第7話 看病
シャリッ......シャリッッ
あまり聞き慣れない音を聞き、意識が覚醒する。
シャリシャリ...
目を開くとそこにはいつもの白い天井があった。
寝すぎたか?と思い時計に目をやると、デジタル時計には15:41の表示。
あきらめの2度寝をかまそうと目を閉じると、違和感に気付く。
そう、いつもの天井にいつも通りの自分の部屋、そこに自分以外の気配があるのだ。
それも、シャリシャリと音を出しながら。
何か果物でも食べているのか?と思いながら音の鳴る方を見ると、そこには包丁を持った金髪の少女が椅子に座っていた。
「物騒な物もって人の部屋で何してんだ...」
「...ッ!?」
少女は驚いた表情でこちらを見る。
「...ぅぐッ」
もぐもぐと口を動かし、飲み込むと
「見ればわかるでしょ、りんごよりんご!剥いてるの!りんごの皮を!」
そういいながら、新しいりんごを手に取り、皮をくるくると剥き始める。
「なんで俺の部屋で?」
「看病してあげてるんじゃない」
「看病?」
「まだ寝ぼけてるわけ?昨日、放課後に無茶して戦ったらしいじゃない」
思い出した。あのAIとの戦いを。
「昨日?ってことはほぼ丸1日寝てたってことか?」
「そうよ、だから私がこうして看病してあげてるの」
ムッとしながら彼女は答える。
「うーん、昨日自分で歩いて帰ってきた覚えがないんだけど…」
「アレスが担いできたわ、このりんごもアレスからよ」
「ところで質問なんだが、いったいりんごは何個もらったんだ?」
「3個...」
「で、今剥いてるりんごが残りの1個、ってことは2個も一人で食ったのか?」
「うう」
「そんなに腹へってるなら、なんか食ってこいよ」
「しょッ…しょうがないでしょ!あんたが全然起きなくて心配だったし、私がご飯食べてる間に何かあったら大変じゃない!だからりんご2個を私が食べるのは当然の権利で~す」
こんなに本気で心配されたんじゃあ何も言うことはできまい。
「それに...あんたは心臓が悪かったんだから...」
うつむきながらボソッと言う。
「わかったから、りんごはウサギカットにして」
「はいはい」
そういうと、器用にりんごをカットしてお皿に盛りつけてくれた。
「ていうか、今日学校だよな?」
「私は看病のため欠席、さっきも言ったけどチームメイトに何かあったら困るんだから!」
そんな会話をしながら、りんごを食べようとすると、右腕には包帯がぐるぐる巻きにされているのに気が付いた。
「なんだこりゃ」
「あぁ、それね、ポップちゃんがおまじないにって」
「あのロリか」
「昨日のけがはさえさんが直してくれたみたいだから、お礼言っときなさいよ」
「はいはい」
母親か、なんて思いながら口には出さない。
そんなこんなでウサギのりんごをすべて食べ、そろそろベットから出るかなんて思っていると、彼女は真剣な顔をして問い詰めてきた。
「で、なんで昨日は2人で帰ったの?」
唐突な真剣モードにひるんでしまって答えられない。
「前にアレスに言われたよね、放課後は3人で帰れって」
「う、うん...」
「約束したよね?迎えに行くから待っててって」
「うぅ...」
「なんで先に帰ったわけ?」
「すみません...」
「チームメイトに無茶させたくないっていう私の気持ち...分かる?」
「はい...」
「じゃあ誓いなさい、今後は2人で勝手に無茶しないと」
「誓います...お嬢...」
流されて誓ってしまったが、彼女の言うことは間違っていない。
こんな正論で殴られては何も言えないではないか。
「その呼び方はやめて」
「す、すみません」
「もういいわ、シオン迎えに言ってくる。あの中二病にも誓わせなきゃ意味がないからね」
彼女はそう言って、部屋を出ていった。
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