少年は帰る
新人です。お手柔らかにお願いします。
2人の悪魔は壊れた存在を愛し、滅んだ。
狂った存在を愛し、敬愛し、親愛し、
少年の魂の糧となった。
「自分の魂じゃ無いのに、使い方がわかるみたいだ。」
少年は呼んだ。悪霊を、身に宿すパイモンの軍団を。
「コウキ、ごめん。今治してあげるから。」
癒しの悪霊を使った。コウキの足が生える。硬まった体がほぐれていく。青白い肌が血色を帯びていく。
「あぁ、コウキ、良かった」
「んぁ?俺、確か…っ!あいつらはどこだ!
あれ?足がある。」
「もう、コウキ。何言ってんの?急に転んだと思ったら、気失っちゃうんだもん。」
「え?は?悪魔は?」
「なに、悪魔って。俺ら人類の敵は神でしょ。」
「…夢か。」
「疲れてたんだよ。きっと。」
「そうだな。帰ろう。」
「ほら、袋持って!」
「(袋も破れてないしな。)」
少年は癒しの悪霊をパシリ、アイスを買いに行かせていた。
時間は深夜1時。この時間に起きている女子高生は少ないだろう。そう思い、コウキとミツキは家に戻る。
「もう!みっくん!兄貴!遅いんだけど!」
「お兄ちゃん何してたの?」
「あ、あぁ。ちょっとな。(まさか転んで気を失ってたなんて恥ずかしくて言えない)」
「コウキが転んで気失ってたんだよ。」
「…おい」
「ヤバイ、深夜のハーゲンダッ◯とか悪魔的なんだけど。」
「はい!みっくん!パピ◯半分あげる!」
「え、良いの?ありがとう!」
「俺のはねえのかよ」
「はぁ…はい、どうぞ」
フタを渡すアン
「クソガキが」
「俺のあげるよ!」
「ミツキは優しいなぁ!」
手渡されるのはフタ
「クソが!」
「んじゃそろそろ寝るか。学校のメールとか来てるか?」
「ここ1週間は休みだって!武道場とか体育館は空いてるみたい!」
「じゃあ明日は稽古だな」
そうして長い1日が終わる。
少年は眠りにつくと、人間の手でできた王座に座っていた。
「お疲れ様です。ミツキ様。」
「お疲れ。ミツキ様」
悪魔達が目の前に跪いていた。
悪霊はオーケストラを奏でている。
「なんか君たち、さっきはもっと人間らしい姿というか、そこまで人間離れした美しさはなかった気がするんだけど。」
「はい、ミツキ様。私たち悪魔は本当の姿を人間に見せてはいけません。人間は私たちを見ると、暗闇に目が奪われ、盲人となってしまうからです。」
「なんで俺は平気なの?」
「ミツキ様は、人間であり人間じゃねェっていうか、なんなんだろうなァ。俺様にもわからねェ。」
「私の見解と、ミツキ様の魂に触れた感想から、確信を持てました。ミツキ様は、アダムの魂を継いでいます。」
「アダムって、あの?」
「はい、あの、アダムです。」
「原初の罪人ってやつだなァ。そりゃア悪魔に愛されるわけだ。欲望に忠実な俺様たちからすりゃァ、アンタ様は最高の主人ってわけだァ。」
少年には疑問が残る。
「じゃあ、なんでコウキは君たちに愛されてたの?」
「恐らく、ですが。ミツキ様の魂に当てられて光っていたのかと。」
「なんだ、俺がアダムならコウキはイブかと思ったよ」
「ハッ!イブのアマはまだ地上を彷徨ってやがるよ。魂の形を変えてな。」
「じゃあイブの旦那さん?の魂を持つ俺は恨まれても文句言えないんじゃ無いの?」
「それは問題ありません。ミツキ様。イブの魂を持つ人間も貴方様同様に原初の記憶を失っております。戻ることもありません。」
「なら良かったよ。」
少年は話す。美しい悪魔達と、愛されているのと同時に、少年は魂ごと彼らを愛してしまった。それは、神への冒涜に他ならない。神はまだ知らない。少年の存在を。
お目汚し失礼いたしました。
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