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4. 宇宙

 目を開くとそこには多くの人がいた。

 書類に目を通している人、パソコンに目を向けている人、その多くが忙しくしているのが見て取れる。

 白衣を着ており、医者、若しくは科学者のように見える。

 そんな白衣の中1人、しわのあるグレーのスーツの男に気づく美貴。

 美貴の気づきと同時に太郎も美貴が目を覚ましたことに気づく。

「あっ、起きましたかー?」

「ここ何処!」

 見慣れない景色に美貴は不安を覚え大きな声を出す。

「ここは美貴ちゃんの勤務場所ですよー」

「そういうことじゃなくて!」

 怒りを覚えた美貴は太郎を問い詰めたく体を起こそうとするが、寝たきりの状態を起こすことができない。

 美貴は自分自身の周りを見渡す。

 人一人が入るには十分な大きさのカプセルに入っていることに気付く。

 頭、腕、足、体全身にチューブが繋がって、更には体が固定されて身動きできない。

 太郎達が見えるのはカプセル内からの透明な景色である。

「なにこれ!?」

「いやー、昨日の体力測定で眠くなっちゃったんじゃないですかー?」

 興奮して気づかなかったが太郎の声はカプセル内のスピーカーから聞こえていた。

「そうじゃなくて!ちゃんと説明して!」

「昨日も言ったじゃないですかー、VRでいくつかのお仕事をしてもらうってー、

 そのカプセルはVRを行うための機械ですよー」

「こんなの聞いたことない!」

「最新のVRなんでー、

 ところで、ブタとサソリだったらどっちが好きですか?」

 自分の質問には、はぐらかすように答えられ意味の分からない質問をされ美貴は怒りを露わにする。

「なにその質問!?」

「まあまあーどっちですか?」

「どっちかと言えば、ブタ!」

 話の主導権を一切与えられず、諦め気味に答える。

「はーい、了解でーす」

「いや、だからその質問なんなの!?なんの意味があるの!?」

「ただの好奇心です」

「はぁ?」


 太郎はパソコン前に座っている男に話しかけている。

 話している内容は、スピーカーが切られているのか美貴には届かない。

 その間に美貴は体を動かそうとするが、一切動かすことができずにいた。

 再び、スピーカーから声がする。

「それでは行ってらっしゃーい」

「え?なに?説明し・・・」


 太郎の言葉が合図なのかパソコンを操作をしている男の手元が動いた瞬間、カプセル内に煙が蔓延し出し、美紀の意識が遠のき、やがて意識が失われる。

「楽しい冒険になるといいですねー」



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 現実なのか夢なのか、眩しいほどの光が二重三重に見え、赤色と青色と緑色の線が突き刺すように次々と目の前に広がる。

 三色が過ぎ去るとそこには宇宙があった。

 真っ暗な背景に遠くの星々、一つ一つの星が強く輝いていて美しい光景が映る。

 星々に夢中になっている時、何か聞こえることに気付く。

 遠くの星々が衝突する音であろうか。

 音に集中する。

 微かに人の声。

「・・・ちゃん」

 誰かに呼ばれている声がする。

「美貴ちゃん」

 私を呼ぶ声だと確信した瞬間、暗闇に吸い込まれるように体が暗闇に消えていく。

 美しい光景は真っ暗になり星一つなく、黒一色である。


美貴ちゃんイジメるの楽しくなってきた

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