148 襲撃
お待たせしました!
活動報告にも上げましたが時間が取れましたので、本日から少しの間連日投稿させていただきます!
「おはよう」
挨拶をしながら周りを確認すると、アキはもちろんだが、クー太やラン、フェリたちはまだ眠っていた。起きているのはハクとラック、サンクにシス、デルタか。コウモリって夜行性だよな?なんて思ったが、他の魔物も本来は大抵夜行性のやつばかりか。
パンはテイムされたばかりだというのにずいぶんと無防備に寝てい…ない?
「パン起きてるのか?」
『もちろん』
だらけきっているのは体勢だけでちゃんと起きてるようだ。
「やっぱりすぐには落ち着かないか」
『そんなことない。ちゃんと寝れた。アキちゃんたちが寝過ぎ』
……ごもっともで。
にしても全員ここにいるってことは襲撃はまだか。なんでだ?昨日の時点でコウモリが暴走して、昨夜は鳥たちが。それなら既に襲撃があってもいいと思うのだが…。
アキたちを起こすのはハクとラックに任せ、簡易寝室から出る。
『起きたか』
外に出ると簡易寝室の前で羽根休めしている巨大鳥が話しかけてきた。
「おはよう。一晩中見張ってたのか?」
『もちろんだ。だが魔物は、とんと見かけないな』
「そうか…まあ少数なら散らばっている狼たちが処理してるだろうし仕方ないさ」
『いや、マコトの狼たちも、魔物を見てないようだったぞ』
そうなのか?
近くにいた子を捕まえ聞いてみると、確かに俺が寝た頃から魔物を見かけなくなったらしい。不審に思い少し遠くまで見回り範囲を広げたが、それでも出会わなかったらしい。
少し不気味だな。
「いつ来るんだろうな」
『お主は…いや、お主たちは魔物に襲って来てほしそうだな?』
「そりゃまあ、戦うのは嫌いじゃないし。なにより普段は隠れていて見つけられなかったり、俺が行ったところじゃない場所から来たりする珍しい魔物が来るかもしれないだろ?」
『…もの好きだな。後ろにいる人間たちは怯えているというのに』
怯えてるのだろうか?周りを見渡すと藤堂が連れてきた人たちは皆畑予定地を耕しているが…。しかも全員スコップで耕してんだけど。今度、どこかでクワとか探してきてあげようか。
「じゃあ来たら教えてくれ」
また忘れていたが【結界生成】のスキルを持ってんだよな。使おう使おうと思って、全然使ってないが。
ということで、巨大鳥と別れた俺は、柵に沿って歩きながら結界を張っていく。一度の発動で柵で覆っている範囲全てに結界を張れればいいのだが、それは無理みたいなので歩きながら結界を張っていく。
そのあとは藤堂のところに行き、藤堂が連れてきた人たちの様子を聞いたり、巡回してる魔物たちに様子を聞いて回る。
「暇だ…」
別に用事があって、
色々聞いて回っていたわけではない。暇なのだ。
今から狩りに出るわけにも行かないし、娯楽も…そういやショッピングモールに本屋も入っていたから、本も失敬してきたな。それにお酒もあるし…いや、酒はまだやめておくか。
「本棚を作るか」
確か、以前切り倒して乾燥させた木が【亜空庫(小)】に入っていたはず。
結局、クー太たちのいる簡易寝室と巨大鳥の下に戻り、木を取り出す。
『戻ってきたと思ったら…何をするのだ』
「本棚でも作ろうかと思ってな」
『ジッと待ってられぬのか』
「それでもいいんだが…何かを待つってのは苦手なんだよな」
てことで本棚を作る。【風刃】で板状に薄くスライスした木と【地操作】で作った釘。そしてその釘を【硬化】させて…ギュッと。
「はあ!?」
びくっ。
え…? 突然の大声に驚き後ろを見ると藤堂がいた。
「なんだよ…驚かすな」
「こっちが驚いたわよ! 何してるのかと思って見てたら、釘をそのまま押し込むのだもの!」
「いや、工具ないし…いや、あるか? まあ持ってても出すのも面倒だし」
「出しなさいよ!? 壁に画鋲刺すのにももう少し苦労するわよ…なんでそんなスッと入っちゃうのよ…」
「…レベルのおかげ?」
「はあ…。邪魔してごめんなさい。続きをどうぞ」
いや…続きをどうぞって…そうやって見られてると気が散るんだが。今更だがクー太やハクたち、一緒に寝ていたメンバーが全員いた。
藤堂はよくこのメンバーの中に一人で来たな?
「なんか用があったのか?」
「私? ないわよ。ただ貴方が珍しくそわそわしてるというか…落ち着かない様子だったから見に来たのよ」
「あー…暇で何しようか考えてたからかな」
用がないなら戻ればいいのに。とりあえず側板と背板、底板と組み合わせた木の板に釘を刺し、棚板も作って完成だ。
ちゃんと測って作ったわけではないので歪んでいるが…ぐらぐらと揺らしてみるが強度は問題なさそうだな。練習作なのでこれは【亜空庫(小)】の中にお蔵入りだ。
次はメジャーを取り出して…部屋の高さとか測ってからにするか。
「ちょっと部屋に戻る」
そうクー太たちに告げると、真っ先に反応があったのは未だ後ろにいた藤堂だ。
「えっ」
「藤堂、まだいたのか」
「…ねぇ。私のこと忘れるの早過ぎないかしら?」
……忘れていたわけではない。もうどこかに行ったと思っていただけだ。
『すぐ戻ってくるか?』
藤堂を適当にあしらい、【重力操作】で身体を宙に浮かせると巨大鳥が声をかけてきた。
「すぐ戻るが…どうした?」
『いや…森がざわついているのでな。おそらく来るぞ』
来るって…魔物か? それなら部屋に戻らないが…。
『ご主人様!来ました!』
狼たちが次々とこちらに駆け寄ってきて、多種多様な魔物がこちらに向かってきたと報告してくる。
『やっとだー!』
『もう!遅いのよ!』
やる気満々なクー太とランはいいとして…他のメンバーを見ると全員戦闘体制に入っていた。心配無用か。
「藤堂、下がってろ。全員に念のため一塊になって門の前にいるように伝えろ。今更だが、あんなコンテナ大して意味はないし、護衛につけてる魔物たちが入れない」
「わ、わかったわ」
「それと…コクム。まだいるか?」
『はい!』
今朝、藤堂の影にいた黒蛇を呼ぶとすぐさま出てきた。
「親父たちに報告しに行ってくれ。あと、ちゃんと親父たちの護衛は増やしてるか?」
『ぬかりなく!』
「よし、頼んだ」
クー太とランは巨大化。ハクとクレナイは本来の姿へ。フェリも霊体化する。
「クシハとレイ、パン、デルタは一緒に戦え。あまり前に出過ぎるなよ? それとアルファはリーフのところへ行け。エリンとサンク、シスは遠距離攻撃でここから援護だ」
簡単に指示を出し、続々と魔物たちが集まってくるのを横目に声を張り上げる。
「俺たちが突っ込む! お前たちは前に出過ぎるな! それと絶対死ぬなよ!」
『『『『『『はい!』』』』』』
『さっき暇を持て余していた姿とは別人だな…』
巨大鳥が横で何か言っているが無視だ。やる時はちゃんとやるっての。
クー太、ラン、クレナイ、ハク、アキ、クロ、フェリ、ラック、アメリ、ビャクヤ、ドライの十一匹を引き連れ木々の隙間から見えてきた魔物たちの下へ駆ける。
魔物たちの下へ走りながら【爆炎】を放つ。開幕の合図といったところか…。
【爆炎】の勢いが収まると、どんどん魔物が向かってくるので先頭にいる魔狼か森狼を蹴り飛ばす。クー太たちは自ら散らばり、それぞれ攻撃していく。
獲物がたくさんー! と叫んでいるやつが二匹ほどいたが…まあ気にしないでおこう。昨日もたくさん狩りしただろうに。
「【雷球】」
複数の【雷球】を作り出し放つと吹き飛んでいく魔物たち。即死しなくとも痺れるか、大ダメージで動かなくなる。ほとんど即死っぽいが。
森狼もしくは魔狼と大蛇。進化個体を含めた猿にゴブリン、オーガ、オーク、蛙に鳥の魔物。
鳥の魔物に対してだけは手加減する。
後ろを見ると城壁に沿うように左右からも魔物が来ている。城壁の後ろからやってきた魔物たちがこちらに集まってきているのだろう。
「クレナイ! ハク!」
『『はい!』』
よかった。まだ声が届く距離にいるか。
「左右に分かれて城壁を回ってきた奴らを頼む!」
『『わかりました!』』
誤字脱字のご指摘ありがとうございます!




