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君のいる明日  作者: ほろほろほろろ
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入梅

 あたしは、梅雨が嫌いだ。

 今日は週末ですることが無く暇なあたしは、自室のベッドに寝転んだままテレビのニュースを眺めていた。

ちょうど今は天気予報の時間だ。梅雨入りしたせいか、映し出される日本列島では何処もかしこも傘マークを掲げている。

 ふと、窓の外に目を遣る。外では昨日からずっと雨が降っていて、その音は締め切った窓を通り抜け、あたしの耳にまで届いてくる。その、ざあざあという雨音は、まるであたしの心を掻き乱してくるかのように頭から離れない。

 あたしは、梅雨が嫌いだ。

 降りしきる雨は、これまでの陽気だった時間をすべて流してしまう。綺麗に咲いた桜の花弁を、穏やかな日差しに和んだ芝生を、優しい野花の香りを、春の記憶と一緒に流してしまう。あたしの大好きな春を、すべて。

 あたしは雨雲に問いかける。

 なぁ、お前はなにが悲しくてそんなに泣いているんだ? もしかして、お前も春が終わるのが悲しいのか?

 それとも、ほんとは悲しくなんてなくて、ただ春が嫌いだからそうやって全部流して忘れようとしてるのか?

「……いや、両方か……?」

 もしかすると、梅雨は春のことが大好きで、終わってしまうのがすごく辛いから、ああやって大泣きして無理にでも忘れようとしてるのかもしれない。

 雨雲はきっと一人だ。何か辛いことがあって誰かに打ち明けたくても、雷は無意味に怒ってばっかだし、晴れはいつもヘラヘラしてるし、曇りに至ってはずっと無感情だ。きっと、雨雲と一緒になって悲しんでくれる奴はいないんだろう。だから雨雲は全部一人で抱え込んで、耐え切れなくなったらこうやって泣くんだ。

(……きっと、あたしも……)

 テレビを切ると、部屋がよりいっそう雨音に満たされる。あたしはそれを遮るように布団を被る。それでも、雨音は布団すらも通り抜けてあたしの心を乱そうとする。

 あたしは……梅雨が大嫌いだ。

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