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106 探索

 

 結論から言えばあっという間だった。

 俺が魔法を連射し、クロが影に潜り、蛇になったクレナイが飛び出した。クレナイがある程度距離を詰めたところで尾突を放った。

 そして泥ライオンが声は上げないが苦しそうに暴れているところに影からクロが出てきて、クレナイの尻尾が刺さっているところに更に尾突を放った。


 おそらくクレナイの攻撃だけでも魔石を貫通していたか傷をつけていたのだろう。放っておけばあの様子からして死にそうだったがクロがトドメとばかりに尾突をし完全に魔石を砕いたのだろう。

 それからはあっという間に泥ライオンの身体は崩れ、周りにまだ残っていた泥魔物達も崩れ去った。


『終わった』


「終わりました」


 俺の影からクロが、そして人化したクレナイが戻ってきた。


「ありがとうな。にしてもあいつはなんだったんだろうな…」


 ラックの魔霊みたいな存在だったのだろうか?泥の妖精とか?

 そう考えながら崩れた泥を見ていると、泥はどんどん乾燥していき砂のようになった。


 風球を作るように魔力を手に集め、球ができる前に前へ手を出し放出してみる。


 ふわっ。サァー。


 やっぱり中途半端な状態で放出したためそよ風が出た。そして砂を吹き飛ばしていく。


「魔石を拾って移動しよう」


 そう。砂になった泥を風魔法で吹き飛ばしたら魔石が大量に出てきたのだ。全ての泥魔物から魔石の反応があるとクレナイが言っていたので試してみた結果、正解だった。


 魔石を拾い集めると結構時間がかかってしまってすでに十九時だ。そろそろ落ち着ける場所を見つけないとな。


「全員散らばって川縁や魔物のいない開けた場所を探してくれ。俺が魔力を放出したら何も見つからなくても俺のとこに戻ってきてくれ。

 それと…さっきの泥のような魔物や苦戦しそうな魔物がいればすぐに戻ってくるように」


『わかったー』


『わかったわ!』


「はい」


「かしこまりました」


『わかったのです!』


『わかった』


『ん…』


「了解なの」


『頑張る!』


『はい!』


「リーフとドライはあまり無理はするなよ?お前もそれなりに強いのは知っているが、それでもまだあまりレベル上がってないんだからな」


『わかった!』


『はーい』


 全員はバラバラに散る。

 クー太とラン、フェリ、ドライ、人化を解いたクレナイとハクは地を進み、アキは木に登っていき、クロは影に沈み、ラックとリーフは飛び上がり木の間を縫うように進む。


「さて。俺も行くか」


 誰も向かっていない方向へ進む。あまり離れすぎても皆が戻ってくるのが大変になるだろうから走らず歩くことにする。

 ある程度歩いては止まって、上を見上げきのみや果実があるか見ながら移動する。

 かなり上の方に緑ではない、茶色か赤っぽいのは見えるがほとんど葉っぱに隠れて見えない。

 メイ達はよく見つけたな。背の低い木に実がなっているのを見つけたのだろうか?


「あれ?」


 夜目と狸人になって以前より良くなった眼を凝らし木の上をジッと見る。


「コウモリ…か?」


 木の上に何かいる。かなり上の方にいる上、黒い物体のようなので夜目でもあまり判別出来ないが、確かに動いた。

 モモンガとかかもしれないが…なんかいるな。


 テイム不可は不便だな…。テイム枠が無限じゃなかったらこんな事で悩まないのだろうが、いかんせんいくらでもテイムできてしまうので初種族…ゴブリンや泥魔物みたいにキモかったり、猿みたいにムカつく種族じゃなければテイムしたくなるんだよな…。



「まあちゃんと探せばいろんな魔物がいそうだし、テイム能力が戻ったらテイムしにくればいいか」


 その後も樹上を気にしながら歩くが特に何もない。いや、なにか実らしきものやコウモリかモモンガか何かの魔物がいるんだが、襲ってくる魔物や取れそうな実もないのでただ単に歩いているだけだ。


 30分は歩いただろうか。誰も俺のところに来ないな。近くには休めそうな場所はないのだろうか。

 音を立てると魔物が寄ってくるのであまりやりたくなかったが木々と草を魔法で刈って夜営場所作るか…。


 魔圧。


 皆がどれくらい遠くまで行っているかわからないので割りかし全力で放つ。


 ボトッ。ボトボトボトボトッ。


「え?」


 なんだ。なんの音だ?なんか落ちてきた?虫じゃないよな…?

 目を凝らして周りを見てみると…やっぱり何か落ちていた。黒い鳥…?突いてみるが反応はない。足で転がしてみる。


「あ。コウモリだこれ。やっぱり上にいたのコウモリだったんだな」


 これ…魔圧で気絶して落ちてきたのか…。すまない…。そんなこと全然考えてなかった。


 周りに落ちているコウモリ達を一か所に集める。

 あれ?これコウモリじゃないぞ?ムササビ…モモンガか?モモンガなんて昔動物園で夜行性の生き物を集めている場所で一度見たことある程度だから、多分って付くが、モモンガだと思う。ムササビってもっと大きいイメージだし。こいつは掌サイズだ。クー太より少し大きいか?


 にしてもコウモリ十五匹にモモンガ一匹。結構落ちてきたな…。


 とりあえず回帰を発動する。怪我はしていないかもしれないが…これだけの高さから落ちたからな。襲ってきたんじゃないし、今テイムできないから回帰で治してやる。

 怪我をしていても大したことないせいか魔力もそんなに減らなかった。


 さて…こいつらどうしようか。敵意があったわけでもないし、無抵抗だし…意外と可愛いし…。

 魔石あげたらついてくるかな?


 とりあえずコウモリ達の近くに座って、皆が戻るのと、コウモリ達が起きるのを待つ。


『ご主人さまただい…まー?』


 五分くらいして巨大化したクー太が戻ってきた。


『なにしてるのー?』


「暇つぶし…?」


『暇つぶしにその子いじめてたのー?』


「いじめじゃないぞ?…観察だ」


 クー太が言うその子とは胡座をかいた俺の足の上にいるモモンガのことだ。

 意外と毛の触り心地いいし、飛膜…飛ぶじゃなくて皮で皮膜か?なんて言えばいいのかわからんが皮膜でいいか。とりあえず皮膜を広げたり揉んだりして遊んでた。いや…観察していたんだ。

 そして皮でできてるせいか柔らかくて触り心地がいいのだ。


『その子仲間にするのー?』


「したいけどテイムできないからな」


『そっかー…』


 そのあとクー太は小さくなり肩に乗る。そして俺がいじっているモモンガを一緒に観察する。ついでにコウモリも一匹捕まえて皮膜…こっちは飛ぶから飛膜か?とにかく翼を広げたり口を開けて牙を見たりして時間を潰す。


『ご主人様ただいまー…なにしてんの?』


『ただいまなのです!』


「ただいまなのー!新しい仲間なのー?」


「ラン、アキ、ラックおかえり。いや、合図のための魔圧したらこいつら落ちてきてな。あそ…観察してた」


『今、遊んでるって言いかけなかったかしら』


「気のせいだ」


 もぞもぞ…。


 ん?今動いたか?


「!?チチチチッ」


「!?ギィギィ!」


 !!


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