プロローグ
たくさんの方々の思いが詰まったストーリーズ・ワールド。
楽しんで読んでいただければ幸です。
8月。
世のリア充どもが活発化し、非リア充は萎える季節。
そんな季節に古びた古本屋で店番をする俺、高橋シオリは果たして非リア充なのだろうか。
答えはイエス。
中学最後の夏だってのに、浮ついた話はひとつもない。
クラスの奴らは俺と違って、キラッキラでスイートな夏を満喫中。
どうしてこう同じ人間なのにここまで違うんだろうな。
「はぁぁぁぁぁ〜っ」
考えるだけでもため息が出る。
それに、壊れたエアコンしか無い店内は暑くて暑くて精神的ダメージがやばい。
父さん早く帰ってこないかな…。
俺の父さんは、3年前、母さんと離婚してから父さんの父さん、つまり俺のじいちゃんがやってた古本屋を継いだ。
でも、その3日後くらいに行方不明となってしまった。
警察は、捜査をしてくれたけど見つからず、そのまま打ち切りとなって、俺は叔母さんに引き取られ、それからこの店は叔母さんと俺で経営している。
そのせいで俺はいつも店番だ。
つーか、さっきから全然客来ねぇんだけど。
まぁ…流石にこんな暑い日にこんな所、来るわけないか。
いつもなら少しは来るんだけど。
こうも誰も来ないと、暇で暇で死にそうだ。
「すみませーん」
出入り口のほうで声がした。
客だ。やっと来た!
「はい!」
俺は、シャキッとして出入り口へ向かう。
そこに立っていたのは、小4くらいの可愛い女の子だった。
その子はこの暑いのに、黒を基調としたゴスロリ風のワンピースを着て、クマのぬいぐるみと紙袋を持っていた。
眼つきは超悪い。ジト目でこちらを睨んでる。
「…ジロジロ見て、何?あんた、ロリコンなの?」
「へっ…?」
やばい、変な声出ちまった!
この子、眼つきだけじゃなく、態度も悪い!
一言一言が心を刺すようだ…!い、痛い。
「えっと…、な、何をお探しで?」
「…ん」
倒れそうなのを必死に堪えてそう言うと、女の子は紙袋を俺に押し付けてきた。
「これ何―――」
紙袋から視線を女の子に戻したら、そこにはもうその姿は無かった。
え、何?イタズラ?
ピンポンダッシュならぬ、紙袋押し付けダッシュ?
しかもこの紙袋、俺にどうしろって言うんだよ!
危険物――な訳ないが、一応警戒しながら紙袋の中身を取り出すと、1冊の本が入っていた。
「何だ?この本」
本には題名も作者名もなく、めくっても白紙だった。
ペラペラ…とめくっていると、最後のページに何か書いてあるのを見つけた。
―――物語の架け橋になれ。
それを読んだ瞬間、そのページが水を落とした水面のように揺れた。
そして次の瞬間、俺はページの中に引きずり込まれた!
「うわああああぁぁぁぁぁ!!」
こうして俺の長い長い異世界生活は幕を開けた。




