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「あれ?僕は一体…その腕どうしたんだい結翔!?」

「腕はどうでも良いんだ。それよりもおかえり、キルシュ」


魔法は成功した

本当に何でも出来るかもしれない


まぁ俺の左肩から先は無くなってしまったが、それで友達一人救えたのだ

何の心配もいらない

失った瞬間は有り得ないほどの激痛と血だったが、直ぐに止血したから大丈夫だ

痛みは残っているが


「俺は友達を見捨てない。初めて出来た友達を失うなんて嫌なんだ。

それに、この世界を良く知ってるキルシュがいた方が良いだろ?」

「結翔は馬鹿だよ。僕を生き返らせた事で結翔の神力が減ってしまったじゃないか」

「良いんだ。それに、お前がいる」


俺はキルシュと共に何処か広い所へと移動する事にした。瞬間移動だ

勿論魔法の1つなのだが、難しい魔法以外なら詠唱は必要ない


「それでどうして裸なんだ?」


外に出て日の光になれた頃、俺は辺りを見回した

後ろは石碑があり、これが封印の鍵なんだろう

周りは木に囲まれている

そして俺の横には膝下まで伸びた白い髪に、胸は大きくくびれもある。

そして何よりこの世のものとは思えない程美しかった


「ん?あぁそんなことかい。そりゃ魂だけが素材なんだから服なんてあるわけないよ」

「まぁそうだよな」


俺はキルシュに髪の色と同じ服を作った

白のワンピースと下着一式だ


「そう言えば結翔の世界ではこんなのがあったね」


キルシュはそう言いながらブラジャーをつけている

因みに俺は黒のジーンズにパーカーと言った、普通の服装である


でもこうして見ているとキルシュも普通の女の子みたいだ

もうキルシュが魔神と言った理由で狙われることもないだろう

神の力は俺へと受け継がれたのだから


「終わったよ。でも何だか変な気分だよ」


着替えが終わったキルシュが呟きながら自らの胸を揉んでいる


「封印されていたからだろ。それよりもこれからどうするかなんだが…俺はキルシュにも一緒に萌愛を探して欲しいと思ってる。勝手だけど一緒に探してくれないか?」

「当たり前じゃないか。僕の友達が困っているんだ。助けてあげるのが友達だよ」


キルシュはニッコリと笑いながら頷いてくれた

本当に感謝している

俺の友達になってくれたのがキルシュで良かった


「ありがとう」

「気にしなくて良いよ。それより結翔の妹さんを探す力は僕の力の中にはないよ。だから地道に探すしか無いと思うけど、どうするの?」

「そうだよな。仕方ない、一番近くの町に行って情報を集めよう」

「分かったよ」


キルシュは何かを呟き始めた

するとキルシュの背中に魔方陣が現れ、白い翼が生えた

6対の翼はキルシュの神々しさを更に引き立てていた


「まるで天使みたいだな」

「みたいじゃないんだな。元々僕は天使だったんだから」

「そうなのか?」

「そうだよ。これも魔法で隠していただけだからね。それより早く行こうよ。僕、結翔の妹さんに会ってみたいんだ」

「あぁ。我に天駆ける翼を授ける『部位創造』」


瞬間移動は目に見える範囲しか移動できない為、飛んで行った方が早いのだ

俺の背中に黒の6対の翼が現れた


「準備は出来た。それで町のある方角は?」

「何言ってるのさ?僕にそんな力はないし、僕の力は結翔が全て持ってるんだよ?」

「そうだったな。地道に探すしかないようだな」


俺達は適当に方向を決めて飛び立った





*****




この世界には巫女と呼ばれる者がいる

神の御告げを受ける特殊な人間だ

巫女は人類のからしか産まれない稀有な存在であり、必ず女性であり、さらに極めて能力が高い


その日、唐突に巫女である彼女達に神の御告げがなされた


『神の力を有する終焉の魔王現る。人類よ、終焉の魔王を封印せよ。さもなくば世界に終焉が訪れよう。

これは人類最終試練である』


神託を受けた巫女達は直ぐに自国の王へと報告するため、移動を開始した

報告を受けた各国の王は全ての国民へと情報を流し、終焉の魔王の情報を集めるように命令する


そして来るべき時の為に、勇者達を育て上げるのであった




*****





「おっと、説明するのを忘れていたよ。ちょっと下に降りるよ結翔」


突然キルシュが降りるように言う


「どうしたんだ?」


少し開けた場所に降り立ち、キルシュに問いかける


「この世界についてもう少し説明しておかないといけないことがあってね」

「何かあるのか?」

「そうなんだよ。う~ん、口で言うよりもやって貰った方が早いかな。じゃあ結翔、手のひらを上に向けて『ステータス』って言ってごらん」


俺はキルシュに言われた通りに手のひらを上に向けて『ステータス』と行ってみた

すると手のひらの上、空中に文字が現れた


「これは?」

「これはステータス魔法、簡単に言えば能力の確認が出来るんだ」

「能力の確認…」


俺は書いてある文字を見る


名前:常闇結翔とこやみゆいと

種族:武神

職業:終焉の武神

魔法:闇魔法LvMAX・創造魔法LvMAX・空間魔法LvMAX

異能:思考加速・未来予知・並列思考・認識阻害・超記憶・瞬間移動

不可侵能力:常闇・エミリア・全言語理解

称号:『終焉をもたらす者』・『最後の常闇』・『魔神を受け継ぎし者』・『人類最終試練』


良く分からない…

唯一分かるのは不可侵能力の常闇だけだな


「凄いね結翔は」

「どう凄いんだ?」

「そうだね…魔法に関しては僕の力を受け継いでいるから分かるんだけど、異能が多いよ。それに称号も多いよ」

「異能ってのは何なんだ?」

「異能は魔法と違って永続的に発動してる能力の事だよ」


基本的に魔法は詠唱を必要とする

無詠唱も可能だが、原則詠唱が必要だ

異能は詠唱等もいらず、ずっと発動しているらしい


「じゃあこの不可侵能力ってのは何なんだ?」

「簡単に言えば不可侵能力は影響されることが絶対に無い力の事だよ。魔法で異能の効果を無くしたり下げたり、魔法を魔法で妨害したり出来るんだけど、不可侵能力はそれが無いんだ。だからこそ最も強力な能力だね」

「そうか。俺には3つあるんだが、エミリアって能力が分からないんだ。これはどんな能力なんだ?」


俺がそう言うとキルシュは呆けた顔で「エミリア…本当に?」と呟いた


「見えてるんだろ?」

「いや、不可侵能力は僕でも見えないんだ。僕と結翔とは魂で繋がっているから見えてるだけで、普通ステータス魔法は見えないものなんだ」

「そうなのか?」

「えっと…ちょっと待って『ステータス』」


キルシュはそう言うとステータス魔法を唱えた


名前:エミリア

種族:堕女神

職業:復讐の女神

魔法:光魔法Lv1・天空魔法Lv1・回復魔法Lv1

異能:心眼・女神の微笑み・自動再生・同時詠唱

称号:『嵌められた少女』・『絶世の美女』


と、浮き出ているのが見える


「…戻ってる」


キルシュはとても嬉しそうに、戸惑いながらも小さい声で呟いた


「どうしたんだキルシュ?」

「僕は…結翔…僕の名前はエミリア。エミリア、それが僕の本当の名前だよ」


そう言って微笑むキルシュ…いや、エミリアの頬には涙が見えた


「エミリア。何があったかは知らない。でも、俺とエミリアが友達なのは変わらない筈だ」


俺は泣いているエミリアにそうだろ?と言った


「その通りだよ結翔。僕と結翔は友達だからね」


エミリアは服で涙を拭くと、話を戻そうと言って笑顔になった


「さて、何か質問はあるかい?」

「称号は何なんだ?」

「称号と言うよりも、結翔には2つ名って言った方が分かりやすいと思うんだけど、どうだい?」


2つ名…つまり誰かがそうゆう目で俺を見ていると言うことなのか?


「つまり意味は無いんだよな?」

「残念でした。この世界では意味があるのさ。まぁ全部では無いんだけどね」

「そうなのか?」

「うん。それでも限定的な能力だけど強力なんだよ」

「限定的な能力?」

「そうだね。ステータス魔法を使ってみて。それで詳しく知りたい能力を触れば分かる筈だよ」


俺はエミリアに言われた通りにステータスを使い、称号を調べることにした


『終焉をもたらす者』:敵対者が多い程魔力が増える

『最後の常闇』:常闇一族の最後の1人

『魔神を受け継ぎし者』:配下が増えるほど能力が上がる。配下を上位種族へと進化させることが出来る

『人類最終試練』:人類と敵対時、能力全てが格段に上がる


これはあれだな…本当に人類の敵だな


「魔法も異能も詳しく見ることが出来るよ」

「分かった」


魔法を見てみることにした

だが余り詳しくは分からなかった

まるでそれが全てのように説明されていた


どんな風に書かれていたかって?

闇魔法は闇を自由自在に操れる

創造魔法はあらゆるものを造り出せる

空間魔法は認識する空間を自由に操れる


と、書いてあった


魔法に関しては使っていくうちに分かるだろう


次に異能だ


思考加速:思考能力が上がり、情報処理能力が上がる

未来予知:数秒先の出来事が見える

並列思考:物事を同時に考え、処理することが可能になる

認識阻害:気配を消し、認識されにくくなる

超記憶:全ての出来事を脳が記憶し、忘れることはない

瞬間移動:目視できる範囲に瞬時に移動する能力


と言った能力だった


「だいたいは把握できた」

「分からないことがあったら僕に聞いてくれたら良いよ」

「分かった。じゃあそろそろ移動しよう。日が暮れる前には町につきたいからな」

「そうしようか」


そして俺達はもう一度飛び立ち、日が暮れる前に町へと辿り着いた


俺達は町に直接降りるのは止め、町の近くに降り立ち、歩いて町に入ることにした


「適当に行っても町にはついたな」

「そうだね」

「そう言えばこの世界にもお金はあるのか?」

「勿論あるよ。結翔の世界のお金とは違うけどね」


俺はそうかと答え、少し考えた

お金が存在しているならば、お金は必要となる

宿があったとしてもお金がない俺達は野宿になるのではないのだろうか?


まぁいい


「取り敢えず入ってみるか」

「そうしよう」


俺達は町へと向かって歩いていった


町は石の壁で守られてあり、町に入る場所は1ヶ所だけだった


「珍しいこった。どうしたんだいお二人さん?」


俺達に気づいた門の近くにいた人が話しかけてきた


「いや、少し迷ってしまったんだ。そしたら町が見えたもんだから来たんだが」

「そうだったのか。身分証はあるのか?」

「いや、荷物を無くしてしまったんだ。だからお金も無いんだよ」

「そりゃあ災難だったな。うーんどうしたものか」


門番らしき人は何かを考え始めた

身分証がなければ入れないのだろう

お金がないのも影響しているのかも知れない


「どうしたのですか?」


するとまだ悩んでいた門番へと話しかける男性がいた


「マイヤーク様!いや、この者達が町に入りたいらしいのですが、荷物を無くしたため身分証とお金も無いのです。ですからどうしたものかと」

「そうなのですか」


マイヤークと呼ばれた男はそう言ってこっちを見た


「ふむ…身分証を無くしたため作りたい。しかし、身分証を発行するには銀貨が必要。お金がない貴方達は身分証を発行出来ない。そうですね?」

「あぁ」

「貴方達は一体何をしていた方なのでしょうか?それによっては仕事を紹介できるかもしれません」


仕事を紹介してくれるらしい

だがなんと答えるのが正しいのだろうか


「僕は店を開いてたんだ。結翔は冒険者をしていたよ」


俺が悩んでいるとエミリアがそう答えた

冒険者はあるのかと少し感動してしまった


「冒険者なら話は早いですね。武器はあるのですか?見たところ武器を持っていない様に見えるのですが」


そうか、普通なら武器を持っている

どうすればいい?無くしたから貸してほしいと言えば良いんだろうか?


『結翔聞こえるかい?』


すると頭の中に声が響いた

その声はエミリアのもので、驚いてエミリアを見ると小さく頷いた


『説明は後でするからまずは言った通りにして欲しい。まず、空間魔法で目の前に穴の空いた空間を作るんだ』


俺は言われた通りに手を前に出し詠唱をする


「我が空間へと繋ぐ『次元の穴(ホール)』」


空中に穴が出来た

中は特に何もない空間の様だ


『そしたら穴の中に手を入れるんだ。そして創造魔法で武器を作り、引っ張り出す。創造魔法の事は秘密にしておいた方が良いよ』


俺はエミリアに頷き、手を入れる


「我が最強の武具よ、今此処に顕現せよ『武装創造』」


差し込んでいた俺の手にずしりとした重みが伝わる

俺はそれを掴み引っ張り出した


それは2本の刀だった

1本目の刀は2メートルはあろうその長い刀はとても黒く右側の柄の部分に窪みがある

2本目の刀も2メートルはある刀身。色は真っ白だった。こっちの刀は左側に窪みがある


黒と白の刀の窪みを合わせてみる

闇の黒と光の白

相反せず綺麗に1本の刀となった


「そ、それが貴方の武器ですか?素人目に見てもとても良い物に見えます。名はあるのですか?」


そう、誰が見ても業物に見える程のこの刀達は名がある


「黒は破壊」


刀の黒い部分が淡い光を発する


「白は理想」


刀の白い部分が淡い光を発する


「邪魔者は全てを破壊し理想を作るこの刀は『夢の世界(ワールドドリーム)』」

「素晴らしい刀ですね。どうですか?私の護衛をしてみませんか?」


何故かキラキラした目で俺にそう提案してくる


「それは有り難いんだが、良いのか?」

「えぇ勿論ですとも。かなり腕のたつ冒険者の様ですし、こちらの方が特ばかりあるのです」

「分かった。ならあんたの護衛をしよう」

「宜しくお願いします。それで、お連れの女性はどうしましょうか?」

「僕も勿論着いていくよ。こう見えて戦いは得意なんだ」


マイヤークにエミリアが答える

未だに怪訝そうに見るマイヤークだが、エミリアが翼を見せると何かに納得した様で、しっかり頷いていた


「それでは本日は私がお金をお貸ししますので、身分証を発行してください。勿論、しっかりと働いてもらいます」

「あぁ」

「ありがとうおじさん」

「それでは早速発行して頂き、本日は私の家に泊まってください」

「良いのか?」

「えぇ。私の娘も喜ぶでしょう」


そう言ってマイヤークは門番に指示を出した

俺達は門番の後をついていき、身分証を発行してもらった

身分証は薄いカードの様な物で、無くしてしまう事が多いので気を付ける様に言われた


身分証を発行し終えると、マイヤークに手紙渡された


「これを私の家の者に見せて下さい。今から私は別の用事がありますので行かねばなりません。場所はこの道を真っ直ぐ行った大きな家です。もしも分からなかった場合、周りの方に聞いていただくと宜しいかと思います」


マイヤークは最後に付け足すように言葉を吐いた


「この町で差別はしないで下さい。冒険者の方は実力主義だと聞いておりますので大丈夫だとは思いますが、万が一問題を起こされた場合、強制的に町を出ていってもらいますので」


そう言い残しマイヤークは去っていった


俺達はマイヤークを見送り、マイヤークの家へと向かったのである



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