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109 魚




「亀の…魔物だよな?」


「今まで魔物じゃない生き物は見たことないの!だから魔物なの!」


そうだよな。

普通の亀なら突然俺に噛みつこうとしないだろうし…。

足元に亀がいないのを確認した後、水面を眺める。全然水中が見えないからなぁ…。

というかやっぱり水の中にも魔物いるんだな。川に行った時は特に襲われなかったがいたのかもしれない。


水の中にこちらに襲いかかってくるような敵性の魔物がいるとして…そして普通の魔物ではない生物はいないと仮定して…。


「よし。雷球を打ち込むか」


「なんでそうなったの!?」


『ご主人がお魚さんをいじめようとしてるです!?』


ラックと…アキにまで突っ込まれてしまった…。


「いや、普通の生物見たことないだろ?だから敵性のある魔物しかいないと仮定して、とりあえずどんな魔物がいるか気になるから雷球打ち込もうかと…」


『ご主人様…敵対しない温厚な魔物だっているかもしれないんだからやめてあげなさいよ…』


「主様。魔圧でいいのでは?」


「まあそうだが…。魔圧か。お前たちは大丈夫か?こんな近くて魔圧使っても」


『多分大丈夫ー』


「私も大丈夫だと思います。慣れてきましたよ?初めは身構えてもいませんでしたし、驚きもありましたからキツかったですが」


『大丈夫だと思うです!』


『大丈夫』


『私も大丈夫…だと思う』


『身構えてれば多分大丈夫なの!』


『近くで見たことないからわからないよー』


『私は…あれまだ怖いけど…ご主人様と敵対してないから多分我慢はできるよ』


「そうだな…。ドライには慣れてもらいたいんだよな。ただクシハが耐えられないだろう?」


「なら私がクシハちゃんを連れて離れてますから魔圧しちゃってください」


「んー。なら頼めるか?」


「はい」


ハクがクシハを抱えて離れる。かなり離れるな…。見えなくなるくらいまだ離れたのでいいだろう。


「ドライ気合いれておけよー。リーフも頑張って我慢してくれ」


『わかった!』


『はーい』


魔圧!


『うひゃあ!』


変な声が聞こえてきたので後ろを見るとドライが目を見開いてぷるぷるしてた。気絶しないだけ上出来だろう。

ドライが意外と可愛い反応をしたので顔が緩む。とりあえずあとで褒めてやらないとな。


少しするとハクとクシハが戻ってきた。

クシハを見るが大丈夫そうだ。


池を見ると今のクー太たちよりも大きい二、三十センチの魚から俺くらいの大きさの魚が浮いてきた。どんどん浮いてきて見渡す限り魚だらけに…。


「あれ?亀がいないな…?」


亀は気絶してない…?いや、そんな強い魔物ならクー太とランの魔法を喰らって吹き飛ばないか吹き飛んでもすぐに襲いかかってくるだろうし…。そういえば魚ってなんで浮くのだろうか。

浮き袋があるから…だよな?んじゃあ亀は魚と違って浮き袋とかないから気絶しても浮いてこない、とかだろうか。


「まあ亀はいないが魚はたくさんいるな。少し獲って食べてみるか…?」


『食べたーいー!』


『食べるわ!』


『食べてみたいです!』


『…!!食べてみたい…!』


「キュッ!」


うちの食いしん坊達が俺の呟きを聞いて魚を御所望らしいので食べてみることにする。というかクシハはちゃんと言葉を理解しているのだろうか…?

この魚達なー…泥臭そうだよなあ。寄生虫とかもいるかもしれないし…。いや、魔物だから大丈夫か…?心配だからやめておこうかなー…。


…チラッと後ろを向くと目をキラキラさせている子達がいるんだよな…。言わなきゃよかった。


「少し待っててな」


魚達が目を覚ましたらもう一度魔圧するか、今度こそ雷球ぶち込めばいいからとりあえず魚は放置。

俺は湿っていない場所まで来て地面に座り目を閉じる。何をするかって?地面に穴開けて、ツヴァイがやったように固めて簡易な水槽?生簀?を作るのだ。

水球を貯めた生簀で夜まで放置しておけば少しは泥臭いのは減るだろうし…。成功するかはわからないが。


目を閉じ集中する。ツヴァイが出来るのだから俺の方にもその適性かスキル経験値みたいな物が入っているだろう。他の魔法は割と簡単に出来たんだからできると信じてイメージをする。


…………………………。


『ご主人何してるです?魚はまだです?』


『アキ!うるさい!待ってろって言われたんだから待ってなさいよ』


『だってご主人目を閉じて結構経つのに何も起きないです!』


『まあそうだけど…。……寝てるのかしら?』


『ご主人ー?』


『ご主人様?』


『ご主人さまー?』


『ご主人様…?』


『『ご主人様ー?』』


「キュー?」


うるさっ!まったく…もう少し待ちなさいよ…。


!?


目を開けたら目の前にはリーフの顔があった。

びっくりしたわ…。視線を少し下に向けるとクー太、ラン、アキ、フェリ、ドライ、更にはクシハまでが首を傾げていた。しかも全員左側に首を傾げている。


なにそのシンクロ。


とりあえずうるさいって気持ちと可愛いって気持ちを込め全員の頭をわしゃわしゃーっと少し乱暴に撫でてやる。


「まったくお前たちは。アキやアメリじゃあるまいしそんなすぐ寝ないわ」


『えー?わたしそんなすぐ寝てるですー?』


自覚なし…?


「とにかく、もう少し待ってくれ。あの魚をそのまま食べる気にならないから、一旦捕獲して綺麗な水にいれて時間を置きたいんだよ。だからそのための穴を空けようと思ってな。ただ、そんな魔法使えないから今イメージしてなんとか新しい魔法を発動させようとしてたんだから…もう少し待て」


『わかったー』


『ごめんなさい。静かに待ってるわ』


『ごめんなさいです…』


『待ってる…』


『わかった!』


『なら少し飛んでていいー?』


「いいけど…あんま遠くに行くなよ?クレナイ、ハク。こいつら見ててくれ。特にアキを。クロも暇なら散歩してきていいぞ?」


「かしこまりました」


「見てますけど大丈夫ですよ。アキちゃんだって強いんですから」


ハクがふふっと笑う。確かに普段の行動がアレなので強そうにみえないが、それなりに強いのはわかっている。わかっているのだが…なにするか不安になるのも事実だ。アキなら気がついたら池に落ちて溺れていても不思議じゃないし。


『ご主人さまー。ボク達もリーフに乗ってきていいー?』


「いいけど気を付けろよ?落ちないようにな?」


『大丈夫だよー』


まあずっと側で静かにしているのも暇だろうからな。

俺はもう一度集中する。穴掘りスキルなんてどうすれば身につくかわからない。いや、正解かはわからないがスコップを持って、魔力を流しながら穴を掘ったり、魔力を流す時土球を作るときの魔力をイメージしたりすれば覚えられるのでは…?とは思うがスコップないし。素手で穴を掘るのは…めんどくさい。

てことで地面に触れているところから土をかき分け、周りを固めながら穴を空けるイメージをしているのだが…。なにも起こらない。魔力は減っているけどな。

イメージを少し変えたりして続ける。


……………………………!?


ドンッ。


「主様!?」


「ご主人様!?」


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