表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

6. 説明

「とりあえず座ってください」

 太郎の言葉に従い、美貴は地面に座る。

 地面に近づくと心地よい自然の匂い、空気を感じ、心が落ち着くようである。

「落ち着きました?」

 心地よさから引き戻されるように太郎の声が響く。

「いいから早く!」

「はいはい、説明しますね。美貴ちゃんが今見えてる景色はVRの世界です」

「えっ・・・でも匂いもするし草を触ってる感じもするし・・・水だって冷たいし」

 美貴は太郎の言葉に反論するかのように草や地面、湖の水に触れる。

「んー、カプセルに入ってたのは覚えています?カプセル内で色んなチューブに繋がってたでしょ?

 その影響で匂いなどの五感があるんじゃないですか?」

「でもこれはどう見たって本物・・・こんなVR聞いたことない!」

「最新のVRなんでー、それにこれが本物だったら美貴ちゃんはブタさんだったんですかー?」

「・・・」

「いやー、まさか美貴ちゃんが人の目を忍んで生きるブタの妖怪さんだったとは気づきませんでしたー」

 隙があればからかう言動をする太郎に嫌気をさす美貴。

「分かったわよ!この世界はVRで私はブタってことでしょ!」

「はい、そうです。二足歩行で歩いたり走ったりするブタさんが現実にいるわけないですもんねー」

「それで!なにをすればいいの?」

「そうですねー・・・とりあえず街に行ってみましょうか」

「街?」

「はい、ブタさんの街です」

「私以外もいるの?」

「うーん・・・まあNPCみたいなものです」

「NPCってなに?」

「美貴ちゃんは余りゲームとかしないんですか?」

「パズルゲームとかなら」

「簡単に言ってしまえば、美貴ちゃんはプレイヤーで自分の意思で動いたりできますよね?

 NPCはプログラミングされた行動しかできない人たちです。

 例えば、歩くとプログラミングされた人は歩くことしかできません」

「要は生きてる人間じゃないってことでしょ」

「まあーそうですねー。ちなみに美貴ちゃんは生きてるブタですね」

「・・・・・」

 美貴の怒りが限界に達する。その場を立ち怒りを発散する。

「あんたねー!さっきからなんなの!いちいち喧嘩売ったり、からかったり!

 変な薬飲まされて、起きたら変なカプセルの中いて、次に起きたらブタって!もうなんなの!」

「そんなつもりはなかったですがー、折角なので美貴ちゃんと仲良くなろうと思っただけですからー」

 美貴の怒りに触れても太郎の言動に変化はない。

「そんなことされて誰が仲良くなるのよ!だいたい説明がないのよ!事後説明ってなんなの!」

「そうでしたっけー?」

「そうよ!・・・・・あぁーもうー・・・・・」

 美貴は座り込む。

「落ち着きました?」

「中途半端は嫌だから今回は最後までするけど、これが終わったらもう二度とこんなことしないからね!」

「えー、そんなこと言わないでくださいよー?」

「これで最後!街はどっち!?」

「まあーその辺は終わってからにしましょうか。街は美貴ちゃんから見て左手側を直進してください」

 太郎の指示に従い、左手側を直進していく。

「まだ真っすぐ?」

「はい・・・あっ、右だったかな?左だったかな?」

「どっち!」

「真っすぐでしたー」

「もう!」




美貴ちゃんの血管が心配

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ