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混沌の十二日  作者: 藤原時照


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五日目(6)

 いま、僕はシングルの布団に寝ている。

 右にはキヨ、腹の上にはネネが居る。

 二人がここにいるという状態は、明らかに現世のシステムに則していない。

 幽世に近い状態にあると言っても良い。

 すなわち――

 僕は妙な想像をしてしまった。

 ちょっとした怪談めいた話を思い出して。

 その結果、いま、誰かが僕の足首を握っている。

 それはキヨではない。

 もちろん、ネネでもない。

 ほかの誰か。

 それはここにいるはずのない誰かの手。

 僕は自分の想像を止めようとした。

 でも、そんなときほど考えてしまうもの。

 片手が足首を握り、もう片方の手は脛に伸びる。

 その手が脛を掴むと、もう一方の手が膝に伸びる。

 僕が想像した通りに。

 ここにはキヨとネネが居る。

 弱っちょろい姿なんて見せられない。

 だから、僕は耐えた。

 威厳ある父親の姿を頭に思い描いて。

 でも――

 片手が腰に伸びたとき、ネネが起き上がって、その手を引っ掻いた。

 怪異は搔き消えた。

「ありがとう、ネネ」

 僕がネネを撫でると、ネネは僕の顎に頭を擦り付けた。


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