第4話 チュートリアル
「病人どもが、掃除の時間だ」
目の色を青から赤に変え、体から煙を上げている。
...が、なかなか攻撃してこない。
それどころか敵は微動だにしない。
この永遠とも感じられるにらみ合いの中、シオンが敵に突っ込み切りかかる。
「たえ、今がチャンスだ!」
我に返り、定規を強く握りしめ、シオンに続いて切り込んだ。
シオンのブレードが風を切り、肩口を狙う。
だが金属とぶつかったような音が鳴り、火花が散っただけだった。
「っ……チっ!」
シオンが呻く。
俺は左の定規を逆手に持ち、シオンの影から斬り込む。
不意の一撃。
敵が右手で定規による斬撃を防ごうとしたところ、”メキャ”っという音とともに腕ごと吹っ飛んだ。
「っ!?」
腕を失ったのが予想外だったようで、先ほどまでは考えられないような焦った様子で距離をとる。
「う...腕が...何が起こった?」
「鳩が豆鉄砲でも食らったような顔してんぜ」
シオンはニヤッと笑うと、敵を煽り始める。
「腕がはじけ飛んじゃった~(笑)」
「あらら、腕からオレンジジュースが流れてるよ~w」
シオンに続いて俺も煽ってみる。
「...っ」
敵さん、かなり頭に血が上っているようだ。
「オレンジジュースってwww、でもよ~OBのやつって頭が悪いよなw」
OB、オレンジ色の血のことだ。
AIは血液の色を好きに選ぶことができ、血色の良く見える赤色に近い色が人気が高く高価になるのだ。
しかし、赤血は人と同じ色のため一番安価で不人気。
つまりこいつは、見栄えにかなりの金を使っている。
「うるせぇ...」
煽りが効いている。
「こいつの言うとおりだわ。せっかくOBにして金かけてるのに、片腕欠損とか意味ねぇw」
「そんなんなら赤血にしとけば安かったんじゃないの~?w」
とどめの一撃
「くぁwせdrftgyふじこlp~!!!」
ついにぶちぎれたと同時に全力で切りかかってくる。
左手だけでは受け流せず、吹き飛ばされてしまいターゲットがシオンへ向く。
「ガキがっ!、俺はこのボディに金をどんだけ積んだと思ってんだ!!!」
怒りで攻撃が単調になる。
「病人の掃除だってしなきゃならんのにっ!!、なんなんだこのガジェットォ~!!!」
パキパキッ、とシオンのブレードが割れる。
「ぐっ……!」
咄嗟にシオンの肩を引き寄せ、左手の定規で防御。
定規を支える左手が震える。
「たえっ、下がれ!」
「掃除、完了だァァァァッ!!!」
振り下ろされた一撃。
何とかシオンのブレードが間に合い、2人で受け止める。
金属音が耳を裂き、火花が散る。
「行くぞ、合わせろ!」
シオンの声に合わせ、左手を切り上げ相手の武器をはじき上げる。
勝負は一瞬で決まった。
身を翻しつつ1撃。
いや、3撃、片手を失った無防備の体を切り裂いた。




