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132 スポット


 ————————————————————

【怪力】

・魔力を使用することによって腕力が上昇する。

・レベルによって上昇する腕力の上限が上がる。


【解体】

・どこをどう解体すれば求める状態になるかどうかの感覚が身につく。

・レベル上昇により感覚が鋭くなる。


【狂化】

・戦闘に対する欲求が上昇し、他の欲求や知能が下がる。

・痛覚が鈍くなり、膂力が上昇する。


【統率】

・大勢をまとめるのが得意となる。

・自身より能力の低い者はその指示を納得しやすくなる。

・レベル上昇により知能が上がる。


【鼓舞】

・仲間を鼓舞すると鼓舞された相手は士気が上がり、能力が微増する。

————————————————————


膂力と知能関係が多い…だがそれより解体だ。オーガ達には魔物が消える前に解体してもらいたい。

以前クレナイ達が持ってきたイノシシがまだある。あのイノシシは暇な時に【風刃】でバラバラにして【亜空庫(小)】に突っ込んであるからそれを綺麗に解体してもらってもいいな。


そして種族スキルの【造形】は俺の基礎スキルと似た感じだ。ただレベルによる補正上昇がない。おそらく俺の【造形】より能力は上だと思うが。


オーガは種族スキルがなかったし初期段階だろう。

オーガファイターの種族スキルは【狂化】、オーガデフトは【造形】、鬼長は【統率】。その三種は一度進化した個体だと思う。そして鬼長が一番少なく五体。


おそらくオーガは見習い、オーガファイターは一兵卒、オーガデフトは住環境担当、鬼長は隊長って感じだと思う。


そして鬼将はシドーのみ。将軍って感じか?多分正当進化がオーガとつくもので、鬼がつくのは行動や所持スキルによって変わったんだと思う。まとめ役だけは進化先が変わる、的な感じか。


まあ一括でオーガって呼ぶつもりだけど。見た目は大して変わらないし。角の数が違ったり、肌色が濃かったり、体躯が良かったりはするが、それはあまり種族関係ないっぽいし。

角一本の鬼長もいれば二本の鬼長もいる。小柄なオーガデフトもいれば大柄のもいるからな。鬼将のシドーだけは大きさが全然ちがうが。


にしてもシドーが鬼将、オガイチからオガゴまでが鬼長だった。偶然か?と思ったが最前列にいる奴らから名前をつけたから別におかしい話ではないな。普通に考えたらリーダー格が前列に来るだろうし。


「おし。早速だがお前達はこの集落を捨てて俺の拠点に来る気はあるか?」


「「「「「「勿論です!」」」」」」


あ、うん。君ら元気だね。


「ならこれから移動するから何か持っていく物があれば準備してくれ」


そういうとバラバラに散っていくオーガ達。何か持っていく物があるのだろうか?


「お前はいいのか?」


シドーはその場から動かないので聞いてみた。


「はい。俺…私は主がいつ来てもいいように準備をしていましたので…これだけで充分です」


そう言って腰を指すシドー。その腰には皮袋のような物が蔦か何かで括り付けてあった。

…これはこいつらが作った物、か。凄いな。


にしても準備して待っていたとか…面倒くさがってここに来ない可能性が高かったんだよな…。なんか悪いことをした気分だ。まあ結果的にはこうやって集落に来ているし…いいだろう。


「なら色々聞いていいか?それと自分のことは俺って言っていいぞ」


「感謝いたします。俺に答えられることなら是非」


「んじゃまず…以前別のオーガの集落に行ったんだが、そこの集落ではおそらく進化したんだと思うが、リーダーの見た目が変わったからと集落から追放したそうだ。お前たちはそういうことはしないのか?」


シドーは目を丸くして驚いていた。


「……確かに俺達は能力が違っていても見た目が変わらないので…見た目が違う者を排除したがる者もいるのかもしれませんが…」


「ん?ああ。見た目変わらないから知らないか。この集落にはオーガはオーガだが五種類の種族がいるぞ」


また驚くシドー。前より表情豊かだな。


「そ、そうなのですか?」


「ああ。お前だけ鬼将って種族だ。んで多分リーダー格の五体…俺の前に整列した時に一番前にいた奴らがいるだろ?あいつらが鬼長って種族だ。

後は戦闘が得意なオーガファイターと物作りが得意なオーガデフト、それと進化していない普通のオーガだな」


「なんと…知りませんでした…。ですが納得です。そのキチョウ?とやらの五匹には集落の者を五つに分けそれぞれ指揮させていますし、建物や木剣を作る担当のオーガもいますので…」


やっぱり普段の行動、持っているスキルで進化が変わったんだな。


「それで話を戻すが…」


「はい。うちの集落には姿形が多少違うからと忌避するものはいないかと…おそらくその集落は他所から来たオーガが多いのではないかと」


「他所?」


「はい。俺達は全員この集落で生まれたので。たまに他のところで生まれたり、人間の匂いが強い者もいたのでそういうオーガは街の方から来たのかと」


出身が森か街か集落かってことか。まあ魔物だろうが環境が変われば価値観は変わるか。特にこいつらみたいに元から知性がある程度ある種族ならば。


「後は…あー…。お前達って元人間なのか?記憶はあるか?」


「?いえ…元人間ではないと思います」


「記憶はないか?」


「そういった記憶がないのは確かですが…さっきも俺達はこの集落で生まれますので…人間ではないと、思います」


「この集落で自然発生するのか?それとも子供を作る速度がそんな速いのか?」


ここら辺にいた人間がオーガになったんだと思ったが違うのか?


「子作り、という知識もありますし、番になっている者もいますが子供が出来たことも見たこともありません。……少しついてきてもらっていいでしょうか?」


「ん?ああ」


「ではこちらへ」


「お前たちはここで待っててくれ。サンク、シス。進化はもう少し待ってくれ」


『『『『「「「「はい」」」」』』』』


全員了承してくつろぎ始めたのでシドーについていく。

そして集落の真ん中辺りにある草や木で作られたテントにやってきた。


「この中に……今丁度新たなオーガが生まれるようです」


ん?

中を覗くと家具などは何もなく平べったい岩があり、それが薄らと発光していた。

そのまま見ていると光の玉が現れどんどん大きくなっていく。そしてその光の玉はオーガになった。


……どういうことだ?頭が痛くなってきた。


つまりなんだ?自然発生だと思っていたが、実は魔物を生み出す物…スポットみたいなのがあるのか?つまりそれを全て探したら…いや、無理だな。


生まれたオーガは周りをキョロキョロして目の前のシドーに跪いた。


「新たな同胞よ。歓迎する」


「カァ、ンシャ」


かぁんしゃ?感謝?

生まれたばかりはやっぱり知能が低いのだろうか?


「こいつもテイムしていいか?」


「主の御心のままに」


「なら…テイムされろ」


ビクンッ。


《オーガが仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》

【Yes or No】


Yes。


《オーガが仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください》


「シドーを除くと八十一匹目だから…オガヤイチだ」


「あ、ありがとう、ござ…ます。主」


つっかえつっかえだが…生まれたばかりだろうか。


「これから移動する。お前は集落の者に主から賜った名を名乗って顔見せしてこい」


「はっ」


やべぇ。オーガ意味わからん。生まれた瞬間から二メートルあるし、上下関係しっかりしてるし…。


「んでこの平べったい岩はなんなんだ」


「それは分かりません。俺がおそらく初めに生まれ、今この集落にいる者は全員ここから生まれました」


「ふむ。だから元人間ではないと?」


「おそらく」


「確かにそうなるか…」


「主…」


「なんだ?」


「おそらく主の言う元人間は…集落の外にはいるのかもしれません」


「なんでだ?」


「先程も軽く触れましたが…この集落のようにここで生まれた者だけではないのです。街から来る者、突然そこら辺の草むらで生まれる者。俺達は他所のオーガを迎えることはあっても住まわせることはないのでここにはいませんが…」


「ああ」


「それで人間の匂いが強い者なのですが…緑の小鬼や俺達と似た体躯の…肌色のやつらがいますのは知っていますか?」


「多分…ゴブリンとオークかな。俺はそう呼んでいるが、暗い緑色のやつと小さな耳と豚…大きな鼻があるやつだろ?」


「そうです。そいつらも人間の匂いが強い者と匂いのしない者がいるので、人間の匂いがする奴らは元人間だったのでは、と…」


ふむ…全員が全員人間からではないってこたか。まあその可能性の方が高いか。


「だが俺や俺より鼻のきく仲間達は人間の匂いなんて感じてないぞ?」


「ああ…匂いとは言っても…なんと言えばいいでしょうか。肉や草の匂いを嗅いだ時とは違って…オスとメスで香りが違う感じ、といえばいいでしょうか」


「フェロモンで判断してるってことか?」


「フェロモンがなにかはわからないのでなんとも…」


ふむ…人型魔物だからこそわかるフェロモンなのだろうか。でもそれなら俺らが人間の匂いを判別出来ないのは納得だ。ハクなら…とは思ったが人化しているだけで狼だし分からなくても仕方ないか。


「わかった。一応俺の中では納得がいった」


「お役に立てたのなら良かったです」


「さて…この岩は持って行くのか?」


「この場所から動かせないので…置いていきます」


動かせないの?

持ち上げてみるが…確かに微動だにしなかった。ならば…【地操作】で地面ごと抉って…って…干渉できない…?


魔力を大量に込め地面に干渉しようとするが…平べったい岩があるところから三十センチくらいの場所まで魔力が上手く働かない。


「なんだこれ?」


「主でも難しいですか?」


「ああ…というか全く干渉できない。これは置いていくしかないな」


なんとなくだが破壊もできないと思う。結界のようなもので守られてるのだろうか?


「まあいいか。それよりそろそろ戻ろうか」


「はっ」


先程の場所に戻るとたくさんのオーガが整列していた。


「お前達もう少し待っててくれ。楽にしていい」


と言っても微動だにしないオーガ達。全員堅物か。

まあいいや。それより…。


「サンク、シスおまたせ」



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