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96 ピンチ?

 


「あ?何かあったのか?」


『みんなが…!強い魔物が…!』


「落ち着いて話せ」


『は、はい!え、えっと、近くにいたフィーアさん、フンフさん、ゼクスさんとアンやドゥ、トロワ達と合流して帰ってこようとしてたんです。そしたら突然空から魔物が落ちてきて…』


「んでその魔物が強い、と?お前たち七十匹以上居るのに勝てないのか?」


『はい…。相手も怪我をしているみたいで積極的に襲ってくるわけではないのですが…』


「なら無理に戦わずに全員で逃げてきていいぞ?」


『いえ…。初め私達から攻撃して返り討ちにあったのです。それでその魔物の近くに仲間が倒れたままで…逃げるに逃げれなくって…』


 !?まさか…誰か死んだのか?

 すぐさまステータスを確認する。ステータスの下にある使役数は変わらない。減ってなくて本当よかった…。

 というか…そんな強い魔物がいたのか?まさか鳥達の縄張りへ?


「どんな魔物で、どっちの方角だ?」


『え、えっと。鳥みたいなやつです!場所はあっちに真っ直ぐです!』


 鳥、みたい?あっちの方角はこいつらの縄張り方面だからあの巨大鳥ではないだろう。ならなんだ?


「わかった。お前はここにいろ」


 全力で駆け出す。まだ出会ったばかりだがあいつらはもう仲間だ。死んでないことを祈る。


『ご主人さまーボク達も行くよー』


 巨大化したクー太とラン。白い狼の姿のハクとその上に乗っているアキとフェリとラック。七歩蛇姿のクレナイ。七匹が付いてきていた。本気で走っているんだがついて来れたのか。なら是非きてもらおう。


『ご主人様速すぎよ…!』


『ええ…!本当に速いです…!』


 あ、なんかランとハクが辛そうだ。

 クレナイは大きすぎて顔の位置が上にあるからわかりにくいが結構無理して移動しているようだ。

 少し速度を下げる。


「別に無理について来なくてよかったんだぞ?というかグレイとクロ、アメリにビャクヤはどうした?」


『ここにいる』


『ここにいます!』


 影からクロとビャクヤの顔が出てきた。

 いつの間に….。


『…ふぅ。ご主人様の空気が変わった瞬間にクロもビャクヤも影に飛び込んでたわよ』


「気づかなかった。グレイとアメリは留守番か?」


『グレイは身体が大きいからクー太や私、ハクに乗るのは辞めておく。って。それにそんな早く移動できないからって。アメリは自分が行っても足手纏いになるからって言ってたわ』


「アメリ…あいつなんか卑屈になってないか?」


『アメリちゃんは昨日巨大鳥に会った時怖くて動けなかったことを負い目に感じているようでした』


「あいつそんなこと気にしてたのか?フォローとかするの苦手なんだがな…」


『ご主人様はいつも通りに接してあげてください。それかもう少し構ってあげるくらいで。フォローは私がしておきますから』


「ハクすまんな。頼んだ。んじゃ速度上げるから頑張ってついてこいよ」


 その後二十分ほど走り続けるとやっとあいつらの気配と音を感じ取れた。

 あいつらこんな奥にまで狩りにきていたのか。歩いたらかなり距離あるぞ。というか魔物を見かけないがここらへん人面樹の縄張りじゃないのか?


『ふぅ…。本当速いですね…』


「すまんな。ステータスをちょくちょく確認して使役数確認する限り誰も死んでないとは思うんだが…死んだら数が減るのかもわからないしな。ところでここは人面樹の縄張りか?」


『いえ、気にしないでください。心配してのことだとはわかってますので。ここは…多分…』


 そう言ってハクはクレナイを見た。


『…はい。人面樹の縄張りかと。道中魔石の反応があった木がいくつもあったので間違っていないかと』


「了解」


 そう言っているうちに大量のカエル達と空中を飛ぶカブトムシとクワガタムシ。枝を振り回す木が見えた。


「お前達!下がれ!」


 一喝すると全員がこちらを見て動きを止めた。


「遅くなった。死んだやつはいないだろうな?」


『ご主人様。ありがとうございます。敵の足元で倒れているカエル達もおそらく息はあります。出血はしていませんので』


「ゼクスか。出血してないってどうやってやられたんだ?」


『いえ…わからないのです。近づくと全員地面に押しつぶされてしまって。ただ手足が多少動いているので死んでいなければ意識もあるかと』


「ふむ。わかった。お前たちは下がっててくれ」


『ですが…!』


『そうでござる!』


「ゼクス。フンフ。俺を信じろ」


 大人しく下がったゼクスやフンフ達とカエル達をかき分け敵の元へ行く。

 クー太たちは戦闘状態の姿で俺の周りに。アキも大きくなっている。そしてクロとビャクヤも影から出て来て俺の横にいる。

 カエルたちが視界を遮っていても先程から敵の姿は確認できていた。ハクよりも大きい。体高が3メートルはあるだろう。


「グリフォン、か」


「グルルルル」


 見上げるほど大きい緑色のグリフォンがいた。鷲の翼と上半身。下半身はライオンかは知らんが四つ脚だ。

 翼や上半身は深緑色。下半身に行くほど暗めの色だな。モスグリーンか?腹部が白く、クチバシは黄色だ。グリフォンって茶色のイメージがあったが違うようだ。

 そして身体中から血が出ており、翼も片方折れているのか変に曲がっている。


「あの怪我は?お前たちが付けた傷か?」


『少しは血を流させることもできたと思うのですが…翼は初めからです』


 後ろについて来ていた緑色のカエル…多分トロワに聞く。


「ふむ…」


 グリフォンならこいつらが敵わないのは納得だ。あの巨大鳥もグリフォンやドラゴンは強いと言っていたしな。

 コイツがあの巨大鳥より強いとは思えないが…。


「コイツはあの巨大鳥より強そうか?」


『強くないー。ボク一人でも勝てるよー。多分ー』


『そうね…。魔力量なら断然私達の方が上だわ』


『そうですね。中々強そうですが…少なくとも私達や主様よりは弱いです』


『私も同じ意見です』


『わたしは一人じゃ無理だと思うのです!』


『私は…飛ばれたら難しい。今はあの子怪我してるし勝てると思う…』


「ワタシ一人でも遠距離ならいけるの!」


『私も空飛ばれたら無理』


『私も…』


「ビャクヤ。そんな落ち込むことないぞ。これから強くなればいいし、相性もあるからな。にしてもアン達が束になっても勝てず、相性次第ではフェリ達でも勝てないかもしれないか。まあ飛んだ上で魔法を使ってくる相手は難しいだろうけどそんな奴らが山の上の方にはたくさんいるんだよな。もっと鍛えないとな」


 さて…どうしたものか。こうしている間に攻撃してくる様子もないし…。


「ハク。魔圧ってどうやるんだ?」


『そうですね…私は鬱陶しいって気持ちを載せて魔力を全身から放出したので、相手への不満などのマイナス寄りの感情を魔力に乗せて放出するって感じですかね?』


「了解。やってみるよ」


 不満、ね。大人しくしろ。とか、従え。とかでもいいか?仲間に怪我をさせた、ってのはなんかおかしいしな。殺されてないようだし、襲いかかったのはこちらからっぽいから。

 物は試しだ。やってみよう。



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