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99 樹海

 

 飛び立ちリーフは四肢と翼を動かし上昇していく。

 木々の間を抜け…葉が俺達を避けていく?


「なんで葉っぱが当たらなかったんだ?」


『魔法使ってるよ!』


「風繭か?」


『多分?』


 ふむ…。まあ風繭みたいなものがないと上空は寒かったり風が強いと目を開けてるのも大変だったりするだろうしな。雨の日などは特にそうだろう。


 木々を抜け上空にでた。もう陽が沈んでいるが星や月の明かりでかなり明るかった。

 まあ夜目があるからなくても問題なさそうだが…。


『わぁー!ご主人さまー!凄いー』


『綺麗ね』


「そうですね」


「ええ。本当に」


『お空飛んでるです!凄いのです!』


「ああ。綺麗だな」


 確かに綺麗だ。森にいる時は空を見上げてもこんなに夜空は見えないからな。


「クロとビャクヤにも見せてやりたいが…定員オーバーだしな…」


『見えてるから大丈夫』


『見えてます!』


「うお!?」


 俺の股の間辺りの影から2匹が顔だけ出してきた。


「ああ…。そうか。お前達は影の中から外見えるし、見えないのなら顔だけ出せばいいだけだったな」


『そう。だから気をつかわなくていい』


『はい!大丈夫です!』


 そう言って2匹は影に戻って行った。器用だな。


『私達がいたとこってこういうところだったのね』


『木がたくさんあるのです!』


 ん?


「は?」


 上ばかり見ていて、今はクロ達を見ていたため気がつかなかったが既に結構な高度まで上がっている。

 それはいい。

 だが…。


「おいおい…。リーフ。もっと高度を上げてくれ」


『??はーい』


 どんどん高度が上がっていき森を抜けたところの崩れた街並みが遠くに見える。

 これは別にいい。ボロボロだな。明かりが全然ないんだな。くらいの感想だ。

 それよりも…。


「なんで俺たちが行った街の方面以外は森しか見えないんだ…?」


 そう。今街の方を向いており、自分達の左右、背後の山の左右はどこまでも木々が連なっているのだ。街どころか切れ目が見えない。見えるのは俺たちが出て行く街だけ。山の最寄駅すら見えない。

 以前隣駅の方までは走ったが山の最寄りの駅には行っていなかった。だが駅は残っているものだと勝手に思っていた。


「リーフ。左側に行ってくれ」


『はーい』


 リーフに街に沿うように十分は飛んでもらったが森と街の境界はずっと一直線に続いていた。けどこちら側はどこまで行っても木、木、木、山、木。

 ここらの地理には詳しくはないがこんな何処までも続く森なんてなかっただろう。森どころかもはや樹海だ。


『ご主人さまどーしたのー?』


「いや…なんでもない。この森…樹海は何処まで続いているんだろうな。って」


 本当何処まで続いているのだろうか…。行ってみたいが…。


「リーフ。そろそろ戻ろう」


『はーい。ご主人様の仲間のところでいいんだよね?』


「そうだが…場所わかるか?」


『わかるよ!ご主人様と似た感じがたくさんある場所に行けばいいんだよね』


「いや…その似た感じってのは俺はわからないからな。まあ違うとこに向かってたら止めるから飛んでくれ」


 障害物がない上に、気がつかなかったがかなりの速度が出ているようで三、四十分ほどで小屋があるポカンと木が伐採されている場所が見えてきた。というか途中でフィーア達を追い抜いてるのではないだろうか?


「フィーア達は流石にまだ着いてないよな?」


『フィーア殿達の反応はありましたがあっという間に追い越していきましたよ』


「クレナイ。人の姿になってても体温とか見えるのか?」


「体温…というより体温と魔力両方だと思いますが、はい。見えております」


「いいな。それはスキルでは表示されないよな?クレナイの種族は誰もが使えるから、とか鍛えたりするものではないからか?」


「わかりません。それにスキルとして発現していなくても出来ることはたくさんありますから」


「まあそうだよな」


「スキルは誰かが…というかあの自称神っぽいのが作って、クレナイの体温とか魔力を見ることができるスキルは作らなかったからスキルとしてステータスに発現しない。とかかもしれないな」


「それよりもスキルとして発現するほど鍛えてないって可能性や、その神?が作ったとか作ってないとかはわかりませんが、当たり前に出来ることはスキルとして発現する意味がない。って可能性もありますよ?何せ、二足歩行や四足歩行、走る、呼吸するってスキルは私達持っていませんし」


「ふむ…。確かにな。ハクの言うような理由なら俺が体温を見ることができたら何かしらのスキルが発現するし、四足歩行の生き物が二足歩行できるようになったら二足歩行っていうスキルが発現するかもしれないのか」


「そうですね。まあ可能性の一つですが…」


「まあな。いくら考えたって俺には答えなんか出せんし、考えすぎても仕方ないな」


『ご主人様降りていい?』


「ああ。すまんな。頼む」


 魔物達は皆起きているようでこちらを見上げていた。親父達は寝ているかね?

 魔物達が場所を開けてくれたのでリーフはそこに降りる。


『ご主人おかえりなさい!その魔物を仲間にしているところを見る限り大丈夫だとは思いますが…皆は無事ですか?』


「ああ。アンただいま。無事だから安心しな」


 魔物達に挨拶をしていたら小屋から親父達が出てきた。


「マコトおかえり」


「おかえりなさい」


「中野さんおかえりなさい!」


「あ…おかえりなさい…」


「起きてたのか。ただいま」


「新しい子ですね!撫でていいですか?」


「リーフって名前だ。リーフ撫でさせてやってくれるか?」


『うん。いいよ』


「いいってよ」


「やった!ありがとうございます!」


「ほどほどにして寝ろよー。俺はもう休むよ」


 そう言って昨日と同じ寝床でクー太達と共に休む。


 翌朝。なんか暖かいな…。と思い目を覚ますと、クー太、ラン、アキ、フェリ、ラック、アメリの六匹がくっついているのはいつもどおりだとして。

 足元にはビャクヤ。左には狼状態のハク。右には翼を広げ、掛け布団のように翼を俺たちに掛けているリーフ。

 そりゃあこれだけくっついてたら暖かいわな。動いたら皆を起こしそうなので久々に二度寝をすることにした。



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