133 陣形
サンクとシスの進化だ。
進化先を見ると一つだけ。翡翠亀。
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【翡翠亀】
・翡翠で出来た甲羅を持つ。
・甲羅はとても硬く防御力に優れている。
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翡翠か。まあ亀だし防御特化でもおかしくはないか。水砲使えるし、攻撃ができないわけではないが。
「進化先が一つだから進化させるぞー」
『よろしく頼む』
『は、はい!』
そして、進化したサンクとシスは大きさは変わらず、色の系統も緑と以前と一緒だが、翡翠というだけあってものすごく綺麗な緑色だ。
コンコン。
『『??』』
「いや、硬いのかな、と思ってな」
どれくらい硬いかはやっぱりわからないな。強く叩いてみればいいんだが…いくら硬いといってもステータスの差で壊れそうだし…。
戦闘しているところを見るしか確認しようがないな。
んで、ステータスは。
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個体名【サンク】
種族【翡翠亀】
性別【オス】
状態:【 】
Lv【3】2UP
・基礎スキル:【硬質化lv2】【噛み付きlv2】
【水球lv3】【水砲lv2】
【水浄化Lv1】new
【衝撃緩和Lv1】new
・種族スキル:【水棲】【絶対防御】new
・特殊スキル:—
・称号:—
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個体名【シス】
種族【翡翠亀】
性別【メス】
状態:【 】
Lv【2】UP
・基礎スキル:【硬質化lv2】【噛み付きlv2】
【水球lv4】【水砲Lv1】
【水浄化Lv1】new
【衝撃緩和Lv1】new
・種族スキル:【水棲】【絶対防御】new
・特殊スキル:—
・称号:—
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【絶対防御】ね…。強そうだな。
んーと、詳細を見る前に俺の未設定スキルを確認しておくか。
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※基礎スキルを選択してください。適性のあるスキルを表示します。
・【直感】
・【探知】
・【遠目】
・【生活魔法】
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そういや基礎スキルで【未設定】は初めてだな。
んで四つだけと…。びっみょー…。
なんかあれだな…あれば役に立つけどないならないで支障がないスキルと言えばいいだろうか…。
つまりいらないスキルだな。まあサービススキルだしこんなもんか。逆に良さそうなスキルがあったら怪しいよな。
「とりあえず保留でいいか」
ステータスから目をそらしたらサンクとシスがジッとこちらを見ている視界に入った。というか周りを見ると全員が静かにこちらを見つめていた。
「ああ…暇か」
『『『『暇(〜)(よ)(です)(なの)』』』』
あ、はい。クー太、ラン、アキ、ラックが声を揃えて暇を訴えているが…他のメンツも多かれ少なかれ暇そうにしているな。
自己紹介でもしてればいいのに…と思ったがオーガ達は整列していてクー太達も和気藹々と自己紹介しに行く雰囲気じゃないからだろう。
「もう少し待ってな」
さっさとスキルの詳細確認するか。
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【水浄化】
・液体ならばどんな物でも飲料水に適した水にする事が可能。ただし細かな成分や質は【水浄化】を使用した者次第。
【衝撃緩和】
・衝撃を軽減。
・体表面で受けた衝撃を内部に通しにくくなる。
【絶対防御】
・魔力によって防御膜を生成。
・5分間どんな魔法攻撃や物理攻撃でも無効化する。
・無効化する対象は自身に害のある物である。
【拠点作成】
・登録したものしか立ち入る事が出来ない建物を作成することができる。
・レベル、魔力、種族などあらゆる要素によって作れる拠点の大きさ、設備、外観、耐久性が変化する。
・一度作成したら、作成した建物が無くならなければ再度作成は不可能。
・再作成条件:建物が破損、倒壊した場合。更に建材の八割以上が二度と使えない状態であること。
・拠点の登録方法:【拠点作成】を使用した者は自動的に登録される。他者を登録したい場合拠点の扉に作成者と登録希望者が同時に手を触れ魔力を流す必要がある。
・拠点の登録解除方法:作成者が扉に触れ対象を口にする事により一方的に解除可能。
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………前半はいい。特に変わったスキルでもない。
ただ【絶対防御】と【拠点作成】はちょっと待ってほしい。
まず【絶対防御】。5分間無敵状態?だが…説明文にあるのは魔法攻撃と物理攻撃だ。精神攻撃だとか毒や胞子は無効化できないのだろうか…?試したいが…まあできないと思っておいた方がいいな。
これでサンク達の身体が大きければ無敵の盾になるが…小さいからなあ。まあ防御力が上がったと素直に喜んでおこう。
んで…【拠点作成】だ。ゆっくり読んで考えたい。そして試したい。
「今作るわけじゃないし…親父達のところへ戻った後に確認すればいいか…。よしっ。そうしよう」
んでこれからの指示だな。
「待たせたな。今後の方針についてだが…いくつかに別れて移動する。オーガ達は俺の位置を感じ取ることはできるか?」
「………集中して繋がりを辿れば可能です」
「なら俺を中心に左右に広がって移動する。魚鱗之陣…つってもわからないか」
【亜空庫(小)】から手頃な棒を取り出し地面に陣形を描いていく。中央が突出した、三角形を描くような陣だ。
「いくつかグループを作って俺の左右の斜め後ろに広がって俺を追いかけながら魔物を倒して移動だ。
俺は出会った魔物はテイムしていくから速度はそんな早くないから、ゆっくりと周りの魔物を倒しながらの移動で構わない」
ここからならゆっくり移動しても一週間かからないだろ。リーフに乗ったらあっという間に来れるような距離だし。最悪俺だけ先に拠点に戻ってもいいしな。
「鬼将のシドーは基本一人で戦闘。ただ何かあったら困るから…クロ。付いててやってくれ」
『…わかった』
ん?少し嫌そう?
俺の影から顔だけ出して返事をしたらすぐ引っ込んだ。影の中を転移できるから問題はないな。
「後のオーガ達は鬼長を隊長としたグループ分けをしてくれ」
「それなら普段からやっておりますのですぐ作れます」
「いつもはシドーもオーガを率いているのか?」
「いえ、俺はあんまり集団で狩りには行きません。集落で待っているか一人で狩りに行ってます」
「なら問題ないか。ハクはサンクとシスを見てやってくれ。クレナイはアキとアルファを」
「「わかりました」」
「アルファは森の中じゃ動きづらいと思うがあんまりクレナイから離れないようにな」
「はい!ご配慮ありがとうございます!」
アルファ…堅いよ。
「ご主人、わたし一人で大丈夫ですよ?」
「どこがだ。アキ、お前はすぐサボるだろ」
「そんなことないです!!言いがかりです!?」
「いや…事実だからな?誰かと一緒じゃないとすぐ昼寝か木の実集めするだろうが」
「うっ…き、木の実を集めるのは本能なのです!気がつくとつい木の実を探しちゃうのです!」
「そうならないためにもクレナイと行動な。んで…」
ぶーぶー言ってるアキはいいとして…キラキラした目で見てくるクー太、ラン、フェリ、ラック。フェリとラックは進化したから余計身体を動かしたいんだろうな…だが…。
「ラックとフェリは一緒に行動。進化したばかり、しかもラックは身体の大きさまで変わってるんだ。慣れるまでは一緒に行動するように」
「わかったの!」
「…ん。楽しみ」
「クー太とランは好きにしていい。そのかわり行動範囲を広げて端にいるグループまでたまに様子を見に行ってくれ」
『わかったー!』
『わかったわ!』
「リーフとドライも個別で移動して構わない」
「「わかった!!」」
後は…どうするか。
「クシハとエリン、レイは俺と行動、かね。だが俺といるとレベル上がらないよな…。ハク、レイのことも見てくれるか?」
「大丈夫ですよ」
「なら頼んだ。レイはハクと行動な」
「魔物倒せばいいのです?」
「ああ。ただまだ生まれたばっかなんだから無理するなよ?」
「頑張ります」
何を頑張るのだろうか…。無理をしないこと?それとも無理すること?………ハクに任せておけば問題ないな。
『僕は??ご主人様と一緒?』
『僕もでしょうか?』
「そうだな…お前達は俺といてくれ」
『はーい!』
『わかりました』
「それと、日が暮れたら移動をやめて俺のところへ集合。日が登って少ししたら移動を再開する。じゃあ移動開始するぞ!」
「「「「ハッ!」」」」
耳がキーンとした…。80ものオーガが一斉に返事をするとうるさいな…。
クー太達…メインのメンバー達は各々のんびりと返事をしてグループを作って散らばっていく。
「んじゃ先頭が俺らだからな移動しようか」
クシハが頭の上に飛び乗ってきたのでエリンを抱える。
「あ、リーフ!」
『ん??なにー?』
「俺の進む方向がずれ始めたら教えてくれ」
『わかった!』
にしてもオーガたちは全員が全員皮袋を腰に付けているな。匂いは…肉、か?保存食だろうか?
『行かないのー?』
「ああ、そうだな」
俺を含め全員が移動を始めた。




