130 コミュニケーションとは…
永続的に顕現…魔物として確立した存在として作成出来たのは間違いないと思う…。だがスキルはどれも見たことないし、特殊スキルと称号までもっている。
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【念話Lv1】
・指定した相手と口に出さなくとも伝える意思を持てば会話が可能となる。
・レベルが上がることにより同時念話接続数、念話接続距離が増える。
【念動力Lv1】
・自身と自身の体重以下の物を念じるだけで動かすことが可能。
・魔力は不要。また持続時間はスキルレベルに依存する。
【一心同体】
・生物・植物、生命のある者と同化することが可能。
・同化している間、相手に自身の持つスキルや身体能力を貸し与えることが可能。
・同化・分離は自身の意思で可能だが、レベル差によってできないこともある。
【特殊魔物】
・自然的に魔生、胎生、卵生のいずれでもない生まれ方をした者に与えられる称号。
・特殊スキル【一心同体】を獲得。
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なんか異色だな。魔力を一切使わないスキルってのも。
霊狸が強くなれば強くなるほど同化した相手は強くなるのだろうか。
んで、魔生ってのは胎生、卵生があることからおそらく魔素で生まれるって意味だろう。ある意味霊狸も魔素、魔力から生まれてきてはいるが、自然発生ではなく人為的…俺の意思で生み出されたからこの称号がついたのか。
『ご主人様?』
「ん?ああ、すまん。ちょっと待ってな」
とりあえずステータスはいいか。追々試していけば。
それより名前だな……どうするかなあ。普通なら色で名付けしたいんだが…何故か俺のテイムする魔物って白と黒が多いから悩ましい…。シロやビャクだとハクとビャクヤと被るし…霊狸だしレイ…レイでいいな。相変わらずネーミングセンスの無さが嫌になるが。
「名前はレイな」
『ありがとうございます?レイ…レイ…。私レイ?』
「ああ」
『……これからよろしくお願いします』
ぺこり。
小さな白い狸…レイはなんかのんびりした感じがするな。
「ああ。よろしくな」
じーっと見つめてくるレイ。なんだろうか…。
『皆のところ行ってきてもいいですか?』
後ろを見ると全員がこちらを見ていた。
まあ、あれだけ魔力を出せば気付くか。ただ何をしているのかは分かっていないようで…おそらく魔法の練習をしてると思ってるのだろう。だからこちらに来てはいないが様子を見ているって感じだな。
「ああ。行ってきていいぞ」
とてとてとて、と歩くレイ。身体も小さいし、飛べないし、ステータスも低いからそうなるのはわかるんだが…可愛いな。
とりあえずソッと抱き抱える。
『??』
なんで抱えられたのかわからないって感じで首を傾げ俺を見ているレイ。なんか幼いな。生まれたばかりだから仕方ないのだが…魔力から生まれたレイに幼いとかそういうのがあるのだろうか。どちらかと言えば経験不足?まあ性格なのかもしれないが。
「あっちに行くんだろ。連れてくよ」
『ありがとうございます?』
そして今日何度目かわからないクー太とラン、アキ達の騒ぎ声が響いた。
そして翌朝。昨夜はキャッキャ騒いだからか俺が横になるとクー太達も横になりすぐ寝息を立てていた。そしていまだに寝ている。
「おはようハク、クレナイ」
『「「おはようございます」」』
ん?
「おお、アルファも起きてたのか」
アルファは基本的騒ぐタイプではないし、クレナイと少し離れたところで皆を見てるって感じで物静かだ。
『はい!私は長時間睡眠を取ることはあまりないので』
クレナイより元気いっぱいって感じであるが。
「無理はしないようにな?」
『ありがとうございます!』
クー太、ラン、アキ、フェリ、ラック、ドライ、リーフ、クシハ、エリン、シス、サンク、レイの十二匹はまだ寝ている。クロは…姿は見えないので影の中だろう。起きていると思うが。
「クロ?」
『…なに?』
やっぱり起きてた。
「おはよう」
『ん。おはよう』
すぐさま影に引っ込んでしまうが。
「んじゃ今日はどうするかねぇ。ゾンビ達のテイム…はやっぱり後でにするか。これ以上身体の大きい…俺らが抱えられるサイズ以上の仲間が増えても連れて帰れないし」
別にここで生活させてもいいのだが…ゾンビをテイムしてもまともな知性を宿すかどうか微妙だし。それにここでゾンビをテイムして生活させるとなると他にもテイムしないといけないからな。試すならやっぱり拠点に戻ってからだな。…まあ俺の気分次第だが。
「なら一度拠点に戻るのはどうでしょうか?主様がこれから旅をするのに誰をお連れするのかは分かりませんが仲間も増えましたし一度あちらに戻るのもいいかと」
「確かになあ。サンクとシスは留守番してもらうかな。エリンにも拠点でキノコ作って欲しいと思うし…」
「なら今日は…」
「ハク?」
ハクが突然警戒し始めた?よく見るとクレナイも警戒はしていないが屋上と下階を繋ぐ扉を見ている。
何か来るのか?
『人間の匂い〜』
『ええ、なんか来るわね』
後ろを見ると全員が…全員じゃなかった。アキは寝てるし、シスとサンクの亀組は起きたが甲羅から顔をだしキョロキョロしている。周りの反応には気づいたが人間には気づいてないのか。
「人間が来るのか?」
俺も気づいてないし、言われても…ああ。匂うな。
「昨日生きてたやつか」
『多分ー』
ガタガタッ!という音がして扉が開いた。
「ひいっっ!」
なんかめっちゃびびってる。
視線を追うとリーフを見て驚いているようだ。まあザ・ファンタジーのグリフォンさんだからな。種族名は鷲獅子だけど…同じか。
「…あっ」
腰を抜かした小汚い男はリーフから視線を外し、クレナイ、ハク、俺…そして俺の後ろにいた人間サイズのラックを見て目を更に見開いた。
「お、お、おっ…」
……実はこいつ人間じゃなくてゾンビかゴブリンか?って思ってしまうほど変な反応をする男。
仕方ないからクレナイ達の前に出て男と対面する。
「………」
あれ?初対面の人ってどういう風に話しかければいいんだっけ。
メイやミミは…なんか成り行きだったし、メイから話しかけてきたからなんとも思わなかったが…そういえば親しくない人間に自分から話しかけるのっていつぶりだ?
……とりあえず威圧しとくか?
「ぐぼあ…」
「あ…」
「…主様何しておられるのですか」
「ご主人様…何故いきなり魔圧なんて…」
クレナイとハクが咎めるような、本当に不思議なような視線を送ってきた。
「あーいや、あれだ。狩るつもりが無い、でも舐められて襲って来られるのは面倒…つまり威圧しておけばいい?」
「何故疑問系なのですか…」
「ご主人様…そこの人間は別に野生の魔物じゃないですよ?それにただの威圧じゃなくて魔力が出ていたので魔圧です」
「ご主人様知ってるの!そーゆーのコミュ障っていうの!」
人型三人組に何故が責められた…いやまあ俺が悪いんだが。
「どういう反応すればいいかわからなかったんだよ。こいつから話しかけてくれればいいがなんか意味のない単語発するだけだったし」
「…それでどうされますか?」
「ふむ………。移動するか。起きても面倒くさそうだし。ただまあ…少しだけ食料置いておいてやるか」
建物内の魔物を殲滅して一度食料を与えたのだから別にもういいか、と思ってたが会っちゃったしな…。保護してやる気はないからそれくらいしてやろう。
食料をいくつか置き、クレナイとハクはリーフの背中に。
ラックは人型でも飛べるらしいので飛んでもらう。
俺、ラック、アルファは自力で飛び、クー太、ラン、フェリ、霊狸のレイは俺が抱え、アキとクシハ、エリンはクレナイに。サンクとシスはハクに抱えてもらう。クロとドライは俺の影に。その布陣ですぐさま屋上から飛び立つ。
「んじゃとりあえず拠点に戻ろう。ただ前通ったところじゃなく大回りしても構わないから街の近くを飛んで行こう」
『『『『はい!』』』』
全員から了承を貰ったところで脳内に声が響いてきた。
《やあ、日本人諸君!》