー太! いたわよ!』


『うわあ! 見たことないやつばっかり!』


 首が長いのと胴体の長いの。オオカミさんみたいなのもいるけど、知らない魔物。


 ランが隣でうずうずしてる。ボクもうずうずしてるからランの気持ちはよくわかる。けど…。


『ほらっ。ラン帰ろ! ご主人さまに怒られちゃうよー』


『わかってるわ。独り占めなんてしたらハクとクレナイにも怒られるもの』


 しゅんとしてわかったと言うラン。だけどその場から動かないから仕方なく体を押す。


 ボクだって戦ってみたいのに我慢してるんだから! ランだけ抜け駆けはダメだよ!


『ご主人様と一緒に来ればいいよー。それにボクたちだけじゃ全部倒すのは厳しそうだよー』


『そうね…。じゃあ急いで戻るわよ! ちゃんと付いてきなさいよ!』


『はいはーい』


 全速力でご主人様のところへ戻る。ご主人様褒めてくれるかな? 見たことない魔物ばっかりだし喜んでくれるかな?


 ご主人様の喜ぶ顔を思い浮かべて、嬉しくてふわふわとした気持ちになる。


『あっ。ご主人さまだ!』


『あっ! クー太! なんで前に出るのよ!』


『ランが遅いからじゃないー? 疲れたのー?』


『疲れてないわよ! クー太のくせに!』


 ふふんっ。レベルは一緒でもボクの方がすこーしだけ強いし足も速いんだから!


『今私のこと馬鹿にしたでしょう!?』


『し、してないよー!? それより早く早くー!』


 ご主人様もボクたちに気づいたみたいで目が合った。


『ご主人様ー! 見たことない魔物ばっかりだよー!』


『すごく強そうだったわ!』


 早く教えてあげたくて走りながら報告すると、ご主人様は少し機嫌が悪そうだった。


「お前ら…集合するようにクロから聞いただろ」


『う…聞いたけどー…』


 怒ってるー…。


『っ! ど、どんな魔物がいるか気になったのよ…。ごめんなさい』


 ランのせいだよー! ボクは…ランを止められなかったし二割くらい? あとは全部ランのせい! 次ご主人様がくれた菓子パン横取りしてやるー!


「怒ってないが、心配させるな」


『『はい…』』


「ご主人様がクー太たちに怒るのなんて珍しいの」


「だから怒ってないっての。それにラックにも他の子にも怒ることなんてほとんどないだろうに」


 怒ってない…? ならランの菓子パンを奪うのはやめておいてあげよう。


「それでどんな魔物がどれくらいいた?」


『数は多くなかったー』


 百くらい? うーん…千はいなさそうだし、多くはない、よね?


『そうね。どんな魔物かと言われても初めて見た魔物ばかりだったわ。大きくて口が長いのとか首が長いのがいたわ!』


 口が長いの…? いたっけ?

 そういえば白黒の鼻が長いのがいた気がする。あれって口だったのかなー?


『あとはねークレナイに似たやつとかー』


「クー太、それは人型のクレナイか?」


『ううん、おっきいクレナイー』


 あ。でも足はなかったかも? そこまでは見れてないや。でもクレナイみたいに赤くて大きかったからなー。ウワバミさんだったのかな? 雰囲気はクレナイに近かったけど…。


『でもクレナイより小さくなかったかしら?』


『うーん。そうだっかもー?』


 遠目だったし、ランがそう言うならそうかもー?


『茶色いアメリみたいなやつが強そうだったわね!』


 顔のまわりの毛がふさふさしてるやつかなー? 確かに強そうだった!


『でもでも、黒くてでっかいやつが一番強そうだったよー? 体も大きかったし』


 顔の周りの毛がふさふさしてたやつより、体も大きかったし、鼻? 口? どこなのかわからないけど…。


『確かに! 黒い体に赤い模様があるやつでしょ?』


『そー!』


 ランと見てきた魔物について話しながらご主人様にも説明するけどうまく伝わらない…。種族名がわかればなー。


 いつまでも話しててもしょうがないから倒しに行こうってなった。ご主人様ごめんなさい…。ボクとランがもっと上手に説明できれば…。


「じゃあ昨日と同じ要領で。グレイとリーフは…まあ魔物の数が多いわけじゃないなら呼ばなくてもいいか。ドライとビャクヤはペアで行動。クシハ、エリン、シス、サンク、レイ、アルファ、ガンマ、パン、ディア、デルタは待機な」


 ボクたちは自由に動いていいのかなー? 一応ランからあんまり離れないようにしよーっと。ランはすぐ無茶するから見守っておかないと!


「結構離れているのか?」


『もうすぐだよー! えっ?』


 ご主人様…?


『ご主人さまどこ!?』


『『『『『『ご主人様!?』』』』』』


『クー太!? ご主人様は!?』


『わ、わからない!』


 皆が驚くと少し前を歩きながら戦闘体制に入っていたランが慌てて戻ってくる。


『匂いがここで途切れてるけど…どこ行ったの!?』


 ボクだってわからないよー! 突然消えちゃった…。


『あっ! ハクは匂い感じる!?』


 ボクたちがわからなくてもハクならわかるかも! 

 そう思って聞くけど、険しい顔で首を横に振られた。


「クー太殿。ラン殿も」


『クレナイなに!? わかる!?』


 クレナイに呼ばれたので何かわかったのかと思ったけどクレナイも首を横に振る。


 どうして…? ご主人様が何も言わずにどこかに行っちゃった…?

 ありえないよ! ご主人様はボクたちのこと置いていかないもんー! ご主人様どこー!?


「クー太殿。少し落ち着いてください」


『なんでクレナイは落ち着いてるの! ご主人様が黙っていなくなるなんてないもんー! 何かあったんだよー! すぐに行かなきゃ!』


『クー太!』


 匂いを探していたらランに殴られた!


『ラン! なに!?』


『あいつらのせいかもしれないわ。殲滅してから探すわよ』


 そういうランの視線の先には魔物たちの群れ…。あいつらのせい…? ボクの…ボクたちのご主人様になにかしたの…?


 バチンッ! ドンッ!


『ぎゃんっ』


『きゃんっ』


 横から攻撃され吹き飛んだ。




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