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勝利を求める少女アリア 「決闘をしましょう」

第2ヒロイン登場!!


side:大牙


「失礼、そこの殿方」


俺は後ろを振り向いた。

そこには俺と同じ歳位の少女がいた。

少女は腰まである水色の髪をロール状にしてある。中性な顔立ちで、美少女と言っても過言ではないだろう。貴族の雰囲気をだしていて、おだやかな目は俺を見つめている。


「俺に何かようか?」


「いえ、見ない顔なので気になっただけですわ。新人の方ですの?」


「あぁ、今日から入ることになった光陰 大牙だ」


少女は親しげにかつ、礼儀正しく優雅に聞いてきた。

こういう人は好きだ。気軽に話せるし、こちらも礼儀を正しくしなければならないと思ってしまう。

なんだかこいつとはすぐに友達になれそうだ。


「そうでしたか。私の名はアリア。アリア・レイフォンと申します。以後、お見知りおきを」


「こちらこそよろしくな」


アリアはズボンの裾を指先で軽く持ち上げて、手を差し伸べる。俺はその手をとり、握手をした。


「それでは、早速、決闘をしましょう」


・・・ん?今、アリアは何と言った?決闘?いや、こんな優雅な人からそんな物騒なことは聞くわけないよな。


「すまない、もう1度言ってくれ」


「決闘をしましょう」


聞き間違いではなかったようだ・・・


「何を言ってるんだ?そんなことやるわけないだろう」


「私はこのギルドで最強を目指しているのです。このギルドにいる人たちはほとんど倒しました。だから、次はあなたです」


最強、という言葉にカチンと頭にきた。

こういうやつは嫌いだ。


「馬鹿馬鹿しい。最強だと?そんなことで最強になれるわけないだろう」


「なんですって!?闘って勝ち続けることが最強の証明でしょう!」


俺が間違ってた。礼儀正しくて優雅なのは化けの皮だ。


「その考え自体が間違ってるんだよ。お前、負けたことは?」


「いえ、そんなこと1度もありませんわ」


本性は闘って力だけしか見てないバカだ。勝つことで優越感に浸るタイプだろう。


「なら、俺には到底勝てないね。じゃあな、お前と話していると時間が無くなる」


「お待ちなさい!さっきの無礼な発言といい、あなた私のことをわかっていらっしゃいますの!」


誰がお前のことなんか!、と言いそうになった所で茜が耳元でこっそり説明してくれた。


「大牙、そいつは大企業レイフォン家グループの社長の娘だぞ」


レイフォン家?レイフォン・・・あぁ、あの大手メーカーのレイフォンか。

レイフォンは武器や兵器といったものを独自で開発し、他の企業よりも群を抜いており、今ではトップの大企業だ。

その社長の娘ぇぇぇぇぇ!!?

やべぇよ!何できづかねぇんだよ!俺のバカ!!

くそぅ・・・もう、後戻りできねぇよな。


「知ってるぜ。レイフォン家の娘さんだろ?」


「知ってるなら態度を、「俺はお前が嫌いだ」・・・っ!?」


「俺はお前みたいな高飛車な女が嫌いなんだ」


あぁ・・・言っちまった。つい、ムカついたから勢い余って言っちまった。

おぉ!アリアのおだやかだった目が今は睨んで怖くなっている。

それが、本性か・・・


「私もあなたが大っ嫌いです!しかし、私は勝ち続けなくてはならないのです!さぁ、私と闘いなさい!二度と天を拝めなくさせますわ!!!」


「悪ぃな。俺はこれから依頼の方に行かなくちゃいけねーんだ」


安い挑発にのってたまるか。

ここはさっさと引き上げるのが定石だ。


「な、なんですって〜〜〜!!!」


俺らは依頼であるゴブリン討伐に向かった。

前言撤回、あいつとは友達になれそうにない。

けど、あの目・・・苦しそうだったな・・・




side:アリア


「あぁ~~~もう!なんなんですの!あの方は!!!


腹が立つ。私の頼みを断り、考えを否定し、尚且つ勝てるですって・・・悔しい、悔しいですわ!

私は親指の爪を噛みしめ、歩き回っていた。

なんとかあの方と闘い、屈服させてやりたい。あの減らず口が開かないようにしたい。


「仕方ありませんわね。この手段を使うしかありませんわね」


私はペンダントについているプレートに魔力を注ぎ、耳につけた。

ペンダントは魔力通信石という、魔力を流し、その人を思い描けばその人に自分の声が届く石。

この石の欠点はお互いに通信石を持っており、魔力の波長を知ってなければ声が聞こえないもの。さらに、値段が少しお高いので貴族や上にいる者しか持っていない。

ちなみに、加工して、ペンダントやイヤリング、ブレスレッドなどのアクセサリーにできる。私のは青いプレートで片面に『reifon』と筆記体で刻まれている。


「・・・実は頼みたいことがあるの。ギルドの新人、光陰大牙と私を闘わせるようにしたいの。どんな方法でもいいわ。・・・そう。全てはあの人の為に・・・」


待ってなさい、光陰大牙!






side:茜


私たちはゴブリン討伐のために近くの森にいる。なんでも、ここら一帯は山菜がよく採れるらしい。凶暴なモンスターがいなくて、よく山菜が生えているかららしい。しかし、最近、ゴブリンが出てきて山菜取りを邪魔するらしい。困っていた山菜を売りにしていた人はギルドに依頼したが、他のギルドの者は森まで無駄に遠いという理由で手をつけなかったみたいだ。そして、私たちのギルドへ流れ着いた、という訳だ。運良く私たちのギルドから近くて手頃な依頼だったので私はこの依頼を選んだ。


そんな事より、なんなのだ!あの女は!大牙につっかかてきて!しかも大牙と闘いたいだと?ふざけるな!私が認めるか!


「・・・ぃ・・・ね・・・」


それに、大牙の実力を見たら自分のものにしそうだ・・・いや、それはダメだ!大牙は私のものだ。絶対に手放すものか!


「・・・ぉ・ぃ・・・ぁ・・・ね・・・」


しかし、どうする?相手はレイフォン家の娘、このまま引き下がらないだろう。


「・・・ぉい・・・ぁ・かね・・・」


う~ん、どうしたらいい。いっそ首輪を買って私から離れにようにするか?・・・それはそれでいいかも・・・ダメだダメだ!そんなこと嫌がるに決まっているだろう!・・・いや、ちょっといいかも・・・私が飼い主で大牙が忠実なペット・・・ヘヘ・・フヘヘ・・・


「おい!茜!」


「ふぁ、ふぁい!?」


「どうした?なんだかボーっとしていたぞ」


い、いけない。考えるあまり、大牙に心配させてしまったようだ。

大牙は腰に刀を所持していて懐には拳銃を隠し持っている。


「だ、大丈夫だ。心配するな」


「まぁ、お前がそう言うなら気にしないけどさ。それでどっちに行けばいい?」


「え~と、あっちだ」


私は斜め前方に指を指す。

情報によるともう少し先にゴブリンの集落があるらしい。そこに行けばゴブリンがいると判断した私たちはそこに向かっている。


「大牙、首輪は必要ではないか?」


「はぁ?必要ねぇよ。ペット買う予定なんてないし」


「いや、そういう意味ではなくて・・・」


「 ? 寝ぼけてんのか?とにかく行こうぜ」


「あっ、待ってくれ!大牙!」





私たちは集落に着いたがゴブリンたちはいなかった。多分、どこかに行っているのだろう。

私たちは集落の近くで休憩をとることにした。

きっと、ゴブリンたちはここへ戻ってくるだろう。そして、油断している時に奇襲するというものだ。


「なぁ、大牙。あの女のことどう思う?」


私はヒマだったので聞いてみた。少し気になるしな。


「あの女ってアリアのことか?俺はあいつが苦手だ。傲慢だし、自分の力に過信している。正直言って嫌いだ」


ホッとした。ないとは思うが大牙があの女に好意でももたれたら・・・・・でも、杞憂だったようだ。この様子を見るからに大牙はあの女のことはよく思ってない。


「それじゃ、闘う気は無いんだな」


「あぁ、ただあの目が気になってよ」


「目が?」


「アリアの目、なんだか苦しそうだった。自由がなく、なにかに縛られている。そんな目だった」


そうなのか?私にはわからなかった。

ただ、力を求め、相手を叩き伏せる、そんな猛獣な目をしていたことしかわからなかった。


「状況によっては俺は闘うかもしれない。アリアを助けるために」


「しょ、正気か!?あの女はレイフォン家の娘。戦闘経験は豊富だろう。それにギルドの者をたくさん倒してきたって言ってた。確かに大牙は強いが勝てるわけ・・・わぷっ!?」


突然、大牙が私を抱いて肩に私の口を抑える。そして、抱きかかえたまま茂みの中に隠れる。

い、一体何だ!?急に何を・・・


「しっ、ゴブリンたちが帰ってきた」


私は集落の方に目を移す。ゴブリンたちが膨らんでいる麻袋を持ってきていた。

それよりも、だ、抱かれいる/////

大牙の匂いがする・・・大牙の温もりを感じる・・・愛しい人の顔が目の前にある・・・自然と心臓の鼓動が速くなる・・・


「・・・どうやら俺たちには気付かれてないみたいだな」


そう言って大牙はスッと抱いていた手を解く。

10秒程度しか抱いていないと思うが私にとって長い時間に感じた。

離れた今も感覚として残っている・・・あぁ、幸せだ・・・


「構えろ。討伐を開始するぞ。あと、あんな力に慢心な奴なんかに絶対負けないから、茜。・・・茜?」


「へへ・・・フヘヘ・・・大牙に抱かれた・・・大牙を感じる・・・」


私は先程の光景を思い出しまたトリップしてしまう。

大牙が刀の柄に手を添えたまま見ているとも知らずに。


「おぉ~い。しっかりしろ、茜」


「ふえ?」


私の頬を大牙はペチペチと叩いた。それのお陰で私は我に返った。


「大丈夫か?」


「た、大牙!?/////」


目の前には大牙の顔があり、私の顔が赤くなる。


「またお前ブツブツと「ワアアアアアアア!!!/////」・・・え?うわぁ!」


私は頭が真っ白になり大牙のことを突き飛ばしてしまった。そのせいで茂みからとばしてしまった。


「いっつ~・・・いきなり何すんだよ!」


「ご、ごめん!驚いてしまった・・ん・・・だ」


「ん?・・・あ・・・」


茂みから出てしまった、ということはゴブリンたちに気付かれるということ。当然のように私たちの目の先にはゴブリンたちが武器を持って臨戦態勢をとっている。


「ぐるるるるる・・・」


や、やってしまった・・・自ら立ち上げた奇襲という作戦なのに自分で壊してしまうなんて・・・


「はぁ~、まっ、どうせ闘う時に出てこなくちゃいけないし、別にいいか」


そう言いながらゆっくりと立ち上がる大牙。

ざ、罪悪感が・・・


「うぅ、す、すまない」


「いいよ、気にしてねぇ。それよりも気持ちを切り替えろ。くるぞ」


大牙は刀を抜く。刀は霞みがかって汚れ1つない刀身だった。


「刀だけ?翼や銃は?」


「こんな奴ら『村正』だけで十分だ」


刀の名前は村正って言うらしい。私が知らないということは私の街を出て行って後に手に入れたものかな?

大牙は負けるわけがないと言っているような自信の目でゴブリンを見ていた。

そして、刀を前にだし、構える。


「それじゃあ、行くぞおおおおお!!!」


ゴブリンとの闘いが始まった。

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