125 久々の街
アルファに連れられ街に着いた。だが…。
「街?」
街というより廃墟群だな。拠点がある近くの街は崩れたりはしているもののまだ街と言い張れるくらい建物は残っていた。だけどもこれは…。
『ぼろぼろー』
『まともな建物がないわね』
クー太とランが言うようにまともに残っている建物がなかった。そして地上にはゴブリン、オーク、オーガ、ゾンビ、スケルトン、犬と思われる魔物が溢れかえり其処彼処て別種族同士で争っていた。
「縄張り争いか?てか人間いるのか?」
『いなさそー』
『そうね』
『ご主人様!上空からなら狩り放題なの!爆炎をたくさん撃ち込めば一掃できるの!』
『うじゃうじゃしてる!』
確かに。それほど魔物が溢れかえってる。これじゃあ物資調達ものんびり出来ないな…。
『ご主人様!どうされますか!』
『降りるー?』
アルファとリーフが俺がどうするか聞いてくる。
「見える範囲ほぼ魔物で覆い尽くされてるが…人間が隠れてたりすると思うか?」
『いないと思うよー?』
『いても死んでるんじゃないかしら?』
『ご主人様みたいに強い人ならいるかもなの!』
「だよなぁ。アルファはここらで人間見たか?」
『最近ここら辺で人間を見たことはありません!ただ自分はずっとここにいたわけではないので確実にいないとは申し上げることはできませんが…』
ああ。そうだよな。何時間も移動するくらい離れたところで会ったんだ。以前ここらに居てもわからないのは当たり前か…。
『適当にテイムして聞いてみたらいいの!』
「今人型とか犬とかテイムしても連れて帰れない…ことはないけど飛んでの移動ができなくなるからな…。もう少し飛びながら様子見だな。アルファ。もっとまともな建物とか人が居そうなところはわかるか?」
『かしこまりました!以前人がたくさん集まっていたところに案内します!』
「頼む」
三十分程飛ぶと広い駐車場と一部崩れた立体駐車場、いくつもの看板と大きな建物。ショッピングモールだと思われる建物が見えた。そしてその周りにはまだ形を保っているコンビニや家屋もある。魔物は…少しはいるか。
それにしても森に近いほど壊滅してるな。
「クロ、出て来れるか?」
『なに?』
「うおっ!」
ニョキッと首から下げていた鞄の側面から出てきたのでびっくりした。鞄かかっている俺の頭の影から出てきたようだ。
「そんなとこからも出て来れるんだな」
『影あるから。それでどうしたの』
「ここからあの建物の中に移動ってできるか?」
『……ちょっと遠い』
「了解。なら下に降りるから影を移動して、ざっとでいいから建物の中に人間がいないかみてきてくれるか?」
『わかった』
リーフとアルファに一旦降りることを伝え全員で降りる。
『じゃあ行ってくる』
「頼んだ」
クロがショッピングモールの様子を見に行っている間にコンビニと家屋を見にいくか。
「お前たちはここで待っててくれ。人間が来たら逃げて構わない。危なくならない限り攻撃は出来るだけしないように。魔物なら…優先的にエリンに倒させてやってくれ」
ほぼ全員がついて行くと言ったが…コンビニはすぐそこだし、リーフとかは中に入れないからな。一人で行ってパパッと物資だけ頂いてこよう。
コンビニの中はひどい有様だ。棚は全て倒れ、床や壁に蔦が這っている。
蔦を引きちぎり、無事な缶詰や洗剤、紙類等を探して亜空庫(小)に突っ込んでいく。前は多少なりとも後ろめたいような気持ちや後々問題にならないか、問題になったら面倒だなあ。なんて思ったが、現状を見ればもうここが以前の様に使われることは確実にないだろうから気兼ねなく持っていけるな…。
使えるものは亜空庫(小)に詰め終えたのでクー太達のところへ戻る。
「お前たち暇そうだな…」
全員…ではないな。ハクとクレナイ、クレナイの肩に載っているアルファ。それ以外のメンツは寝転がってゴロゴロしてた。
『戦いにいきたいー』
『今日はずっと動いてないから暇だわ』
俺が声をかけると真っ先に駆け寄り肩に乗ってきたクー太とランがそう言う。
「ならクロが戻ってくるまで…と言ってもそんな時間掛からなそうだしな。まあまた爆炎でも打ち上げて合図するまでそこら辺探索してきて良いぞ」
『やったー!いってきまーすー』
『クー太!待ちなさいよ!ご主人様行ってきます!』
クー太とランは元気だなぁ…。
『私も行ってくるね!』
「ああ。気をつけろよー」
ドライまでラン達を追いかけて行った。クー太達は巨大化してないから普通の子だぬきにしか見えないし、ドライもぱっと見ただの黒いネズミだから人間に見られても騒ぎにはならないだろう。
まあこんな世界で普通の動物がいる方がおかしいかもしれないが。
「お前たちはいいのか?」
クレナイ、ハク、アキ、フェリ、ラック、リーフ、クシハ、エリン、サンク、シス、アルファの十一匹はここに残り、俺が聞くと残った全員が首肯した。
まあクシハやエリン、サンクとシス、アルファは一匹だけでレベル上げに行かせる気はないが。
クレナイとハクはまあ…新参の子守りで残ってくれているのだろう。他のメンツも戦闘大好きっ子ってわけじゃないからのんびりするのは苦ではないんだな。
「んじゃアルファのステータス見させて貰うぞ」
『かしこまりました!私はどうすればよろしいでしょうか』
「ん?ああ。そのままで大丈夫」
『はっ!』
アルファはクレナイの肩の上で胸を張り背筋を伸ばしている。アルファはかなり大きいし、爪も鋭いし…重たくないのだろうか?というかバランス悪そうだな。ギリギリ捕まっていられているって感じだ。翼を畳んでいてもクレナイの顔の倍以上あるし…。
まあ嫌ならクレナイが拒絶するだろうしいいか。んでステータスは。
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個体名【アルファ】
種族【風鷹】
性別【オス】
状態:【 】
Lv【10】
・基礎スキル:【風刃Lv2】【風球Lv2】
【風呼びLv1】
・種族スキル:【飛行】
・特殊スキル:—
・称号:—
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一度進化した個体か…。それにしてもうちには風が得意な魔物が集まるなあ。まあ鳥だしな。てか鷹にしては大きいな。やっぱり魔物だからかね。
【風呼び】はその名の通り風を呼ぶらしい。無風の時に飛んでたら追い風を呼べるのだろうか?
「ご主人様ワタシのステータスも確認してみて欲しいの!そろそろ進化できると思うの」
「了解。んじゃラックのステータスを…と言うかお前たち昨日一昨日ってずっと狩りしてたからな。全員確認しておくか」
『ただいま』
「うおっ。おお…おかえり」
油断してた。目の前の影からクロが出てきた。
「早かったな?」
『隅々まで見てきたわけじゃないから』
「そうか。それで中はどんな感じだった?」
ステータスはまた後でだな。
『一階はゴブリンばっかり。2階はオークばっか。3階もオーク。四階はゾンビばっか。屋上もゾンビがいた』
「そうか…」
ゴブリンとオークの関係はどうなってんだろうな?んでゾンビはやっぱり元人間なのかね?上の階に逃げたけどオーク達に殺されるか餓死でもしたのだろうか?テイムしたら元の人間としての意識を取り戻したりするのかもしれないな…。
いや…餓死か魔物にやられたか、自殺か他殺か。それはわからないが一度死んだんだ。自我を取り戻してもまともな精神が残っているか…。まあ元の精神性を取り戻すとしてもゾンビはテイムしないがな。
「中の店の物は?」
『荒らされてるところはあるけど、物はたくさんあった』
「なら集めに行くか」
僅かな時間だったがクー太達の狩りは終わりだ。今からゾンビ狩りをしてもらおう。4階建だがかなり敷地が広いのでクー太達が満足するくらい魔物がいるだろうしな。
爆炎を上空に放ち数分経つとクー太達が戻ってきた。
『はやーい』
『大して狩れなかったわ』
『というかここら辺魔物少ないよ?』
「ここら辺の魔物はあの建物の中にいるみたいだぞ。ゴブリンとオーク、ゾンビだけみたいだが。
さて、クー太、ラン、クロ、フェリ、ラックは個別でもいいし誰かと一緒でも好きに倒して行ってくれ」
『任せてー!』
『たくさん殺るわ!』
『ん』
『…任せて』
『わかったの!』
この五匹なら上位種が居ても遅れを取ることは確実にないだろう。こんなとこに引きこもってる程度のやつになら。フェリとクロはまあいつも通りだが、クー太とラン、ラックは嬉しそうだ。
「クレナイはアルファと………アキと一緒に」
「かしこまりました」
『ご主人その間はなんなのです…?了解したです』
『お任せください!』
少し笑みを浮かべるクレナイはアキと行動させる理由は言わなくてもわかっているだろう。
アルファはキリッとしててかっこいいな。
そしてアキは少し不満そうな顔をするが心配だから仕方ないだろう。
「あ、クシハも一緒に行ってくれ」
『わかった!クレナイさんよろしく!』
「リーフ建物内じゃ行動しにくいだろうから屋上を頼めるか?」
『はーい!終わったら散歩してていい?』
「ああ。好きにしていいが無理はするなよ」
リーフは本当散歩好きだよなあ。
「ハクはエリンとシスとサンクと。三匹ともまだ一匹でゴブリンやオークの群れは難しいからな。頼むな」
「おまかせください」
「クレナイもハクも負担をかけてすまないな」
「気にされる事はありません。ちゃんとサポートしますので大丈夫です」
「ええ。気にしないでください。別に負担なんて思ってませんから」
「ありがとうな」
大人っぽい人型ってのもあるがどうもクレナイとハクには甘えてしまうな。ちゃんと労ってやらないと…。
『あれ?私は?』
「ああ。ドライは一匹の方がいいだろう?クロと組んでもいいが…」
『私だけで大丈夫だよ!危なくなったらすぐ逃げるから!』
「ああ。それは徹底してくれ」
ドライはどうも早く強くなりたくて仕方ないって感じだしな。それにドライは強さ的にはクー太達には及ばないが、クー太達のように正面から戦うタイプでもないしな。引き際もキチンとわかっているだろうし大丈夫だろう。
「じゃあ各々…適当に解散して建物内の魔物を殲滅してくれ」
霊狸でもたくさん出して…って思ったがレベル上げたがってるこいつらの獲物を取るのは良くないな。
俺の締まらない解散の合図を聞いて全員が駆けていく。
○魔物特徴
クー太 妖狸(五尾) 最小体長10〜15cm
最大体長約400cm
茶色一部白
ラン 妖狸(五尾) 最小体長10〜15cm
最大体長約400cm
茶色一部白
クレナイ 七歩蛇 体長約1500cm
赤色
ハク ヴラウヴォルフ 体高約200cm
体長約400cm
白銀色
アキ 巨大森栗鼠 体長約15cm
赤茶色一部緑縞
クロ 大黒毒蛇 体長約150cm
黒色
フェリ 大森鼬鼠 体長10〜15cm
濃茶色
ラック 人妖精 体長約10cm
髪:白色
リーフ 鷲獅子 体長約500cm
体高約300cm
緑色一部白
ドライ 闇鼠 体調約15cm
黒色
クシハ 翼刃鼯 体調約15cm
黒地に白斑
エリン 大茸(亜種) 体高約60cm
傘:黒地に白水球
サンク 緑甲亀 体長15cm
若草色
シス 緑甲亀 体長18cm
若草色
アルファ 風鷹 体長70cm
(広げた時の片翼約100cm)
背・翼黒、胸側白色
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