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97 リーフ

 


 ……大人しくしろ。


 そう感情を乗せて魔力を思い切り放出する。


『ご、ご主人さまー…魔力もう少し弱めてー…』


『ちょっ…!私達にまで…っ!うっ…!他の子達が辛そうにしてるわ!』


『さすがです…主様…!』


『クレナイさんも感心してないでっ…!ご主人様…さすがに放出しすぎです…』


『ご主人様それ辛いの…』


 周りを見てみるとクー太達が辛そうにしていたのですぐさま魔力の放出をやめる。

 後ろを見るとカエル達はみんな倒れてる。ゼクスやフンフも地面に落ちており、フィーア達人面樹は倒れそうになっていた。というか普通の木に寄り掛かって斜めになっている人面樹もいた。


「大丈夫か…?」


 返事がない。後ろの奴ら皆気絶でもしてんのか?

 俺が魔力を放出しているときに話しかけてきたクー太とラン、クレナイ、ハク、ラックはもう平気そうにしている。アキ、フェリ、クロ、ビャクヤは頭を振ったり少し息が荒いが大丈夫そうだ。


「もう!やり過ぎなの!びっくりしたの!」


 頭の上でラックが抗議してきた。


「すまんすまん。そんな影響出ると思わなかった、というかグリフォンに向けたつもりだったんだが…ってグリフォンはどうした?」


『怯えてるのー』


『怯えてるわね』


『意識があるだけで上出来かと』


『完全に膝をついてますね』


「ぷるぷるしてるの!」


 皆の言うように膝をついてぷるぷるして怯えていた。もっと言うなら伏せをしていた。

 うむ…。なかなか有用なスキルだな。

 とりあえず近づく。戦闘の意思はないみたいだしテイムできないかね?


 ビクンッ!


 一歩踏み出したらグリフォンが跳ねた。そんな怖がらなくても…。

 どうしようもないのでそのまま歩いて目の前までいく。目を見るとやはり怯えの色がある。


「危害は加えない。俺の仲間になるか?仲間になるなら傷も治して…」


 《グリフォンが仲間になりたそうにしています。テイムしますか?》

【Yes or No】


 はっや。まだ言い切ってないぞ。

 テイムするけど。


 《グリフォンが仲間になりました。テイムした魔獣に名前をつけてください》


 名前かー。アン、ドゥ、トロワ、カトルの次でもいいんだが、なんか四匹カエルだしグリフォンが5番って違和感あるよな。グリコとかグリオじゃなあ…。んじゃグリフォン…リフ…リーフにしようか。身体も緑色だしいいんじゃないか?


「名前はリーフな」


「キュアァ」


「ん?話せないのか?」


『話せる…ます…』


 ん?


「別に普通に話していいぞ?」


『いいの?…ですか…?』


『ご主人様。完全に怖がられてるわよ。リーフだっけ?普通に話して大丈夫よ』


 横に来たランがフォローしてくれた。


『ご主人様?怖かった…』


『本当よね。でももう大丈夫よ』


 む…。そんな怖がらせるつもりはなかったんだが…。


「とりあえずこれからよろしく。ってことで傷を治すから大人しくしとけよ?回帰!」


 うぐっ。相変わらず一気に魔力を持ってかれる。折れていた翼や血が流れ出ていた傷がどんどん元通りになっていく。


「よし!これで大丈夫だな」


『!?』


 回復していく身体を見て驚いているようだ。



「痛みはないか?」


『すごい!すごいすごい!すごい!』


 ん?なんかこいつ幼くないか…?


「なあ。少し聞いていいか?」


『え?うん!なんでも聞いて!ご主人様!』


傷治したおかげで俺に対する恐怖とかが吹き飛んでるのか?


「まずお前はなんで怪我をしてた?それとなんでここに落ちてきた?あとは…進化したことは?産まれてどれくらいだ?」


『えーとね…私は今日?生まれたのかな?進化?が何かは知らない…。怪我は………』


「言いたくないなら言わなくてもいいぞ?」


『ううん…。あのね、私が皆と違ったから…生まれた時から周りが怖かったけど…みんなと狩りに出たらなんか私は色も力も他と違って…出て行けって…気持ち悪いって…お前は仲間じゃ…ないって…うっ…うわぁあん!』


「!?思い出したくないならいいから。な?それにもうお前は俺達の仲間だ。前にいた奴らのことなんて気にするな?」


『ご主人様は…私のこと気持ち悪くない…?』


「気持ち悪いなんて思わないから安心しろリーフは綺麗な緑色だぞ?」


『グスッ…。ご主人様ありがと…』


 ちょっと待て…こいつ亜種か?他のグリフォンと違うから追い出されたのか?実際にグリフォンを見たのは初めてだから緑が普通なのかと思ったが…。

 はぁ…。


「もう一つだけ答えてくれ。お前は仲間内だとどれくらい強い?」


『多分凄く弱いほう…。でも同じ時に生まれた中じゃ強い方…。でも今日一度狩りに出ただけだから詳しくはわからない…』


 まじかい。手負い状態でアン達70匹相手に勝てるのに弱い方…?こりゃまじで山に行くなら覚悟しとかないとやばいかな。


「そうか。ありがとうな。よし。意識のある奴はとりあえず周りで倒れてるやつを起こせ。帰るぞ。

 リーフ。俺達の拠点に行くぞ。仲間がもっといるからちゃんと挨拶しろよ?」


『嫌われないかな…』


「リーフ。一つだけ言っておく。お前の元仲間と俺の仲間を一緒だと思わないことだ。うちにお前を拒む奴なんて一匹たりともいないから安心しろ」


『うん…!ご主人様が言うなら信じる。えっと…みんな…これからよろしく、ね?』


『よろしくねー』


『歓迎するわ!』


『リーフ殿元気出してください』


『そうね。リーフちゃんはもう私達の仲間ですよ』


『よろしくです!』


『よろしくね…』


『よろしくなの!怖がることないの!』


『うん。皆いい魔物』


『そうですよ!』


 なんとか打ち解けられそうだな。

 さて。帰ろうか。


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