121 エリン進化
お待たせしました。
今年中に後一投稿できればと思いますm(._.)m
その後すぐフェリが狼の匂いを嗅ぎつけたのでフェリの誘導で移動する。
「ここまで来れば俺もわかるな。狼が三…四匹か?」
『…多分』
「よし。エリンはあっちの方角に向かって胞子を飛ばしてくれ」
『ここから飛ばすと主様とクシハ先輩まで範囲内になってしまいます…』
「先輩…?ああ。ならクシハ下がっていてくれ。俺は多分効かない。大抵のスキルもレベル差があると効きにくかったりするしな。それに【毒耐性】と【精神耐性】もあるし大丈夫だろう」
『わかった!』
『わかりました!』
エリンが傘を前後に振り始めると薄紫の粉が舞い始める。可視できるのか。いや、進化して狸人になった上、眼を凝らしているからだな。だいぶ眼が良くなった俺でも意識して良く見ないと見えない。
数分程胞子を飛ばす。
『全力でやりましたが…どうでしょうか?』
「流石に寝たかどうかまではわからんな。見に行こう」
草をかき分け、木々を避けながら二十メートル程進むと森狼達がいた。
「寝てはいないが…」
『無防備』
『……ウトウトしてる?』
四匹いる狼は座り込んで欠伸をしたり伏せの状態で手の上に顔を乗っけて寛いでる。眠らせることは無理でも眠気を誘発することはできたんだな。まだ森狼になって間もないのだろう。一匹魔狼だと思われる個体もいるし。
「まだこっちに気づいてないのか?」
『眠くて気付いてない?』
『クシハの言う通りだと思う』
「なら皆森狼を一匹ずつ倒してくれ。俺とエリンで魔狼をやる」
『『はいっ』』
『『わかった』』
フェリがまず駆け出し、次にクシハが飛び出す。クロはフェリが駆け出したと同時に影に潜り、すでに森狼の影から【尾突】を放っている。
「あっという間だな。エリン。俺が魔狼を抑えるから攻撃してみてくれ。ダメージが与えられなくても構わない」
『はい!』
飛ぶように駆け出し数歩で魔狼までたどり着き足と片手を使い身体を抑える。そして腕の中にいたエリンが飛び降り魔狼の上に。
ぽふっ。
そりゃキノコが頭の上に落ちてきたからってダメージ無いよな…。
エリンは魔狼の上から飛び降り俺が抑えている胴体にパンチしたりキックしたりするが…ダメージ入ってるのかわからん。エリンはレベル7だし、魔狼のレベルはわからないが進化前ってことはエリンとレベル差は大してないと思うし、それなりにダメージはあると思いたいが…。
「キャンッ」
あ、どこか痛かったのだろうか。魔狼が鳴いた。
森狼を倒したクロ、フェリ、クシハが戻ってきたがエリンは魔狼に攻撃し続ける。
『あ、主様…。全然歯が立たないのですが…』
「だなぁ…。なんか虐めてるみたいになってるし…終わりにするか」
ゼロ距離で【雷球】を発動する。
「ギャンッ!」
球じゃなく直接雷を流し込んだと言った方がいいな。とりあえず魔狼は沈黙したので魔石を取り出す。
「森狼も魔石を取らないと…あれ?もう取ってきてたのか?」
三匹とも魔石を口に咥えていたのでそれを受け取りお礼に撫でておく。
エリンのレベルは上がったかステータスをすぐ確認するとスキル欄に変化はないがレベルが10で上限に達していた。後は魔石だな。
「エリンこれを食べてくれ」
差し出した魔石を食べ始めるエリン。不思議だ。目があるのはわかるが口なんて見えないのにどんどん魔石が削れていく。仮に口にあたる穴があったとしても歯があるとは思えないんだが…。
食べ終わったので聞いてみようか。
「エリン口開けてもらえるか?」
『え?あ、はい』
小さな目と同じくらいのまるが現れた。ああ。ちゃんとあるんだな。
エリンを持ち上げ口のところを覗き込んでみる。
『あ、主様?』
「すまん、歯があるのか気になって。もう少し見せてくれるか?」
『は、はい』
見えにくいが小さな歯が生えていた。不思議だ。まあキノコに目があるのも意思を持っているのも不思議な話だけども…。
「ありがとう。じゃあ後いくつか魔石食べてくれるか?というか食べれるか?」
『はい。大丈夫です』
その後三つ食べたところで進化可能の表示が出た。
進化先を表示!
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○エリンの進化先を選んでください。
・大茸
・毒茸
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んー…。両方亜種固有の進化先って感じはしないな…。
そういえば亜種なのに種族スキルも覚えていなかったな?いや、進化すれば覚えるか?
同種のキノコはテイムできないしキノコの魔物は色々と特殊な個体なのかもしれないな…。黒い人面樹から生まれたみたいなことも言ってたし。
進化先の一応詳細も見ておくか?名前通り大きくなるキノコと毒を扱えるようになるキノコだろうが…。
ということで確認してみたが、やっぱり大きくなるか毒を扱うことに特化した種族だった。
「大きくなる種族と毒を扱うことに長けた種族どっちがいい?」
『大きくとは…どれくらいの大きさになるのでしょうか?』
「そこまではわからないが…」
どれくらいだろうか。アキやグレイはかなり大きくなったしな…。まあエリンはあいつらよりも小さいからな。大きくなっても一メートルまではいかないだろう。五十センチくらいか?わからないな…。
「大きくなっても俺の腰くらいまでだと思うぞ?」
『そうですか…。大きくなっても邪魔にならないでしょうか…?』
「そういうのは気にしなくていいよ」
「なら大きくなってみたいです。それに小さいと攻撃力もありませんし…」
「了解。なら大茸にするな」
『はい!』
大茸を選択しエリンが光出す。光がどんどん大きくなり俺の股下あたりまで大きくなり光が消えた。
「そこまで大きくはならなかったな」
光は股下あたりまで大きくなったが、エリン自体は俺の膝より少し高いくらいだった。まあ十センチにも満たなかったキノコが五、六十センチになったんだ。充分大きいか。
『以前より身体に力が入ります!』
「ならよかった。ステータス見るからちょっと待ってな」
『はい!』
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個体名【エリン】
種族【魔茸(亜種)】
性別【ー】
状態:【 】
Lv【1】
基礎スキル:【繁殖胞子Lv2】【鎮静胞子Lv2】
【睡眠胞子Lv1】【硬質化Lv1】new
種族スキル:【統率】new
特殊スキル:—
称号:【変異体】
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やっぱり性別はないのな…。んで【硬質化】と【統率】か。詳細表示。
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【硬質化】
・自身の身体を硬質化する。
【統率】
・自我の薄い者や自身よりレベルの低い者から好感を得やすくなる。
・また自身が相手を統率下に置くと認識し、相手が従うようになった場合、統率された者の知能が高くなり、自我をはっきりと芽生えさせることができる。
・統率下から外せばスキルによって得た自我や知能は喪失する。
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【硬質化】は俺の【硬化】の自分バージョン。クレナイの【鋼鱗】に近いスキルだな。
んで【統率】はかなり凄いスキルじゃないか?というかエリンらしいスキルだ。自我の薄い同族達と過ごしていたから亜種としてこのスキルが目覚めたのだろう。このスキルを使えばキノコ達に自我を与え知能を引き上げることができるのだろう。まあキノコじゃなくともテイムされていない魔物は大抵が自我があやふや…というか知能が低かったり、思考能力が低かったりするみたいだしな。
クレナイやハクの【従属化】に近いスキル、だな。まあ【従属化】とは違って知能を与えたりするが、その分統率下にあるうちだけみたいだし、従属ではないから離反したりする者も出てくるだろうが。
いや…統率下にあるうちだけ知能が上がり自我がはっきりとするなら、赤白キノコみたいな知能が低くテイムできない魔物を統率下に置いてもらって、その状態なら俺がテイムすることができるか…?まあ赤白キノコがテイムできない理由が知能が低かったり、自我が薄いってのが理由ならだけども。
試してみてもいいが…………赤白キノコはいらないな。あれは俺らの中ではもはや食料だ。エリンが同族で部隊を作りたい、というなら止めはしないがテイムするのはやめておくか。
とりあえずエリンにスキルの詳細を教えてやる。
「まあ今のところ【統率】は使わなくてもいいな。どうしても赤白キノコを自身の配下にして部隊を作りたいというなら止めないが…今はお前が強くなる方が優先だな」
『はい。特に部隊を作りたい、って気持ちはないです。それよりも【硬質化】を使った状態で攻撃したらダメージを与えられるのかが気になります!』
「それは後で試せばいいさ。どうせやる事なんて俺がテイムするか戦闘するか食料集めくらいしかないんだから。まあ明日か明後日には移動するつもりだが」
その後狼の群れを見つけたので先程と同じように【睡眠胞子】を使ってもらった後に、手分けをして倒し一匹だけ残す。そして残った一匹を俺が抑えエリンに【硬質化】を使わせて攻撃をさせてみた。
「かなり威力が上がったな…」
『はい!』
エリンの声はどこか弾んでいる。
身体を硬質化させ俺の押さえつけている森狼に攻撃した結果、エリンの体当たりを受けた森狼の頭部は二回の体当たりで陥没し、息絶えた。
まあ助走をつけた上、動かない相手の頭部への体当たりなので実際の戦闘で上手く戦えるかはわからないがとりあえず戦力にはなるだろう。今後は数が少なければ単体で戦闘させてもいいし、クシハとペアを組ませてもいいだろう。クシハは飛べるし遠距離攻撃ができ、エリンは硬質化して体当たりやタンクとしての役割ができる。相性はいいと思う。
「んじゃあ狩りを続けて日が暮れる前には帰るか」
『『うん』』
『『はい!』』
フェリとクロ、クシハとエリンの返事は正反対だな…。淡々と話す二匹と元気良く返事をする二匹。
まあ仲が悪いわけでもないからいいか。
○魔物特徴
クー太 妖狸(五尾) 最小体長10〜15cm
最大体長約400cm
茶色一部白
ラン 妖狸(五尾) 最小体長10〜15cm
最大体長約400cm
茶色一部白
クレナイ 七歩蛇 体長約1500cm
赤色
ハク ヴラウヴォルフ 体高約200cm
体長約400cm
白銀色
アキ 巨大森栗鼠 体長約15cm
赤茶色一部緑縞
クロ 大黒毒蛇 体長約150cm
黒色
フェリ 大森鼬鼠 体長10〜15cm
濃茶色
ラック 人妖精 体長約10cm
髪:白色
リーフ 鷲獅子 体長約500cm
体高約300cm
緑色一部白
ドライ 闇鼠 体調約15cm
黒色
クシハ 翼刃鼯 体調約15cm
黒地に白斑
エリン 魔茸(亜種) 体高約10cm
傘:黒地に白水球
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