110 生簀
お久しぶりです。
投稿遅れて申し訳ありません。
次話は出来るだけ早めに投稿したいと思います。
いっ……たくはないけどびっくりした…。
『ご主人様大丈夫?』
クロが影から出てきて心配してくれる。
「大丈夫だ。というか…」
上を見るとクレナイとハクがこちらを覗き込んでいた。
そう。覗き込んでいるのだ。
三メートルくらいだろうか?横幅三メートル、縦も三メートルそれくらいの穴の底にいる。
考えればわかることだよな…。座って手を置いているとこに穴を空けようとしていたのだ。穴が空けば俺も落ちるわな。
壁に触れてみるとかなり固くなってはいるが指に土がつく。これだと水を入れたら泥が混じりそうだ。表面を固く…子供の頃作った泥団子のようなつるつるにするイメージで魔力を流す。
今度は一発でできたようで表面がつるつるになった…けど手で触れていたところとその周りだけだった…。
とりあえず足元と手の届くところを固めていく。
「クロ影の中に入ってな」
『わかった』
周りの土壁が全て凹凸のないつるつるになった。どうやって登るのかって?助走なしでも三メートルくらいなら問題ないのだ。
「ふっ」
「主様驚かせないでください…」
「本当びっくりしましたよ。そんなに深い穴じゃなくてよかったです」
穴から出たらクレナイとハクに小言…ではないか。とりあえず心配させたようだ。
「すまん。考えなしだったな。まあとりあえず…魚もまだ気絶してるみたいだしこの中にいれるか。というか気絶だよな?ショック死してないよな?」
「どうでしょう?見て参ります」
「獲ってきますね」
「頼んだ」
クレナイ達が魚を獲ってくる前に水を入れなきゃな。
その前に下から手が届かなかった部分を固めて、水球を穴の中に打ち込んでいく。打ち込むというより掌に出して落とすといった感じだが。
水球を出しながら思ったのだが…これ…網がないし、魚を獲るときにまた魔圧か雷球をしなければ獲れないよな。まあいいか。
「主様とりあえず持てるだけ持ってきました」
「それとちゃんと生きてましたよ」
クレナイが人抱えもある大きさの魚を五匹、ハクが四匹獲ってきてくれた。
「ありがとう。ちょうど水入れ終わったからここに入れておいてくれ。穴を大きくしすぎたし、もう少し入れられるだろうからもう一度獲りに行こう」
その後三人で運び計二十匹を穴の中へ入れた。いくら穴が大きくても魚もそれ相応に大きいので少し窮屈かな?とは思ったが別に飼うわけでもないし、問題ない。
『終わったのー?』
「終わったぞ」
リーフに乗って池の上を遊覧飛行?していたクー太、ラン、アキ、フェリ、ラック、ドライ、リーフ、クシハが戻ってきた。
「キュッ!」
「ああ。お前もいるのは忘れてないぞ?」
モモンガのクシハが、ただいまー!…と言っているのかはわからないが、リーフの上から飛び降り勢いよく飛びついてきた。
「食べるのは夜か明日だな。だからここを一旦拠点にして周囲の探索とレベル上げをしようか。とりあえずまた全員で散らばって探索。ある程度したら魔圧…したらクシハが怯えるだろうからな…。ここに戻ってから空に爆炎でも撃てばわかるか?」
『わかるよー』
『わかるわよ。爆炎を合図にするなら戦闘で使わないでよね?』
「かしこまりました」
「はい。見えなくても爆炎程の魔力の高まりならわかりますので、ランさんが言うように戦闘で使わないでもらえると助かります。合図なのかどうかわからなくなりますから」
『わかったです!』
『わかった。影の中に戻ってくるから驚かないで?』
『…ん』
『わかったの!』
『『はーい』』
「キュ」
「クシハは俺と行こうな」
「キュッ!」
「ドライとリーフも出来れば誰かと一緒に行動してほしいが…まあ大丈夫だろう。何度も言うようだが無理はするなよ?」
『大丈夫!』
『何かあったらすぐ飛んで逃げてくるよ!』
「そうしてくれ。じゃあまた後でな」
そう言うと全員が散らばっていく。
「じゃあ俺らも行こうか」
「キュ!」
とりあえずゆっくり歩きながら森へ向かう。
それにしても…テイムが出来ないのは不便だ。管理が出来なくなりそうだからあんまり増やし過ぎてもなーとか、増やした方が自身の強化にも繋がるからたくさん増やしたいなー。なんて悩んだりするが、やっぱりテイム出来ないのは辛い。
いくら自身の強化に繋がるといっても、今更普通の蛇とかを自分からテイムしに行く気はあまりないが…新種や見た目がもふもふだったりする魔物をテイムしたい欲求はなくならないし。
にしても皆が行った方角とは出来るだけ違う方角へ行っているが魔物には会わない。多分クー太達が少し離れていても片っ端から倒しているのだろう。
十分程歩いてようやく魔物を見つけた。
ゴブリン三匹か。少しグロいが…風刃!風刃!風刃!
三匹の脚を切り落とし動けなくする。少しどころじゃなかった。うぇ…。
自分でやっといてそれは酷いと思うが…流石にかわいそうだ…。必要がない限りもうやらん。
「クシハ。攻撃できるか?」
「キュ?」
「あいつらに攻撃だ」
ゴブリンを指差し、その後殴る真似をする。
「キュキュ!」
バタバタし始めたので地面に下ろしてやる。
「チチチチチチ」
威嚇声?いつもの可愛らしい声とは違い、声というよりは音を出し、皮膜をバタつかせる。
シュッ。
お!?左右のバタバタさせている皮膜から風刃らしきものが飛び出しゴブリンに当たった。
「キュ…」
「落ち込むな落ち込むな。何度もやってみろ。な?」
「キュッ」
左右から出た二発の風刃は一発はゴブリンに当たり、もう一発は当たらなかった。しかも胴体に当たりゴブリンを殺す威力はなかったみたいでのたうちまわらせるだけの結果になった。
それが悔しいのか、外したことに落ち込んだのかはわからないが、また皮膜を広げ次の魔法を放とうとしている。
というか魔法が使えたことに驚きだ。クシハは進化した個体なのだろうか…?種族名がわからないからな…。やっぱりテイムスキルがないと不便だ。
二度目の風刃は首辺りに当たったらしく、切断はしていないがゴブリンは動かなくなった。
そして残りの二匹も同じ要領で仕留めるとクシハは俺の方に振り返り仁王立ちした。
「キュッ!」
モモンガって仁王立ちできるのか…。魔物だからかもしれないが。…じゃなくコレってドヤ顔してるのだろうか…?
とりあえず褒めておくか。
「よくやったな。これからもこの調子で頑張れよ?」
言葉は通じてる…とは思うが実際どうかわからないので撫でてやる。
「プシュップシュッ」
なんか変な鳴き声を上げ始めた。喜んでる…ってことでいいのだろうか?
「じゃあ行こうか」
「キュ!」
《十二匹を二度以上進化させたことにより職業【テイマー】のレベルが上がります。職業【テイマー】のLvが上昇したため基礎スキル【テイム】、個体名【中野 誠】のLvが上がります》
はい?




