100 共有
「旅行してくる」
二度寝から覚め、魔物達を招集。狩りに出てるやつもいたが誰かに呼びに行かせ、オーガと訓練していた親父と洗濯をしていたお袋を呼び旅行に行くことを告げた。
テイムした魔物のレベル上げもしたいが、俺と主力メンバーの強化が優先だ。
森を支配するのは正直どうでもいいが親父達が安全に過ごしてもらうにもグリフォン…鷲獅子か。鷲獅子や竜が跋扈している森や、ゴブリンやゾンビが溢れる街。どちらかは支配する必要があるだろうし。ゴブリンやゾンビはテイムして支配とかしたくないし、他の多くの人間まで守る気はない。
あとは皆の進化先を見たい。強くなりたい。皆と色んな場所に行きたい。って感じか。
それに昨日の見た限り街とは反対側はもはや真っ当な人間はいないだろう。俺みたいにレベルを上げたやつか魔物だけだろうからな。動物園とか行きたい、なんて考えてたけど樹海優先だ。動物園があるかもわからないしな。
「は?」
「行ってらっしゃい〜」
「…いやいや。母さん待ってくれ。そんなコンビニに行ってくるかのように…。いや…マコトもいい年なんだし普通の旅行ならそれでいいのかもしれないが…。マコト旅行ってレベル上げの旅とか仲間集めの旅とかだろう?旅行っていうくらいだ。当分は帰って来ないつもりか?」
「もちろんレベル上げだけど…こんな世界で海外旅行にでも行くわけ…いや…?リーフに乗って行けば有りか…?」
「海外に行くの?お土産待ってるわね」
「はあ。もういい。気をつけて行くんだぞ?」
「海外じゃないけど、まあ何かあれば帰ってくるさ。それより親父達も気をつけてくれよ?ほとんどの魔物はここに残して行くから何かあれば頼っていいから」
「それはありがたいが…」
「気にしないで。皆!俺は少し遠出するから親父達のこと頼むな!」
『『『『『『はい!』』』』』』
「それと!俺がいない間の指揮系統について話しておく。グレイとアメリが魔物達の中では1番上だ。
その次に影狼のビャクヤ、毒白鼻芯のアインス、土貉のツヴァイ、闇鼠のドライ。お前たちが次席だ。同系統の配下を付けてないからな。全体を見てやってくれ。ドライは何匹か同系統がいるがまあいいだろう。アインス達と同期だしな。
んで人面樹のフィーア、大兜のフンフ、大鍬形のゼクス。幻狼のイチロウ、大犬のケンタ。
大赤毒蛇のアカイチ、大緑毒蛇のリョクイチ、大黒毒蛇のコクイチ、大白毒蛇のシロイチ。
大狸のタヌイチ、牙鼬鼠のイタイチ。大赤蛙のアン、大灰蛙のドゥ、大緑蛙のトロワ、大黄蛙のカトル。お前たちが三席かな。
各々自分の種族、同系統の配下を指揮しろな。
んで、最後になったが俺の代わりにグレイやアメリを含めた全体の纏め役として…親父。頼んだ」
『『『『『『はい!』』』』』』
「ま、まてまて!なんでだ。トップはそのままグレイ君やアメリちゃんでいいじゃないか」
「確かに残るメンバーではグレイとアメリが一番強いが…格闘好きと昼寝好きだからな…。いざとなったら信頼はしているが、何も起きなければあいつらは全体指揮するよりも自身の訓練や趣味に走りそうだし。
それにメイ達や親父達がテイムしてる魔物を纏めるのは親父だろう?なら俺の魔物達を纏めるのも親父の方がいいだろう?」
「仕方ない、な…。よしっ。任せろ!」
「任せた」
《個体名・中野 誠の【テイマー】の権能を個体名・中野 誠司に一部共有可能です。また【テイマー】の権能を共有する場合、制限として共有している間はテイムが不可能となりますが共有しますか?》
【Yes or No】
「「え?」」
なんだこれ?俺が親父に俺のいない間の総指揮を任せたから、か…?
共有している間は。ってことは共有を解除できるんだろうから試しにしてもいいか…?永遠にテイムが出来なくても三百匹以上いるし最悪問題ないし…試すか。
「親父にも聞こえたか?」
「あ、ああ」
「ならやってみていいか?」
「俺はテイム出来なくなっても問題はないから構わないが…マコトはいいのか?」
「共有している間。って期間が指定されているからな。多分解除はできるだろうし、無理でもこれだけ仲間がいるんだ。構わないよ」
「ならYesでいいんだな?」
「うん。俺もYesを押すよ」
お互い頷き、手が自身の顔の前に伸びる。親父の方のYesとNoは見えないがYesを選択しているのだろう。
《共有者の同意を確認。共有する権能を指定しますか?》
【Yes or No】
「親父の方共有する権能の指定ってのは出てる?」
「いや。同意を確認。ってだけ聞こえたな」
ふむ。なら指定するのは俺だけか。
Yes。
————————————————————
【テイマー】の権能を選択してください。
○中野 誠の使役魔獣のステータスの確認。
○中野 誠の使役魔獣との意志の疎通。
●中野 誠の使役魔獣が取得した戦闘経験値の分配。
(1/350。職業歴にテイマーが無いため選択不可)
○魔物との遭遇率上昇。
●中野 誠の使役魔獣が進化時の進化の選択。
○クー太
○ラン
○クレナイ
○ハク
・
・
・
・
○リーフ
【完了】
————————————————————
戦闘経験値の分配1/350って…。ほぼ皆無じゃねーか。
魔物たちが取得した全体経験値が俺の使役数で割られる感じか?まあこれは選択不可だからいいか。
んで○を押すとチェックが入った。●のところは触れても何も起きない。
魔物の名前の横にある○にチェックをいれれば親父でもチェックをいれた魔物なら進化させられるのか…。
いちいちチェックをいれるのは面倒だが…俺がいない間に進化させてやれるんだよな。
グレイ達主力メンバーと次席のメンバーの進化は絶対に自分でやりたいから参席以降…いや、まだ進化していないか一度しか進化していないやつだけ親父に任せるか?
「少し待ってくれ」
親父に進化を任せてもいい魔物の横にある○をチェックしていく。それと魔物との遭遇率なんて上げても仕方ないし、それ以外にチェック。
……んで【完了】を押せばいいのか?
【完了】っと。
『『『『『『え…?』』』』』』
「ん?どうしたんだ?」
魔物達が一斉に声を上げた。
『ご主人さまよりも弱いけどお父さんとの繋がりが感じられるようになったよー?』
『そうなの!これが共有ってことなの?』
クー太とラックが聞いてきたので肯定する。
「みたいだな。もう少し待ってくれな」
ステータスを確認。
————————————————————
個体名【中野 誠】
種族【狸人】
職業【テイマーlv7(使役上限数♾)】
性別【男】
状態【 】
Lv【45】3UP
・基礎スキル:【拳術lv7】【防御術lv2】
【速読lv2】【造形lv2】【料理lv2】
【毒耐性(中)lv3】【精神耐性(大)lv3】
【回避術lv4】【テイムlv7】
【蹴術lv5】【夜目lv3】
【細胞活性lv1】【回帰lv1】
【風球lv5】【雷球lv4】
【水球lv3】【火球lv6】
【土球lv3】【棍術lv2】
【身体強化魔法lv2】【風刃lv3】
【跳躍lv2】【亜空間倉庫lv1】
【雷装lv1】【魔装lv1】
【爆炎lv1】【痛覚軽減lv1】
【亜空庫(小)lv1】【魔圧lv1】new
・種族スキル: 【無特化】【変化】
・特殊スキル:【ステータス鑑定】【ボーナス(特)】
【テイム(特)】【結界生成】
【使い魔作成(特)】
・称号:【適応する者】【魔物を屠る者】
【魔物に好かれる者】【守り手】【希望】
○パーティメンバー:0人(0/5)
○使役魔獣:350匹(350/∞)
※共有中(詳細表示)
————————————————————
最後にステータスを確認したのがアン達のいた場所で、ここに戻って来る間俺はほとんど戦闘に参加していない上、リーフとの戦闘だって戦ってはいない。なのにレベルが上がってた。
そして一番下に共有中ってのが追加されているのでそれに触れてみる。
————————————————————
○権能共有の条件。
・血族である。
・信頼関係が充分に構築されている。
・権能の共有に関しての同意。
(共有する権能は指定可能。指定しない場合は信頼度と職業による)
○権能返却の条件。
・移譲条件が満たされなくなった場合。
・移譲した側が支配権の返却を求めた場合。
・移譲された側が支配権の返却を願った場合。
・移譲された側が支配できない状態になった場合。
(いずれかの条件が満たされた場合強制返還)
※現在共有されている権能。
・中野 誠の使役魔獣の「ステータスの確認」。
・中野 誠の使役魔獣の「進化の選択」。
・中野 誠の使役魔獣との「意志の疎通」。
※現在制限されている権能。
・新規テイム。
————————————————————




