第18話 結末
どのくらい時間がたっただろうか、先ほどの男が戻ってきた。
呼吸は少し乱れ、変わったデザインの服は所々破れたりしていたが、大きなけがはなさそうだった。
「うまくいったみたいだな」
彼女の傷口を見て男はやさしく微笑み、こちらに目線を合わせるようにして、180度宙返りをして天井に足をつけた。
この男には、反重力の影響がないのか、髪が地面に向かって垂れている。
「さっきのやつは?」
「俺が倒してきたからもう大丈夫だ。少年、名前はなんて言うんだ?」
「たえ......」
その男は、一瞬ピタッと動きを止めた。
「たえ...か。そうか、君が......」
何かを思い返すかのように、頭のてっぺんから足のつま先に至るまで、男はまじまじと見つめてくる。
「えっと......」
どこかで会ったことがあるのだろうか? この病院に生涯囚われていた俺には、ありえないことだが質問しないといけない気がした。
そして、口を開こうとすると男はフッと笑って言う。
「いい名前だ。それにいい仕事だ。グッジョブ」
仕事? 何のことか一瞬分からなかったが、すぐに彼女のことを思い出す。
「看護師さんッ…たッ助けて!」
「分かってる」
男は一気に深刻な顔になり、彼女の状態を確認する。
「傷は塞がっているが、かなりの出血だな。俺は彼女を治療できるところまで連れていく。それに、他の場所でも襲われてる人がいるかもしれない」
ポケットからボタン付きのデバイスを取り出し、渡される。
「たえ、君たちはここで救助を待つんだ。それでもし、さっきみたいに襲われそうになったら、このボタンを押すんだ、いいね?」
問いかけに首を縦に振ると、男は彼女を抱き上げ早々に立ち去ってしまうのだった。
「また会おう、たえ」
取り残された俺は、何とか立ち上がってシオンたちのいる所へよろよろと戻り、気絶するように眠りについていた。
ここから1週間ほど、この病院で救助を待ったが、ここからの記憶は、ほぼ無い。
そんな俺とは逆に、男は様々な場所で姿を現し、ボロボロになりながらも人々を襲うAIを撃退。
その雄姿に人々は尊敬と感謝を以て彼を‟英雄”と呼んだ。
男は、科学にも精通しており、最先端の技術を凌駕した技術力で、人体に作用する反重力を打ち消すデバイスを開発・量産・販売。
その資金を元手に、World Breaker Coを立ち上げ、英雄・社長・ヒーローなど様々な称号を手にしたのだった。
第2章 完
次から3章に入りますが、ストックがだいぶ前からありません:(
週2回くらいの頻度で更新しますので、付き合ってくれたらなと思います!ではまた~




