105 泥沼
昨日は帰宅後即寝してしまって投稿できてないので、後ほどもう1話載せます。
ここら辺はオーガの縄張りなのかね?魔物がいない。
「森に入るとまだ完全に陽は落ちていないのに暗いよな。今日野宿できる場所探したらそこで早めに休むか」
『オーガさん?の匂いがするよー』
「あいつら追いかけて来たのか?」
『違うみたいよ。前から何匹かくるわ』
「ならあの集落のオーガかもしれないから殺すのはやめておくか」
少し歩くと正面にオーガが見えた。
少し離れているし片言だから聞き取りづらいが、敵だ!殺せ!って言っているようだ。
とりあえず魔圧をする。震えながら膝を折って動けなくなったオーガ五匹のもとに向かい先ほどと同じように質問をする。
「んで?お前たちはこの先にある集落の者か?」
「ハイ…」
「あの集落の奴らは俺の配下になると言っていたが…お前達はどうする?」
「ワ、ワタシタチも配下に…」
さっきのやつより少しだけ流暢に話すな?
「なら集落に戻っていつも通りの生活をして俺が来るのを待ってろ」
「ワカリマシタ…」
五匹のオーガと別れ進んでいくと、また五匹のオーガと出会ったので同じことを繰り返す。
こいつら五匹で固まって行動するのか。そして心が折れるのが相変わらず早い。
『ご主人様つまらないわ』
『暇なのです!』
『うん…暇…』
「そうだなぁ…」
ランとアキ、フェリの言う通り戦闘もないし、代わり映えのしない森が続くだけだからな。
仕方なく歩き続ける。
「ご主人様。前方に魔物がたくさんいるみたいですよ」
「なら今回は戦おうか」
進んでいくとゴブリンらしき魔物が木の棒を振ったり、飯を食ったり、横になっていたりしていた。
オーガ達のように木々がない場所ではないし、テントみたいなものすらない。
「ゴブリンの集落か?集落というか溜まり場だが」
「ギャギャ!」
「グギャ!」
「ギャッギャッギャ」
あー。こいつらは話せないのな。
「よし。こいつらは仲間にする気はないから殲滅で。魔法だとすぐ終わりそうだし、魔法なしで全員参加な。あと噛み付きはなしで!」
そう言って駆け出し棍棒のような物を振り回して突っ込んできたゴブリンを蹴り飛ばす。
クー太達もハク達も元の姿には戻らずに戦っている。
ゴブリン達は連携など考えず突っ込んでくるだけなので楽だ。ものの数分で全てのゴブリンを沈めた。
「なんかなぁ……あの巨大鳥と戦ったせいか最近なんか物足りないんだよな…」
『ご主人バトルジャンキーってやつなのです!』
「おいアキ。そんな言葉どこで覚えてきた」
『??ご主人のお父さんが言ってたです!ご主人はいつからバトルジャンキーになったんだろうか…ってお母さんと話してたです!』
アキに悪気はないのだろう。褒め言葉とすら思っているかもしれん。それより親父…俺はバトルジャンキーじゃないぞ…。帰ったら訂正しないとな。
流石にゴブリン達の溜まり場で休むのは嫌だったので進み続ける。
「主様。結構な数の魔物がいます」
「そうですね。ただ隠れてるのでしょうか。木の上や茂みにいるみたいですので小型の魔物でしょうからご主人様に怖がっているのかもしれませんね」
「あー。今テイムできないし、襲ってこない小型の魔物は放置でいいよ。というかオーガの縄張りは抜けてゴブリンの縄張りかと思ったが、そういうわけではないんだな」
『あ!ご主人さまー。狼さんたくさん来るー』
「了解」
その場で待っていると灰色の森狼が…。
「灰色じゃないな?」
『というかこれ本当に狼かしら…?』
『あれー?』
泥塗れ…というか泥が狼の形を取ったような狼が七匹現れた。
身体からポタポタと泥のようなものが垂れているし…。
「とりあえず触れたくないから魔法だな」
そう呟くと同時に火球を飛ばす。それと同時に魔法が使える面々は全員魔法を放つ。
泥狼達は悲鳴を漏らすこともなく形が崩れただの泥のようになった。
「なんだったんだろうな?」
『んー?』
『この先、この泥と同じ匂いがするわ』
スンスン。
「あー。確かに泥の匂いだな。とりあえず行ってみるか」
二十分ほど歩くと泥沼らしきものを見つけた。もう周りは真っ暗になり、夜目がなければ泥に足を踏み入れているところだ。
「なあ。なんかこの泥沼ポコポコと泡立ってるよな?ガスの匂いとか毒の匂いするか?」
『しないよー』
『しないわね』
「泥の匂いだけです」
「いえ…」
「ん?クレナイどうした?」
「魔石の反応がたくさんあります…」
!?
「少し下がるぞ」
全員に下がるよう言うと同時に泥の中からオーガ、ゴブリン、狼、大蛇、狸や穴熊らしき形の泥が出てきた。それにライオン?のような形の四メートルほどの泥も一匹。
とりあえず魔圧を放つ。
!?!?
「効いてないのか…?」
膝をつくどころか普通に立ってこちらに近づいてきている。なんで効かないんだ…?
「遠距離での戦闘だ!ドライも出てこい!ハクとクロ、クレナイは遠距離攻撃がないから接近されるまで一旦待機で!それと一発目にクー太は放電、ランは爆炎、リーフは俺達に風繭を!」
全員で魔法を飛ばし、俺も爆炎を飛ばす。
ドッバーンッ!
派手な音を出しながら爆発したかのように泥沼に水柱…泥柱?が出来る。
リーフの風繭のおかげで泥を被らずに済んだがだいぶ派手に飛び散った。流石にあれだけの火力を受けたら泥沼自体がなくなってそうだが…。
ズズズズズ…。
飛び散った泥から魔物がまた現れる。
「おいおい。クレナイ!あの泥に魔石は!?」
「あります!ただとても小さいです」
「チッ」
そのあとは大技は無しで球系か刃系の魔法を使っていく。
感覚的に火球が一番効いている気がするが…。
倒しても倒してもどんどん泥の形をした魔物が現れる。小さいらしい魔石を砕かないと駄目なのだろうか…?
というか人間の形の泥も見たことのない形の泥もいる。そしてライオンらしき巨大な泥はやはりボスなのか後ろで見ているだけだ。
何分魔法を撃ち続けたのだろうか、魔力が減ってきているのがわかるくらい減っている。
『ご主人さま…ごめんー魔力もうないー…』
『私もだわ…』
『ご主人!石が無くなったです!』
『私も…』
『ワタシはもう少しできるの。けど…そろそろ厳しいの』
『ご主人様!私も魔力ないよ!』
『私は大丈夫だけど…攻撃する?』
「いや、リーフはそのまま風繭を維持してくれ。皆は休んでていいぞ。俺がやる。俺の魔力が尽きたら…仕方ないから接近戦か…いや。逃げるか?」
感覚的に爆炎を五発くらいか?球系ならあと二十分くらいは打てるが…。
「爆炎を連続で打つ。それでダメなら逃げるぞ」
手前にいる奴らを魔法で倒し、奥にいるライオンとその取り巻き達に向かって爆炎を放つ。泥沼が飛び散り、飛び散った泥から魔物が出てきたがそいつらはほとんど倒した。その後はライオンの周りから魔物が出てきていたのでライオンさえ倒せばなんとかなると思ったのだが…。
ライオンは咄嗟避けたらしく後ろに下がっていた。
やっぱりあいつがボスだよな…?
爆炎を連続で三回放つが全て避けられた。
「チッ」
このままだと魔力がなくなるな…。爆炎は止め刃系の魔法を連発しライオンへ放つ。
当たってはいる…脚を切り落としもした。だが身体が泥だからだろうかすぐに元に戻ってしまう。
「主様。奴は泥がある限り再生してしまうのではないでしょうか?ならば一旦離れて泥がない場所へ行くか…」
「行くかなんだ?」
「魔石を砕けば…と思ったのですが泥の中を移動しているみたいなのです」
まったく…。なんて厄介なやつと出会ってしまったのだろうか…。
「クレナイとクロは動いている魔石が見えるんだよな?お前達ならピンポイントで尾突で魔石を壊せるか?」
「おそらく可能かと」
『少し動きが速いけど….なんとかなると思う』
「わかった。少し待ってくれ」
右手で魔法を撃ち続けながら、しゃがんで左手で泥を掴む。
ふむ…。激痛が走ったりもしないし…ステータスに異常状態も表示されない。
「毒とかではなさそうだ。それでもあまり触って欲しくはないが…このままだとジリ貧だしな。クレナイ、クロ頼む。俺はこのまま魔法で牽制する」
「なら私が身体強化魔法をかけます」
ハクがクレナイとクロに身体強化魔法をかける。
「行きます!」
『行く』




