プロローグ(残酷描写あり)
残酷描写ありです。苦手な人は気を付けてください
昔々、あるところに人魚姫がいました。
人魚姫はある日、一目見てしまった人間の王子様に恋をしてしまいます。
しかし、彼と彼女には大きな隔たりがありました。
なので、彼女はある日ふと思いつきました
「そうだ、人魚辞めよう」
人魚姫は不思議な魔法によって、声を失う代わりに人間の姿となることができましたが、それには厳しい条件があります。
人魚姫は王子様と結ばれるため、必死になって頑張りました。だけど、それでも王子様に想いは届くことはありません。そして、人魚姫は泡となって消える……はずでした。
人魚姫はまず、契約を結んだ魔女をブチ殺しました。それはもう凄惨に、悲惨に、陰惨に
彼女の皮を剥ぎ、腱を断ち、そして全身に潮水を塗り込んで、無限の苦痛を与えてから殺しました。
人魚姫にとって、その時間は初めての快楽でした。そう、彼女は楽しかったのです。さっきまで自分の命をもてあそんでいた人の命を、自由気ままに、それこそ虫でも殺すように潰すことが。
彼女は結局、泡となることはありませんでした。どういうことか、人間の姿のまま、声だけは戻ってきたのです。
人魚姫だった人間は笑いました、嗤いました。おかしくて、面白くて、愉快でたまらなかったのです。
自分があれだけ悩んでいたことが、こうも簡単に解決してしまったことが。
それから、人魚姫は悩むことはありませんでした。気付いてしまったのです。自分の心の中でくすぶっている狂気に、ただ身をゆだねてしまえばいいのだと。
そう気付いてしまったら、後はもう簡単です。
次にすることはただ一つだけ
「待っててね、王子様。今、迎えに行きますから」




