126 物資確保
建物を壊さないように、それと居ないとは思うが人がいたら関わらないようにと駆け出したクー太達に声をかけておき、俺も続いてショッピングモールに入っていく。
「今日はずっと動いてなかったから今回は皆に譲るかな」
魔物を殲滅するのは任せるとして…俺はお店にあるものを片っ端から【亜空庫(小)】に放り込んでいく。クー太達が通った所から周るから魔物は全くいない。死体はあるが…。
「魔石はどうするかねぇ…」
一人で解体し魔石を集めて回ったら…相当時間かかるしやめておこうか。魔物を倒し終わったら皆にやってもらって、俺も物資調達が終われば手伝えばいい。
一階にある無事な物を片っ端から【亜空庫(小)】に入れていくだけで一時間程かかった。スーパーやドラックストアもあり、結構荒らされてはいたが缶詰も残っていたし、石鹸なども手に入った。その上服屋やタオルなどを取り扱っている店があったのはよかった。後でクレナイとハクにも何着かあげようと思いつつ二階に向かう。
二階はオークの死体が敷き詰められていた。
「邪魔だな…。一階から四階まで中心が吹き抜けになっているし死体は下に落として貰えばよかったか?」
そう思いつつ【重力操作】で宙に浮き、死体の上を進んで店へ入って物色していく。
『ごーしゅーじーんーさまー』
何処からかクー太の呼ぶ声が聞こえる。
「どうした?」
距離は離れているがクー太の声が聞こえるって事は俺も大声を出さなくともクー太は聞こえるだろうから普通の声音で尋ねてみる。
『人間さんいるよー?』
えぇー…。めんどくさいな…。一応クー太達には人が居たら関わらないように言ったが本当にいるとは思わなかった。
「どこだ?」
『四階ー』
一応確認はしておくか…。飛んで四階まで上がるとラックが居た。
「こっちなの!多分生きてるの」
「多分?」
「多分なの!」
意識がないのだろうか?それならなおさら放置していきたいんだが。
ラックについていくと一つの店の中に入っていき、レジの下、扉付きの収納空間になっているところに男が身体を縮め入っていた。
うん、面倒。女子供なら考慮したが、髭もじゃの痩せこけた男なぞ連れて行く気は皆無だ。
「生きてるんだろ?」
『生きてると思うよー』
「なら水と食べ物を置いて行く。拠点の近くならまだしもここら辺でこの人を保護できる場所なんてなさそうだし…この人を連れて戻るのは難しいしな」
まあ理由を述べたところで本音はめんどくさいってだけだが…。適当に物資を置いて店を出る。この建物の魔物を倒してやったし、建物の周りには魔物はほとんど居なかったし頑張れば生き延びられるだろ。
「助けなくてよかったの?」
「責任持てないからな…」
「でもメイとミミ、後…気の強そうな女の人は助けてたの!」
「あれは森を出るまで、ってだけだし。そのあとメイとミミを助けたのはあいつらが親父達と行動をしてたし、戦って生き延びようって意思があったからな。そこの男とは状況がちがうし、多分ずっと隠れていただけだろうからな…流石に助けたいと思えない」
まあ俺だって男だからな。見目が良かったり、か弱そうな女子供なら面倒でも多少手助けはするさ。気に入らなきゃ放置するが。
「正論なの!」
ふんふんと頷くラック。俺が助けない理由なんてわかっているだろうに…。
「ラック暇なのか?」
「暇なの!ご主人様よくわかったの!」
「いや、クー太はいつの間にか出て行ってるし、お前が分かりきってる事聞くからな…。もう魔物は倒し終わったのか?」
「全滅なの!皆は魔石回収してるの!」
「お前は?」
「風刃で切り裂いたら血とか色々飛び散ってランちゃんに邪魔!って怒られたの」
ああ。だから邪魔しないようにここにいるのな。別に手加減くらい出来るだろうに。初っ端失敗してランに結構キツく怒られたのだろうか?
「てか魔石回収してくれてるのか。俺もさっさと物資集めなきゃな」
それから二時間。やっと終わった。使えそうなものは根こそぎ貰ってきた。布団や椅子など大きな物は【亜空間倉庫】の方に入れていったため少し時間はかかったが満足だ。
あとは…あの男が多少気がかりだが…まあ頑張ってくれと祈っておく。
「主様」
「ん?クレナイか。どうした?」
「魔石を一箇所に集めておきましたので回収お願いします」
「早いな…。ありがとうな。とりあえずたくさん倒したみたいだしステータスを見ておきたいから魔石回収して一回外に出よう」
「かしこまりました。皆にもそう伝えておきます」
血臭…鼻がおかしくなりそうなほどの鉄錆とそれに混じる不快な臭い…臓物やゾンビの死臭が充満しているとこで流石にのんびりはできないため、回収する物を回収してさっさと外に出る。
「ふぅ…」
外に出ると陽が落ちる頃合いだった。夕陽をみながら血臭のしない空気を吸う。そして実感するのはやっぱり森の中にいる方がいい、ということだ。森の中の土や草木の匂いの方が落ち着く。
「皆お疲れ様。ありがとうな」
今日はもう休むかね。その前にステータスは確認するけども。
「何処で休むか…」
『あっ。ご主人様!屋上にいたやつらの魔石取り出しておいたんだけど持って来てない!』
あれ?リーフも建物内に居たからてっきりクレナイが屋上のも集めて居たのかと思ったんだが…。
「申し訳ありません。屋上のことを忘れておりました」
クレナイに視線を向けると謝られた。
「いや、謝らなくていいんだが…んじゃ屋上行くか。ついでに今日の寝床も屋上にしておくか。屋上なら火も焚けるしな」
屋上までまたいつもの布陣で飛んで行こうと思ったのだが、四階程度の建物なら皆登れるので、登れないエリンとサンク、シスだけ抱えて屋上に上がる。
「じゃあクレナイとハクは魚とキノコ焼いてもらえるか?その間にステータス確認しておくから」
「かしこまりました」
「わかりました。火はどうされますか?」
「ああ。それは俺がやる」
屋上に落ちていた魔石を回収し、まだ消えてない死体は下に放り投げ【水球】を使い汚れを洗い流す。
そしてブルーシートを敷き、回収した椅子を俺とクレナイ、ハクの分で三脚出し、クー太達用に布団とクッションを出してやる。
『ふかふかー!』
『これいいわね!』
『寝そうなのです…』
「アキ寝たら飯抜きだぞ?」
『頑張るです…』
『……気持ち良くて確かに寝ちゃいそう』
『あったかーい』
フェリもクシハも布団とクッションに埋もれてだらけ始めた。いや、いいんだけどな。可愛いし…俺も横になりたくなることだけが問題だ。
先程回収した中に木炭があったのでそれで火を焚き、
魚とキノコを出してクレナイとハクに任せておく。
「あ、シス、サンク。それとアルファも魚とキノコで大丈夫か?」
『だ、大丈夫です』
『文句なんてない』
『ありがとうございます!』
ん、問題無さそうだな。んじゃあステータスの確認を始めるか。
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個体名【中野 誠】
種族【狸人】
職業【テイマーLv8(使役上限数♾)】
性別【男】
状態【 】
Lv【70】12UP
・基礎スキル:【拳術Lv7】【防御術Lv2】
【速読Lv2】【造形Lv2】【料理Lv2】
【毒耐性(中)Lv3】
【精神耐性(大)Lv3】
【回避術Lv4】【テイムLv8】
【蹴術Lv5】【夜目Lv4】UP
【細胞活性Lv1】【回帰Lv2】
【風球Lv5】【雷球Lv4】
【水球Lv4】【火球Lv6】
【土球Lv3】【棍術Lv2】
【身体強化魔法Lv3】UP【風刃Lv5】
【跳躍Lv2】【亜空間倉庫Lv2】UP
【雷装Lv1】【魔装Lv1】
【爆炎Lv2】【痛覚軽減Lv1】
【亜空庫(小)Lv3】UP【魔圧Lv3】
【地操作Lv2】UP【硬化Lv1】
【重力操作Lv1】new
【火炎放射Lv1】new
・種族スキル: 【無特化】【変化】
・特殊スキル:【ステータス鑑定】【ボーナス(特)】
【テイム(特)】【結界生成】
【使い魔作成(特)】
・称号:【適応する者】【魔物を屠る者】
【魔物に好かれる者】【守り手】【希望】
○パーティメンバー:0人(0/5)
○使役魔獣:354匹(354/∞)
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個体名【クー太】
種族【妖狸(五尾)(亜成体)】
性別【オス】
状態【進化可能】
Lv【★30】13UP
・基礎スキル:【噛み付きLv8】UP【体当たりLv5】
【気配察知Lv5】【加速Lv3】
【風刃Lv5】UP【隠密Lv3】
【風繭Lv1】【雷球Lv3】
【風球Lv2】【雷刃Lv3】
【放電Lv2】UP
・種族スキル: 【変化】【風纏】【雷纏】
【自己再生】
・特殊スキル:【制限解除】【結界生成】
・称号:【進化・使役魔獣】【守り手】
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個体名【ラン】
種族【妖狸(五尾)(亜成体)】
性別【メス】
状態【進化可能】
Lv【★30】13UP
・基礎スキル:【噛み付きLv6】【体当たりLv5】
【気配察知Lv5】【隠密Lv2】
【風球Lv4】UP【風繭Lv2】
【炎球Lv2】UP【炎刃Lv2】UP
【風刃Lv3】UP【爆炎Lv1】
・種族スキル: 【変化】【風纏】【炎纏】
【自己再生】
・特殊スキル: 【制限解除】【結界生成】
・称号: 【進化・使役魔獣】【守り手】
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個体名【クレナイ】
種族【七歩蛇】
性別【オス】
状態:【 】
Lv【14】7UP
・基礎スキル:【噛み付きLv6】【指導Lv6】UP
【体色変化Lv★】UP
【尾突Lv4】
【従属化Lv3】【隠密Lv4】
【体当たりLv2】【捕縛Lv2】UP
【毒霧Lv1】【身体強化魔法Lv2】UP
・種族スキル:【脱皮】【鋼鱗】
・特殊スキル: 【制限解除】【蛇王】【人化】
・称号: 【進化・使役魔獣】【王種】
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個体名【ハク】
種族【ヴラウヴォルフ】
性別【メス】
状態:【 】
Lv【14】7UP
・基礎スキル:【噛み付きLv6】【気配察知Lv4】
【指導Lv5】【体当たりLv4】
【従属化Lv3】【魔圧Lv2】
【薙ぎ払いLv1】【光爪Lv3】UP
【身体強化魔法Lv3】UP
【光刃Lv2】UP
・種族スキル: 【群狼】【魔纏】【人化】
・特殊スキル: 【制限解除】【狼王】
・称号: 【変異体】【進化・使役魔獣】【王種】
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クー太とランが進化か。まあこの二匹は予想が楽だ。おそらく六尾になるんだろう。
進化は後回しにしてアキ達も順番に確認だな。




