表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狂気の人魚姫  作者: 鳥見風夫
狂気の始まりと終わり
2/4

第1話(残酷描写あり)

残酷描写ありです。気を付けてください

 「フフッ、殿方の部屋に忍び込むなんて、まるで書物で読んだ『夜這い』みたいですね」

 声を取り戻し、人間となった人魚姫は王子の下へと頬を赤らめながら向かいました。

 「それにしても、この声ももう一生使えないと思っていたのに、こんなにも簡単に使えるようになるなんて」

 魔女をブチ殺した時のことを思い出したのでしょうか、人魚姫は忍び笑いを漏らしました。その小さな笑い声は、広い廊下によく響きます。人魚姫は今、王城の中にいるのです。

 「あぁ、王子様。待っていてください、今から私が迎え(ぶっころし)に行きますから!」

 人魚姫はスキップでもしそうな足取りで、王子の寝室へと向かいました。




 人魚姫の予想通り、王子は寝室でぐっすりと眠っていました。人魚姫は王子の寝室に容易く侵入し、王子のベッドの中に入り込みました。

 「あぁ、なんと可愛らしい寝顔なのでしょう! そんなに無防備に寝ていたら、思わず一突きしたくなっちゃいますわ‼」

 人魚姫は懐から一本のナイフを取り出しました。もちろん、ギラリと銀色に鈍く輝く、立派な凶器のナイフです。

 「あの日できなかったこと、今度はしっかりとやり遂げて見せます」

 その声に狂気を、その表情に狂喜を滲ませ、人魚姫は呟きました。

 まず、人魚姫は王子が抵抗できないように、手足をしっかりと拘束してから、王子の上半身を露わにしました。

 「なんて美しいお身体なのでしょうか‼」

 人魚姫は溢れそうになる欲求を抑えつけ、王子のへそにナイフをあてがい、一気に腹から胸にかけて切り裂きます。

 研ぎ澄まされたナイフは一切の迷いもなく王子の皮膚を撫で、その中身を露出させました。赤くてらてらと光る臓物が出てくると共に、血飛沫が宙を舞います。

 「あぁ、やっぱりお腹の中はとっても綺麗‼ 思わず頬擦りしたくなりますわ‼」

 「~~~~っっ~~~っ‼」

 突然の激痛に襲われた王子は、声にならない悲鳴を上げ、一気に覚醒しました。

 「あら、お目覚めになられたのですね、王子様。少し痛いでしょうけど、我慢してください」

 人魚姫は暴れる王子の身体を抑えつけ、その腹からドクドクと流れる血液を艶めかしく、狂気的に、可愛らしく、猟奇的に舌で舐めとりました。

 「ああああアァァァァアアアアっっっ‼‼‼」

 王子はその痛みか、それともおぞましさにか、身を捩らせながら絶叫しました。

 「そんなに暴れてはだめですよ、王子様。せっかくの美味しい血がもったいないじゃないですか。でも、」

 人魚姫は昏く目を光らせ、片手で王子を抑えます。

 「そんな風に暴れている王子様も、とっても素敵。そのお腹の中身は、一体どんな味がするのでしょう?」

 人魚姫は唇を真っ赤に濡らし、王子の耳元でささやきました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ