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雨宮しずくは物思いにふける

作者: トウミ

わたしのクラスには一人、少し変わった女の子がいる。

変わったといっても、決して奇抜なファッションをしてるとか、言動がおかしいとかではない。

どちらかというと、普段は大人しい方だ。

ただ、決してボッチとかでもない。友達と話す時はいつも楽しそうに話している。

見た目はそう、清楚というのが当て嵌まる。

今日も、一番後ろの窓側の席に座り、その長く綺麗な水色の髪を、窓から入る風でなびかせていた。

彼女、雨宮(あまみや)しずくは今日も窓の外を眺め、何やら物思いにふけていた。


「雨宮さん、おはよう。」


わたしはそんな彼女に、今日もまた声をかける。


「おはよう、春日野(かすがの)さん。」


ニコッと微笑みかけてくれる彼女にわたしはいつものようにドキッとした。


「あっ、えーと、今日は何を考えてたの?」


そんなわたしの気持ちを誤魔化すように、いつもと同じように彼女に尋ねた。


「うん。わたし、コーヒーが好きなのだけど、今日妹に言われたの。納豆とコーヒーは後味が似てるって。すぐにその場ではそんなことないって否定したのだけど、豆が原料という共通点があるの。そう考えると、後味が似てるのかもって考えてて」


すごく真面目な表情で何を考えてたのか教えてくれる雨宮さん。話の内容とその表情のギャップに、わたしは思わず笑ってしまった。


「あははっ!笑ってごめんね、雨宮さん。でも、真剣な表情で外を眺めてたから何かと思ったら、コーヒーと納豆って。やっぱり雨宮さん面白い。」


「そんなに面白いかしら?ねぇ、春日野さんはどう思う?納豆とコーヒーって後味似てると思う?」


「わたしにはわからないよ、雨宮さん。」






わたしのクラスには一人、少し変わった女の子がいる。

変わっているのは、ファッションでも言動でもない。

一番後ろの窓側の席に座り、物思いにふける。その内容が変わっているのだ。

それは、わたししか知らない、雨宮しずくの小さな秘密だ。そして、わたしの毎朝の楽しみだ。


雨宮しずくは、今日も明日も物思いにふける。




―完―


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