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111 モモンガvsオオカミ

 

 なんだ?


 《共有中の相手によって条件が満たされましたので内訳が確認できます》


 二度目のアナウンス。

 連続でアナウンス入ったな…?親父が進化させてくれて条件が満たされた、と?

 ステータス確認するか?

 流石にゴブリンを倒したとこじゃ落ち着けないな。少し移動するか。可愛く胸を反らしながら、俺の撫でる手が止まったことで小首を傾げているクシハを抱え上げる。


「少し移動するからな」


 移動を始めると俺の耳がガサガサって音を拾う。出てこなくていい時に…。出て来て欲しい時に出てこいよ…。

 音のする方を見ていると今度は森狼が四匹出て来た。どうしても今すぐにステータスを確認しなければならないってわけでもないので先ほどと同じようにクシハに倒させるか。

 両脚切断はえぐかったので、今度はクシハを抱えたまま駆け出し手加減しながら蹴りを入れる。


「キャイィィン」


 次っ。


「グァァァァ」


 四匹を蹴り飛ばす。最後のやつは死んだか…?強く蹴りすぎた気がする。動いてないし。

 他の三匹は立とうとしてたり、横になってピクピクしている。


「すまんな。クシハの糧になってくれ。クシハ攻撃だ」


「キュ!」


 今度は何をするべきかすぐわかったようですぐにバタバタし始めたので下ろしてやる。


「チチチチチチチチ」


 魔法使う時その威嚇音みたいなのを出さないと駄目なのだろうか…?森狼達はやはりゴブリンより強いらしく

 クシハは両の皮膜から魔法を撃ち、二撃、三撃と撃ってやっと一匹仕留めた。


「キュ…」


 三匹を仕留めたクシハは先程のように、褒めてっ!って感じではなくテンションが低い。疲れたのだろうか?


「疲れたのか?魔法以外の攻撃でもいいんだぞ?」


 噛み付きくらいなら使えるだろうし。次は魔法使おうとしたら止めてみるか?

 ゴブリンは捌く気に慣れないので放置したが森狼には何度もやっているので、亜空庫(小)から新品の包丁を取り出し魔石を取り出す。魔石を取り終わるとクシハを抱え上げ、撫でてやりながらまた移動する。


 そして二分も移動せずにまた音が。この匂いはまた狼だな…。


 !?


 こちらから何もせずとも匂いや気配でこちらに来ると思って狼達をその場で待っていたら狼が六匹現れた。


 おいおい。あの一匹だけ後ろにいるやつ幻狼じゃないのか?イチロウみたいに靄を纏っている。しかも他の個体よりも一回り大きいのだが…。イチロウはそんなに大きさ変わらなかったよな?


「グラァァ!」


「チッ」


 まあそうだよな。俺がいるのを知って向かって来たんだ。様子見なんてせずに襲ってくるかっ。


「風刃!風刃!」


 幻狼と思しき個体は後ろで待機し、五匹が襲いかかって来たので手前にいる二匹に風刃を放ち横に跳ぶ。


「チチチチチチチチ」


「ちょっ!クシハ落ち着けって!」


 クシハが腕から抜け出そうとするので捕まえている力を強め、森狼達と更に距離を取る。


「お前も戦うのか?」


「キュッ!」


「…無理はするなよ?」


 大人しくするように言っても聞かなさそうだったので離してやる。離した瞬間クシハは木に登り始めた。

 逃げた…訳ではないだろう。上から攻撃するか、俺の邪魔になると思って離れたってとこか?

 とりあえず風刃の当たった二匹は前脚を飛ばせたから動けていない…が、幻狼も戦闘に参加するようだ。

 ……幻狼が出て来て焦ったがこれくらいの敵なら苦戦することはないからな。速攻で終わらせてもいいのだが…上を見上げるとクシハが皮膜をバタつかせ魔法を放とうとしているのが見える。


 クシハがやる気になっているし、森狼三匹は残しておくか。

 ということで…森狼を飛び越え幻狼に飛び蹴りをする。

 こいつの種族スキルは幻術だったか?確か自身より強い相手には効かないみたいなスキルだよな?なら問題ないか。少し強い森狼だな。


 んじゃこいつもクシハのレベル上げの糧になってもらおうかね。手加減して風刃を撃ったら避けられてしまった。んじゃ肉弾戦ってことでっ!


「ガァァァ!」


 接近し思い切り蹴り上げる。二回進化した個体なんだし、耐えられるだろう。耐えてほしいな?

 吹き飛んだ幻狼を見るとまだ動いている。立ち上がろうとしては膝を折って、また立ち上がろうとする。

 追撃したら死にそうなんだよな。それと事故や咄嗟の行動の結果ならともかく、手脚を切り飛ばすのはやっぱりいい気分じゃないし…。ということで頭に弱めの土球!


 ゴンッ。


 ふむ。動かなくなったけど…流石に生きているだろう。

 お次は普通の森狼だな。といっても横目で見ていたがクシハに襲い掛かろうと気の幹に取り付いている森狼を木の上から魔法を飛ばし一匹を倒した後木々の間を飛び、たまに急降下して体当たり?広げた皮膜をぶつけて攻撃をしていた。

 今は木々の間を飛んでいるところだった。


 森狼を見ると身体から結構な血を流しているな。噛み付きか?それとも爪?

 どんな攻撃をしているのか目を凝らして見ているとクシハは急降下して森狼に突撃する。そして皮膜が森狼の喉に当たると鮮血が飛び散る。


 なにあれ?あんなにふさふさふにふにしている皮膜でどうやったら刃物で切りつけたような傷ができんの?

 その後少しすると喉を切られた個体は倒れ、同じことを繰り返し最後の一匹も倒した。


「キュッキュッキュー!」


 クシハが樹上から飛び込んできた。


 ちょっとまて!皮膜大丈夫だよな!?刃物化してないよな!?おっかなびっくりクシハを受け止める。


「キュッ!」


「お、おう。すごいぞ!」


 撫でながら抱えている方の手でさりげなく皮膜を触ってみるがいつも通り柔らかいだけだった。

 任意で発動…刃物のようにできるスキルだろうか?あと魔法使わなくなっていたけど魔力枯渇しているのだろうか?


「よし。クシハ。あそこの二匹と、あっちに倒れているやつを倒せるか?」


「キュ?」


 んー。首を傾げられてしまった。完全に伝わっている訳ではないのか。風刃を手に出し脚を切られ踠いている森狼達へ撃つフリをする。


「できるか?」


「キュ…」


 あー。その反応はできないってことかね。やっぱり魔力枯渇か…。


「ならあっちの大きい狼を倒して来てくれ」


 今度は幻狼を指差し殴る真似をする。


「キュ!」


 腕から飛び出し気絶していると思われる幻狼へ近づき…ガブッと。やっぱり噛み付きは出来るのね。

 首に噛み付きある程度すると口を真っ赤にさせて満足気に戻ってきた。


「倒せたか。よくやった。んじゃあっちの気絶せずまだ少し動いている森狼は俺がやるぞ」


 ジタバタしている森狼に噛み付きしようとしても難しいだろうからな。それに普通の森狼じゃあ土球を頭に撃ち込んだら気絶じゃ済まないだろうし。

 ということで風刃を二つ飛ばし首を刎ねる。その後はクシハを一旦地面に置き、魔石を取る。


 出会いたくない時ほど魔物と出会うな…。それにしても…野生の魔物で二回進化した個体は初めてか?やっぱり時が経つにつれ野生の魔物も強くなって進化して行くんだな…。


 気を取り直して数分程歩き先程の戦闘場所からある程度離れたところまで来た。魔物は近くにいないな…?

 ステータス確認中に邪魔が入っても面倒だし、集中して気づかなくてクシハが怪我をする、なんてことになっても嫌なので木に登ろうか。


「大人しくしてろよ?…よっと!」


 太めの木の枝まで一息で跳び上がり、クシハを抱えたままバランスを取って座る。


 やっと落ち着けたな。さてと…ステータス確認しますかね。

 クー太達のステータスは後でだな。とりあえず自分のを確認だ。


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