表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられたオメガの参謀、野良犬王子に拾われる。言葉の魔法で選挙に勝ったら、次期国王に溺愛されて逃げられません!  作者: 水凪しおん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/15

第13話「つがいの儀式」

 その夜、俺たちは寝室にいた。


 広いベッドの上、月明かりだけが二人を照らしている。


 抑制剤を飲んでいない俺の身体は、コウガのフェロモンに反応し、熱く火照っていた。


 だが、それは苦しい発情の熱ではない。愛する人に求められる喜びと、彼を受け入れたいという純粋な欲求からくる熱だった。


「……いいのか、ミナト」


 コウガが俺の上に覆いかぶさり、問いかけてくる。


 その声は掠れ、情欲を必死に抑えているのが分かった。


 オメガの首筋にある「腺」を噛み、己のフェロモンを注ぎ込むこと。それが「マーキング」であり、生涯の伴侶となる「つがい」の儀式だ。


 一度つがいになれば、もう二度と他の誰とも結ばれることはない。魂レベルでの契約。


「……あなたがいいんです。コウガじゃなきゃ、嫌だ」


 俺は彼の首に腕を回し、自ら首筋を晒した。


 白く脈打つそこは、俺の急所であり、彼を受け入れるための唯一の場所。


 コウガの瞳が金色に輝き、理性のタガが外れる音が聞こえた気がした。


「愛してる。ミナト、俺の全てをお前にやる」


 熱い唇が首筋に触れ、そして鋭い犬歯が皮膚を突き破った。


 激痛と共に、脳髄が痺れるような快感が全身を駆け巡る。


 彼の熱が、存在が、俺の中に流れ込んでくる。


 血液が沸騰し、魂が溶け合う感覚。


 俺は声を上げて背中を反らせ、彼の背中に爪を立てた。


「あ……っ、コウガ……!」


 痛みが快楽に変わり、意識が白く染まっていく。


 これまで感じてきた孤独や不安が、全て彼によって塗り替えられていく。


 俺はもう一人じゃない。


 半身を見つけたのだ。


 儀式を終え、俺たちは汗にまみれて抱き合ったまま、荒い息を整えていた。


 首筋に残る噛み跡が、ジンジンと熱を持って俺の所有者を主張している。


 コウガは愛おしそうにその跡を舐め、俺の額にキスをした。


「これで、お前は俺のものだ。死んでも離さない」


「……ええ。俺も、あなたのものです」


 窓の外では、新しい朝が始まろうとしていた。


 雨上がりのような清々しい空気。


 俺たちの物語は、ここから本当の意味で始まるのだ。


 二人で歩む、幸せな未来への第一歩が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ