94 軽食
小屋の表側に駆けていくメイを見送る。
飯に関して色々と困りそうだな。というかこんなとこで普通の生活しようと思ったら不便だろうな。
まあ街にいても電気とか通ってなければ下手すればここより不便だ。ここなら食べられるかわからないが魔物もいるし、きのみを取れるしな。
今度竈でも作ってやるか?ツヴァイがいれば色々できそうだし。俺も他の土魔法ができないか練習するか。
「にしてもあいつは騒がしいな…」
「元気で可愛らしいじゃないですか。アキちゃんみたいで微笑ましいですよ?」
『わたし微笑ましいのです?』
「お前はまあ…微笑ましいよ。それに別にメイのことを嫌っているわけではないさ。…というか今まで気にならなかったんだが…その姿で風呂はいるなら次からタオルでも巻いとけよ?」
「わかりました」
メイがお袋と一緒にカップ麺を七個持ってきた。ハクとクレナイの分か?
親父を連れてこなかったのは多分ハクが裸だからだろうな。ハクは狼って意識が強すぎてさっきまでは全然気にならなかったんだが、少し意識してしまったせいで今は少し目のやり場に困る。
まあお湯が白く濁っているから全て見えるわけではないが…それに湯船で気持ちよさそうなクー太やランを見てればそんな邪念は無くなる。
「というかハクもカップ麺食べるか?」
「よろしければ少し頂いてもいいですか?」
「了解。先にお袋達の分だな。俺らは風呂出て、クレナイが帰って来てから食べるよ」
『ボクも食べたいー』
『私も!』
『わたしもです!』
「ワタシもなの!」
『私も』
「クロもか?まあいいが…。とりあえず後でだな」
湯船から手を出して物凄く熱い水球を出し封を開けたカップ麺に入れてやる。
「マコトありがとうね」
「ありがとうございます!あ、それとこれタオルです」
「ありがとう」
「じゃあ戻りますね」
「はいよー」
そのあと全員…ハク以外の身体をお湯の中で揉み洗いしてやり、排水用の石を外してお風呂から上がる。
「ハクは自分で拭いてくれ」
「はい」
自分の身体を拭き服を着てからクー太たちのことを拭いてやる。
「ご主人様…」
「ん?」
「難しいです」
あー、今までそんなことしたことないもんな…。
「というか狼に戻って水切ればいいんじゃないか?」
「あ、そうですね」
ハクは狼の姿に戻りぷるぷるーっと水を飛ばす。俺はもう一度拭かなきゃいけなくなったが、まあ人型のハクを拭くよりはいいか。
排水も終わったので石をもう一度詰めて熱めのお湯を入れておく。親父とお袋達が後で使うかもしれないしな。
その後はクレナイとグレイが戻るまで土魔法の練習をした。
土壁を作ることができたので、お風呂周りに土壁を設置しておく。
「ただいま戻りました」
『ただいまっす!』
「クレナイとグレイか。おかえり。蛇達はどうだった?」
「ちゃんと狩りや訓練はしていたみたいで結構強くなっていました」
「そりゃよかった。カップ麺食べるか?お袋とメイがお前の分もって持ってきてくれたが」
「いいのですか?…それではお言葉に甘え頂戴いたします」
『自分も食べてみたいっす!』
「了解」
そのあとは箸がうまく使えない二人に使い方を教えながらクー太達に麺を冷ましてからあげる。
「とりあえずハクとクレナイは耳や尻尾、鱗を隠せるように練習してくれ。それができればまた街に行こう。アカイチたちには出来れば仲間や配下を増やしておくように言っておくか」
『グレイに言っておけばいい…』
「ああ…。グレイも残るんだったな…。来ればいいのにな」
『うん…』
『ん?呼んだっすか?』
「いや、お前も来ればいいのにな。って話だ」
『別に一生のお別れじゃないんすから気にしなくていいっすよ。またすぐ会えると思うっす。それまでにたくさん鍛えておくっす!』
「そうだな。ちゃんと帰ってくるよ」
『ご主人様。僕も残ることにしたにゃ』
『あの…私ものこります』
「どうしたんだ?」
『ここが気に入っているにゃ。それについて行っても今の僕じゃ力になれないにゃ。だからここで訓練してるにゃ』
『私も同じです…』
「ふむ…。今気がついたんだが…ビャクヤは舌足らずな感じが抜けてきてるな?」
『ほんとうですか?ならよかったです!』
「ああ。じゃなくて、ついて来ないって話だな。別に戦力がどうとか気にしなくていいんだぞ?俺は気にしないし」
『僕は気にするにゃ』
『私もここで訓練してご主人様に頼って貰えるくらい強くなります!』
うーん。まあこいつらが決めたことだし仕方ないか。
「まあできるだけ期間は空けないようにするが今回は多分割と長く外に出てるぞ?」
『ゆっくりしてきていいにゃ。帰ってくるまでに進化できるようになっておくにゃ』
『はい!私もがんばります!』
「了解。なら親父たちのこと頼むな。何かあったら助けてやってくれ」
『もちろんにゃ』
『はい!』
「さて、食べ終わったら俺は亜空庫と亜空間倉庫の練習するから、フィーアやアンたちが戻ってきたら俺のことは気にしないで休んでいいっていっておいてくれ」




