表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストーリーズ・ワールド  作者: 今野 なう
不思議の国のアリス《アリス・イン・ワンダーランド》
3/4

ギルドへ

最近寒いですね〜

  さっきからこの状況の説明を少女――ムゥというらしい――に聞いているが……。

  全く理解が出来ない。

  半分ぐらいは分かったような気がちょっとするが、無理。分かんない。

 

「ここまでの話、分かった?」


「いや、全然。全くもってわからない」


「はっはァ!この兄ちゃん、すっげーバカだ!」


  クマの人形ごときに言われたかないわ。

  ムゥは呆れたようにため息をついた。


「どうして私が一生懸命話してやってるのに、理解しないんでしょうね……。

  あなた、人間なの?知性が全く感じられないわ」


「おい」


「いい?もう一度猿――ゲフン、あなたにも分かるように説明するから。

  しっかりと理解しなさい」


「お前、サラッと猿って言ったろ!」


「だってあまり変わらないじゃない」

 

「てめぇ!」



  ――説明中――



「はい!分かった?」


「お、おう……。大まかにはな」


  ムゥの話を簡単にするとこうだ。


 ①この世界は異世界で、ストーリーズ・ワールドという事。

  まぁ、これは予想してた。

 ②ストーリーズ・ワールドは物語で造られる世界で、物語を守る世界である事。

  ここら辺からよく分からん。

 ③ストーリーズ・ワールドの住人は、皆物語の守り人だという事。

 ④住人には、一人一人守る物語が決まってて、それに沿った外見をしている事。

  ムゥとパディの場合は美女と野獣らしい。

  てことは、ムゥが美女でパディが野獣か。

  美女とか……(笑)って言ったら、何か笑顔を向けられた。……怖い。

 ⑤守り人は物語を守るための特殊能力を持っている事。

 そして、特殊能力の強さはお話の有名度で決まる事。

  つまり、有名度が高ければ高いほど、より力が強くなるという事だ。

 ⑥力が強い人々は、6,7人くらいでまとまっている事が多く、それを「ギルド」と呼ぶ。

 ギルド名は、一番力の強い、ギルドマスターの物語名になる事。


  と、ここまでが、この世界の大まかな説明らしい。

  まあまあ理解出来た。

  つーか、俺が理解出来なかったのって、ムゥさんが難しく言い過ぎるのと、パディさんが途中でうっさかったせいじゃないですかね?

  でも、そんな事言ったらムゥにまた睨まれそうでやめた。


「説明ご苦労さん。お陰様でこの世界の事は分かったが、俺がここに呼ばれた意味が分からないんだけど。

 その説明もしてくれるか?」


「その説明はマスターがしてくれるわ」


「マスター?ギルドマスターの事?」


「他に誰が居るのよ。私も結構有名な物語だから、ギルドにも入ってるの」


「美女と野獣か……ぶフッ」


  俺が我慢出来ず、吹き出すと、ムゥは無表情だった顔を少し強ばらせた。


「パディ」


「すんませんしたァーーーーーッッ!!!」


  俺はすぐさまスライディング土下座をキメる。

  パディの正体は俺を襲ったクマだ。

  また大きくなんてなられたりしたら……心の臓が……っ!


「分かればよろしい。じゃ、行こうかな」


「行こうって、こっからギルドは近いのか?」


「ガハハハハ!近いわけねーだろ!飛ぶんだよ、時間の狭間をな!」


「はっ……?それって、どういう……」


「準備完了。マスターに飛ばしてもらう」


  なんか、俺の知らない所でヤバイ話が進んでる!

  時の狭間を飛ぶって何?!ちょっと待って怖い。


「じゃあ、行くぞ!目ェ瞑って3秒数えな」


  パディがそう言うので、俺は勢いよく目を瞑る。

  そして数える。

  1……2……3……

  そして目を開けると。


  「着いた。ここがギルド「不思議の国のアリス」のギルマス室よ」


  可愛らしい、ピンクを基調とした部屋だった。

  白とピンクのタンスの横には、白い机があり、向かい側にピンクのベッドがある。

  壁紙は、ピンク地に白の水玉。

  机の上には、可愛らしいドールハウスが置いてある。

  もしかして……いや、まさかとは思うけど……ギルドマスターって……。


「遅かったね!ちょっといじめてみてとは言ったけど、時間をかけないでねって言ったの忘れちゃったの?」


  やっぱりロリだった!

  どんだけロリに絡まれるんだよ、俺。


「ごめんなさい、マスター。そこの猿が勝手にパディに殺されようとした上に、私の説明を一切理解しなかったのが悪いんです」


「断言した!猿って断言した!咳払いもしてくれなかった!

  つか、全部俺が悪い訳じゃないだろ!」


「こら、喧嘩はダメだよぉ?仲良く仲良く」


  別に喧嘩はしてないが、ギルドマスターが俺とムゥの手をとって言った。

  ギルドマスターの外見は、いかにも「不思議の国のアリス」って感じで、金髪ロング碧眼に水色ワンピースと白地にトランプ柄が入ったエプロンをしているロリだ。

  とどめは頭の水色リボン。

  俺はロリコンじゃないが、可愛いと思ってしまった。


「私の名前は、アリス・ワンダー。「不思議の国のアリス」を守ってて、ここのギルドのマスターでもあるの」


「え……あー、俺は高橋シオリです」


「知ってるよ。私が呼んだんだもん」


「そうなんですか?」


「そうだよ〜?あんまり驚かないね?」


「はぁ。さっきからすごい事ばっか起きてるんで」


「へぇー大変だねぇ〜」


  自分が呼んだくせに超他人事。

  こんなんがギルマスでやってけてるのか?

  そう考えて少し笑ってしまった。

  すると、アリスはそれに気ずいたみたいで、怒ったようにほっぺたを膨らませる。


「何で笑ったの!アリスが小さいから笑ったの?」


「いや、そんな事は……」


「絶対そうだ!あのね、アリス、ちっちゃい子じゃないから!1865年に出来たから……もう100歳以上だよ!」


「ひゃく……っ?!」


  まさかそんな年老いてるとは……。

  ってことはムゥさんも?


  ムゥの方を見ると、ムゥは、私?という感じの表情をつくって、少し考え込んだ。


「私は……1740年に出来たから、200歳以上ね」


  年上だった!ギルマスより!

  100年とか200年生きてる上に年取らないとか、最高じゃねぇか。

  この世界の人は死なないのか?


  また新しい疑問ができちまった。

  早くアリスに聞かねば。ウズウズする。


「そんで、俺が呼ばれた理由、教えてくれないですかね」


「まあまあ、焦らないでよ。まずは、お茶でも飲んでマッタリしようかな。ね、シオリ?」


  こうして、不思議の国のアリスよろしくお茶会が始まった。



 









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ