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2. 面接

 


 目の前にあるのは大きなビル。

 面接場所である株式会社スマイルのビルである。

 美貴はビルの1階に入る。

 白を基調としたビルで、建物内も白色で統一されている。

 受付には女性と観葉植物が置かれて清潔感のある印象である。

「すみません、面接に来たんですけど」

「はい、お名前お伺いしてよろしいでしょうか?」

「佐藤美貴です」

「はい、担当者に確認しますので少々お待ちください。その間、そちらのソファでお待ちください」

 女性はソファの場所を促し、それに応えて美貴はソファに座る。

 ソファに座ると体が沈むような柔らかさで美貴は気持ちよさに感じる。

(綺麗な建物だなーこれは当たりなとこだなー)

 美貴は周りを見渡している。

 受付の女性は電話機の内線ボタンを押し、受話器を耳に当てる。

「受付です。本日、面接の佐藤美貴様がお越しになりました」

「はい・・・・はい・・・・かしこまりました」

 受話器を電話機に置き、ソファに座っている美貴の所に向かう。

「佐藤様、担当者に確認ができました。面接の場所はあちらのエレベータから6階にお向かい下さい」

「はいー」

 6階のボタンを押し、お辞儀をする。

 エレベーター内で1人になった美貴は物思いにふける。

(受付のお姉さんは丁寧だし、建物は綺麗でマジ当たり引いた!?)

 6階に着き、エレベーターの扉が開くと1人の男性が立っていた。

 グレーのスーツを着ており、一目で体格に合っていないサイズであることが分かる。

 一回り大きなサイズでよく見ると所々にしわがある。

 男性は眼鏡をかけていて、髪は天然パーマなのかパーマを当ててるのか判別のつかない様子で、無精髭も生えており、清潔感も感じられない。

(うげぇ)

 美貴は一目で嫌悪感を顔に出してしまう。

「こんにちはー、佐藤美貴さんでしょうか?」

「・・・はい」

「本日、面接の担当をさせて頂きます佐藤です」

 男性は美貴に挨拶をしながら名刺を渡す。

「どぉーもー」

 美貴は片手で受け取り、名刺に目を通す。

(佐藤太郎・・・今時たろーって・・・)

「面接はこちらでしますのでご案内します」



 太郎に案内を受け、向かい合わせのソファに座るように促される。

 受付時に座ったソファとは真逆で固く、座り心地も悪く美貴は不快感を表情に出す。

「履歴書を見せて頂けますか?」

「はーい」

 美貴はカバンから履歴書を出し片手で太郎に渡す。

 太郎が履歴書を見ている間、美貴は周りを見渡す。

 床は埃っぽく照明も薄明かりで6階に来るまでの美貴の感想を逆転させるには十分な部屋であった。

「それでは何点か質問させて頂いてよろしいでしょうか?」

「大丈夫ですよー」

「今回のお仕事柄、体調は大事なのですが今まで病気になられたことなどはありますか?」

「大丈夫です、健康です」

「はい、それでは体力測定をしますのでこちらに着いてきて下さい」

「体力測定!?」

「必要になりますので」

「えっ!?」



 ----------------------------------------------------------------------



 美貴はジャージ姿になっており、隣にジャージ姿の太郎がいる。

 ビル内の1フロアが丸々体育館のような広さで、腹筋マシンやトレーニング機器が見え、まるでスポーツジムのようである。

「それでは今から、立幅とび 上体起こし 腕立伏臥腕屈伸 時間往復走 5分間走の5つをして頂きます」

「マジ?」

「マジです」

 促されるまま美貴は体力測定をして、太郎は記録を用紙に記入をする。



「1回休憩させてー」

 美貴は膝に手を付けて肩で息をする。

「ダメです」

 太郎は笑顔で答える。



 無事に全ての体力測定が終了して、美貴は床に倒れ、息を荒くする。

「はぁーマジ無理もう無理、無理ー」

「お疲れ様です。これで面接は終了です。着替えたらご帰宅して構いません」

「へっ?」

「結果については近日ご連絡しますね」

「終わり?これで?」

「はい」



 ----------------------------------------------------------------------



 夕日が落ち、周りの人々は家路に急いでいる

 自宅に着き、自分の部屋のベッドに倒れこむ美貴。

「しんどー、体バッキバキだわー」

(なんで面接で体力測定!?面接だって健康以外なにも聞かれてないし!

 綺麗な会社だと思ったら、あのタローってやつなんか汚いし・・・・マジなんなの!

 ・・・・・もういいや疲れた、眠い・・・・)

 美貴が目を閉じ眠りにつこうとした瞬間、美貴の携帯電話が鳴りだす。

 携帯電話の音にビックリした美貴は体を起こすが、疲労で体を痛がる。

(痛ったぁー)

 美貴は携帯電話を手に取り、登録していない着信だと気付き、電話に出る。

「佐藤美貴様の携帯電話でしょうか?」

 携帯電話からは面接を担当した佐藤太郎の声が聞こえる。

「はい」

「面接させて頂きました佐藤です」

「はい」

「合格おめでとうございます」

「はい・・・はい!?」


無事合格!やったね!

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