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軍師

畑が耕され種をまく、

「天気が良ければいいのだがな」

農民もだがその土地のものすべてが思う。

「出兵だそうだ、戦利品が楽しみだ」

同じように呟く、

「出陣をするぞ」

計画通りに兄上の軍勢は諏訪を目指す。


武田も諏訪も毎年のように出陣して毎年のように水害にあい疲弊しており、領地が貧しいため拡大が急務であり、本来は義理の兄弟である諏訪頼重を敵と勝手に手打にしたと責めて大義名分敵には足りないが出兵する。

諏訪頼継を味方につけ兵力的にも優位であり、甲斐統一をした武田の兵は強く負ける様なことはなかった。


「知らせにございます。諏訪頼重は上原城を捨て支城にうつりそれを追撃中とのことであります」

知らせを留守居役の原虎胤が受けて頷く、父信虎に忠誠を誓っていた武将であり追放時には信濃にいたが急遽帰還して板垣に抗議をした忠義者で北条に対する備えとして留守を預かっていた。

今川とは婚姻による盟約を結んでいたが北条とはいつ戦いになってもおかしくない状況であり、ただし少し前に当主氏綱が亡くなって氏康になったためこちらに早々兵を向ける余裕は無いと考えてはいるようだった。

しばらくして諏訪が降伏して頼重の身柄を甲斐に移すと言う話が聞こえ館は勝利に沸き上がる。

「浮かれてはならんぞ、すぐに戦いになろう」

信濃の事は詳しい虎胤が館に響き渡る声で浮かれている城内を引き締めるので理由を聞くと、

「頼継が満足する手合いとは思えませぬ、諏訪の棟梁を自負するには全てを我が物にしなければおさまりますまい」

さすがよくわかっているようで兄上が帰還した後もけっして警戒をゆるめなかった。


「頼重は頼継との話し合いでもあったように自害させる」

兄上が戻ってくるなり評定で言う、命を助けると言うことで降伏してきたのだが統治に不都合と諏訪を継のに不都合が重なり反故にされると言う勝者の理由で、結果嫁いでいた寧々姉が即日首を切られたと聞いて抗議をすると共に寝込んでしまった。

「嫡男は名前を変え諏訪の跡継ぎとする。娘は養子に出していずれ誰かにめとらせる」

「虎胤の言うとおり頼継は早々に動きだそう、嫡男を担ぎ上げいずれは高遠をもとるぞ」

兄上は姉である寧々の事は一切ふれずに重臣と話し合い決めていき奥へ戻ると、

「大井の方(晴信の生母)がお呼びにございます」

そう言われて兄上は後ろにいた私をいきなり抱えあげると奥へ向かった。

大井の方は兄上の生母で、孫子などを積極的に習得させ今の基礎を作ったといっても過言ではない方で、父上に付いていかず躑躅ヶ崎に残っている。

晴信を見て何か言おうとしたが私がしょんぼり抱えられているのを見て大きく息をはくと、

「寧々の事です。どうするつもりですか」

頼重を切った事については今更なので言わないが、ふせってしまっている長女について聞いてくる。

兄上は座りながら私を前に座らせ、

「長子は諏訪の跡取りに、小虎に私の名代として毎日ご機嫌伺いをさせます」

「命はとらぬと言うのですね娘は」

私の事はあえて見ぬふりをしながら大井の方は後の勝頼の母親の事を聞くと、

「養子に出していずれ誰の所へ出します」

それだけ言うと兄上は私を横に座らせ一礼するのでわたしも一礼して下がった。


「小虎、と言うことで頼むぞ」

自分に怒っているのか兄上は三条の方がいる部屋へとむかい私も自室に戻った。

翌日に寧々姉の部屋にご機嫌うかがいに顔を出す。

「小虎にございます。姉上調子はいかがですか」

起き上がれないほどの衰弱ぶりに驚くと、

「小虎ですね大きくなりましたね、戻ってきましたが寅王をよろしくね」

1才にもならない甥を乳母が見せてくれ、

「寅王か小虎だ、はやくおおきくなって遊ぼう」

そう言うと姉さんは涙をながして頷く、調子が悪いため部屋を出ると兄上の小姓に呼ばれ顔を出した。

「どうであったか」

誰にも聞けずに私に聞いてくるので、

「このまま気持ちを持ち直さなければ」

それだけ言うと自然と涙が出てくる。

「そうか、頼む」

それだけ言うと行ってしまった。


日課の要害城に太郎と景政と共に毎日登り、戻ると調子が良ければ寧々の元へ顔を出す。

その後は太郎と景政と3人で兄上の師である岐秀の元へ週に数回向かい甘利が居れば稽古をつけてもらう。

馬も乗りたいがもう少しといわれ我慢しながら過ごした。


「やはり動き始めましたぞ」

諏訪頼継が武田領の諏訪へと攻めこんだと知らせを受け評定が開かれる。

甘利が座ると嬉しそうに言い板垣は頷く、

「信方を先鋒に援軍を向かわせましょう」

飯富が言うのを兄上は頷き出陣の準備を命令した。

「兄上、とらも馬に乗れるようになったら出陣を命令してください」

まだ馬にも乗れない私が言うと、

「小虎、馬に乗れたら連れていってやろう、ただし遠出が出来るようになれば」

「はい、それでは勝利して戻ってきたときに馬をいただけるのを楽しみのしておきます」

そう言うと笑って頷き出陣をしていった。


「警護にでるぞ景政やりをもて」

そう言ってから景政は兄上の馬廻りとして出陣しており小太刀を腰にさすと門を出た。

何時もは景政が一緒だが今日は一人、門番も暇さえあれば外に出る私に景政が居なくても気にする様子もなく頭を下げて見送った。

「さて見廻りをするか」

気合いをいれながら坂を下る。正面の美しい山々を見ながら主が不在の館を通り抜け一刻程かかり川へと到着した。

周囲を見回すと目的の集団を見つけたので歩く、河原の民であり何処にも属さない民であり甲斐でも見つけることが出来てホッとしながら近くの遊んでいる子供に声をかけた。

「おはよう、これ食べる」

おなかがすいたときの為に腰に下げている袋から炒り米をすくうと手に出す。

子供達は遠巻きに集まり、その中でも一番年上の少年が出てきて手から米を取る、無言で口に入れさらに手を伸ばすと他の子もよってきて腰の袋は瞬く間に空になった。


「お前上のもんだろなんかようかよ」

私よりは年上だが未だ幼い少年に侍かと聞かれる。

「上に住んでる。長老にお願いがあってきたんだ連れてってくれない」

そう言うと皆で話をして、

「本当は駄目だけどくれたからなついてこい」

そう言って河原に建てられた家に連れていかれ一人の老人のところへ連れていかれた。


「可愛い侍さんが爺に何かようかな」

前世と同じ小柄だが子供相手でも隙のない仕草で顔は笑顔だが聞いてくる。

「初めまして、武田小虎と申します。館に住んでいます」

「毎日山登りをされているようで、元気ですね」

やはり周囲に情報を張り巡らしてるらしく向こうは知っているようで、

「実はお願いがあります。山の民と連絡を取っていただきたいのです金を」

長老は眉をあげながら、

「甲斐の中でと言うことですか、お許しは出ておるのですかな」

当主の弟とはいえ勝手に掘れば問題になると言うことなので、

「金が出るなら許しをもらいます。夢で見て川で会った者にそれを伝えた結果これが出ましたと」

「それで許されるとは」

「少量なら問題ないと思います。代官が来て取れだかは見ますがそれ以上取れれば、それとその技術を他に転用できればそこの利益も欲しいです」

「どのくらいでしょうか」

それに興味を持ってくれるので、

「南蛮の技術であるものを金と入れると余計なものが灰と共に別になると言う物です」

目が細くなり、

「わかりました。3日後に来ていただければ山の民につなぎをつけましょう」

そう言うと色々な食材を鍋で煮込んでいる食事をすすめられたので喜んで食べ、さらにおかわりをする頃には周りの大人たちも緊張をといて楽しく話をした。

帰りは坂を上るのでその中の男の背中にのせてもらい裏道をかけあがり、兄上の弟である信廉の屋敷の横を通り抜け下ろしてもらうと館に戻った。


館に戻ると3日後に炒り米の準備を頼み疲れたので早々に眠りについた。

翌日に留守居役にいくつかの地名を出して家臣の領地でない場所を調べ約束の日に朝から米を受け取り館を抜け出して川原へと向かった。

「お待ちしておりました」

長老が出迎えてくれ山の民で採掘を生業としている金口と言う男を紹介してくれる。

「武田小虎です。金の試掘と水銀を確保してほしいのです」

私は簡単な甲斐南側の地図を取り出して黒桂と言う地名を書く、

「ここで試掘を、試掘したものは半分を兄上に、半分は水銀を使った実験をします」

そう言うと金口が、

「資金は」

そう言われて先立つ物が無いのでどうしようかと思っていると長老が、

「今回の資金は我らが出そう、ただし新しい技術を我らの独占にさせていただきたい」

そう言われて了承した。

それと前世で掘っていた美濃の金山の場所も教えて資金の調達の算段を決めて食事を貰って子供達に米をあげると館に戻った。

秋口に入り武田勢は優勢に戦い諏訪を奪い上原城を修復して板垣を城代としておくと甲斐へ戻ってきた。


「諏訪の勝利おめでとうございます」

飯富が代表してお祝いの言葉をのべる。

「高遠を早目にとり信濃を押さえましょうぞ」

甘利も何時ものように頷きながら答える。

信濃の入り口である諏訪を押さえられた事により信濃統一が現実味を帯びてきて自然と話に熱が入る。

「先ずは高遠城を落としてからだ、皆の者ご苦労だった」

そう言って酒が運ばれてきて慰労の宴が始まる。

皆は杯を重ねていくがさほど酔わず飲み続けていく、酒は濁り酒で灘のが懐かしく思いながら小樽を抱えてついでまわる。

「小虎様についでもらうとはありがたき幸せ」

甘利は嬉しそうにしており今回出征した景政も、

「若を一人にさせて申し訳ありませぬ、馬に乗れるようにお手伝いをいたします」

泣き上戸になり何度も頷く、

「早く初陣を飾りたいね、派手にだよね」

「日本一の歌舞伎者でやりましょう」

普段見せない景政の様子に嬉しくなりながら兄上へとつぐ、

「小虎、約束通り紫雲(むらくも)を与える」

「ありがたき幸せにございます。はやく自由自在になり兄の片腕として敵を打ち破りたいと思います」

「頼むぞ、信濃を平定しいつかは上洛したいからな」

初めて上洛を口にしてくる兄上に家臣は頷き祝杯をあげる。

「しかし北には長尾、東に北条がいますよ兄上、関東の上杉等も大国ですが」

「長尾は当主為景が亡くなり愚鈍な晴景が後を継いだときく、北条は今川と上杉に挟まれそれどころではあるまい、上杉はこちらが手を出さなければ何もできん愚鈍な奴だ」

そう言うと重臣達は頷きさらに飲んだ。


翌日、また何時ものように館を抜け出すと河原に向かうと採掘の結果が出たと言うことで金口が顔を出す。

「多くはありませぬがそこそこの産出はするようです。水銀も指定されたところから採種をしております」

「金に関しては兄上に話をしよう、それから水銀を使った南蛮の技術を見せよう」

そう言いながら外に出ると15才ぐらいの青年がボロボロの上着を着て力なく座っており聞くと、

「源五郎と言う名の者で、姉夫婦と土地でもめて敗訴してしまい行く宛もなく居たところ拾って連れてきたのです」

源五郎ってどこかで聞いた名だなと思い、

「綺麗にしてくれ、この者も兄上のところにつれていく」

そう言うと驚きながら長老が皆に言って体を綺麗にしてくれこざっぱりとした服を身に付ける。

「こちらを向け、聞いてるのか」

覇気が無い青年に気合いをいれ、

「このまま終わりたくなければ歯を食いしばれ」

そう言うと瞳の奥底に光が戻り悔しそうに立ち上がるとこちらを見た。

「今から俺の家臣だ、場合によっては兄上のになるかもしれぬ」

そう言い背中に背負わせると躑躅ヶ崎に走らせた。


「小虎なんだ、急に会いたいとは」

晴信と広間でわざと会う、

「お願いがあります」

そう言うと頷いてくれる。

「先ずはこの金にございます」

鉱石のまま前置き簡単な地図を広げ、

「この場所で取れたもので、この者金口と申しますが河原に遊びに出たおりこれを願い出たのでございます。誰かしらを派遣して現状と産出量を確認していただきたいのです」

兄上の目が細くなる。

「金口と申したな、この者がわしの弟と知っていたのか」

金口は頭を下げ、

「いえ、大声で自己紹介をされておりましたので」

兄が確認してきたので頷く、

「わかった、向かわせよう」

それだけ言うと今度は源五郎を見て、

「この者源五郎と申して姉夫婦から家を追い出された所を金口に拾われたのです。この者を兄上か私の家臣としてお仕えすることをお願いします」

そう言うと大笑いした兄上が、

「わかった、しばらくは景政の代わりに小虎につかえよ」

そう言って広間でのお願いが終わり兄上に個別に呼ばれる。


「小虎、積極的に動こうとするのは良いがこの甲斐にも他国の者がはいりこんでおる。もう少し慎重にしなければ三条も悲しむ」

心配してくれる兄上に頭を下げ、

「きをつけます」

「頼むぞ、金山に関しては採算がとれれば良いがな」

そう言いながら先行投資に金がかかる為、小規模のも見つかってはいるが試掘で終わっていることも説明を受け、

「それで良いなら小虎の裁量でおこなってかまわん、ただしこちらからはお金は出せない」

そう言われ何度も礼を言った。


「恐れるな馬に伝わるぞ」

小畠(小幡)虎盛が馬を教えてくれる。全身傷だらけだが戦場では何度も感謝状をもらう足軽大将で、馬を操らせても中々の者だが私に対しても手を抜かない厳しさで見つめる。

「源五郎、手だけで操ろうとするな下半身が遊んでおるぞ」

源五郎も小幡の馬を借りて必死に乗りこなし、午後は孫子を読み解き頭を悩ませている。

その間に河原に向かい水銀で金とその他を分離する技術を教え採掘の準備を整えた。


葉も散った冬間近、

「小虎遠出するぞ」

小幡から進捗状況を聞いていた兄上から呼び出される。

「わかりました。源五郎馬の用意を」

源五郎は馬を小幡から貰い私の馬と世話をしている。

馬具を取り付けた馬を引いてくると乗り込み笑う兄の後ろを追いかけた。

「小虎がんばれ」

体が小さい分体がどうしても浮き上がろうとしてしまうのをおさえながら必死についていく、西へと進み続け川原でようやく止まった。


「ご苦労、どうだ」

兄上が馬から降り私も続き土手に上がると家臣がいる。

「ここが一番弱く、洪水の度に河川敷の道が使用不能になりますが、土手を高くしても川の勢いで削られてしまうだけです」

川の氾濫は田畑だけでなく、軍勢の移動を不能にしてしまうため信濃への道を確保するにも治水工事が必要らしく本格的に工事を行うと言うと言うことだった。

「ではどうする。信濃を押さえるには必要だが」

根本的な工事だが専門家がおらず手探りの状況で何をしていいのかわからないと家臣は言う、

「兄上」

「何だ小虎」

私は前世での信玄堤を思い出しながら、

「きつい曲がりは緩やかにしてそれでも足りないなら岩と木で障害物を作り、川の流れを弱め分散していけばイイアかと思います」

そう言いながら河原の砂時に川と同じような蛇行したのを作り、石と枝で障害物を作り川の流れを呼び込み見せる。

「確かに勢いが弱まりますな、ここを緩やかに曲げれば」

家臣はそれを見てああでもないこうでもないと話しておりそれを見た兄上は嬉しそうに、

「小虎褒美だ」

そう言うと小粒金を始めてくれた。

その後は土台の話をしたり横の源五郎も熱心に聞いてる。

そんなことを話ながら帰りも泣きそうになりながら館に戻った。


その冬は一段と寒く、要害城への散歩も根をあげそうになるが源五郎の頑張りで太郎と共に何度か登りきり多いに自信をつけた。

そんなある日のこと評定が行われることとなり一人の男が兄上の前に座った。

「駿府浪人山本勘助と申します」

勘助は色黒で容貌醜く隻眼、身に無数の傷があり足も不自由だが城の建築では並ぶものなしと板垣が推薦してきており百貫で召し抱えると言う話なのだが皆が反対する。

「今川家に仕官して7年もの間放置されていたと言うではないですか」

確かにその通りなのだが兄上は何時ものように家臣の意見を聞いている。

半数以上は反対しており百貫でと言うのも理由らしい、

「小虎はどうおもうか」

兄上が珍しく聞いてくる。

「義元はその容姿で仕官を認めず、その能力で他国に行かれると困るので止めておいたと言うことでしょう、先程話をしていた西国の将について詳しく聞きたいのですが」

そう言うと兄上は頷き聞く、

「一人は大内義隆、西国の雄と言われた大内家の当主ですが貿易を独占しており国力は有りますが将としては無能、家中をまとめあげるだけの才能に乏しく仕えるに値せず、そしてもう一人毛利元就、この者尼子と大内に挟まれた小国の当主だが気に敏感であり思慮深く一族を束ねている。何れは確固たる領土を持ち大国おも飲み込めるほどの力を持つと考えます」

「毛利元就、郡山城主だったよね」

私が言うと笑いながら勘助が、

「さすがは小虎様、治水の件でも面白い意見を出されただけはありますな」

兄上から聞いているのかそう誉められたので、

「小虎でいいぞ、色々聞きたいので頼むぞ」

そう先走ってしまったが兄上も喜び、

「山本勘助、その方の才をかい二百貫で召し抱える」

そう言うと聞いていた倍を提示した兄上に驚き勘助は武田の将になった。


暇があれば勘助の後を追って治水工事や上原城改築で源五郎と共に講義をしてもらう、

「虎口をこのようにすれば敵に察知されず兵を出し入れでき攻城側に対して反撃ができます」

「地盤が緩い場所でもこのような広い岩を使えば大きな施設を建てることが出来ます」

いちいち答えを返してくれ源五郎などは目を輝かせ私を急き立て向かわせようとするので兄上が苦笑する。

しかしそんな勘助が気に食わないのか家臣である南部下野守が表だって誹謗中傷を繰り返し兄上も怒り下野守を改易してしまった。

「新参ものを引き立て古参は改易とはどうお考えか」

下野守は言われた後も叫び兄上は気にせず領地を押さえるように飯富に言うと行ってしまい、それでもまだ止めないので、

「知識と経験は我ら武田には必要不可欠、当主である兄上に対してその様な言い方をしているからだ、飯富からも話があったろう。退去してくれ」

そう冷たく子供の私が言うと呆然として出ていった。


年も明けようやく雪もとけて出陣できるようになると兄上は北信濃の足掛かりとなる長窪城の大井を攻める。

諏訪頼重が長窪城を奪ったのだが先年頼重を滅ぼしたときに大井は取り返し今に至る。

大井の配下を内応で寝返らせる準備が整い攻めることとなった。

城はあっけないほど簡単に落城すると周辺の敵対した豪族を攻め滅ぼし帰還した。

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