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Milk Shakies〔ミルクシェイキーズ〕  作者: 青紙 ノエ
 ゆるふわ女子とツンデレ女子と天使な女子 
14/26

 交錯


 今日から私は 演劇部。驚いた事に、同じクラスの砂川すなかわさんも入部していた。

 確か砂川さんって、芹沢君の隣の席だったな。

 クラスの女子に、「いいなぁ~!」と、言われていたけど、そんなにうらやましいのか?


隅田すみださぁん。入部してくれて、ありがとうねぇ」


 おぉ、いのりん! 安定の、ゆるふわ感ですね。

「とんでもないです。先日のいのりん…。ヤバ! 菅原すがわら先輩に感動しましたので!」


 私の返しに、少し考え込むいのりん。

「あれぇ? もしかしてぇ。隅田さんって、私のことを 心の中では()()()()って呼んでいるの? ねぇ。ねぇねぇ?」


 ギクッ!

「いえ! そんな事は無いです!」


「ふぅん。しおりん? 私も隅田さんのことは しおりんって呼ぶね」


 くぅ! たまらん!  この、ゆるふわ感がたまらん!

「はい。お願いします」

「はい。それじゃ、いのりんって呼んで」


 はっ?


「呼んで」

「いっ、いのりん先輩」

「はぁい! なぁに? しおりんちゃん?  ねぇねぇ、なぁに?」


 いやいや。あなたが呼べと言ったんでしょ?


「おい! そこのユリ属性の二人! ウザいからヤメロ!」


 登場したのは 部長の一之瀬いちのせ桃子ももこ先輩。

 この人と いのりん は幼馴染みらしい。いのりんとは まったくの正反対の、イケイケドンドン系女子。その、イケドン女子の一之瀬部長が、号令をかける。

「はーい! それじゃ、ペア組んで! 30分! 発声初め!」


 発声? ペアって…。


「しおりんは 初めてだから、これからずーっと、私とペアね。」


 いのりん先輩?

「はっ、はい。よろしくお願いします。」


 その時、いのりん先輩から、話かけられると同時に、嫌な視線を感じた。その視線のぬし神楽坂かぐらざか先輩。

 彼は二年生だが、 一年生の中でも有名な人だ。マーシャマルアーツ? とかいう格闘技をやっていたらしい。そして、強面こわもてだ。


 私は神楽坂先輩のことを …この人の素性をよく知っている。

 あれは 入学式の日の放課後、この神楽坂先輩に話しかけられた時、私は殺されるかと思った。それは 私が自販機で、イチゴ牛乳を買ったときだ。

 お釣の返却口で、手を滑らせた私は10円を自販機の下に落としてしまった。

 私は 手も入れられない狭さなので、諦めようとした。ところが、現れたのだ。この殺人鬼のような顔をした、神楽坂先輩が。

 そして、私に言う。


「諦めてはいけない」


 その時、私は思った。 校内で犯される?  あぁ。私はこの人に犯されて、焼却炉で燃やされる…。

「ヒャッハッーー!」とか言って、殺されるんだ…。と確信した。


 すると、なんということでしょう。神楽坂先輩は 通りすがりの同級生に、「定規とか持っていたら、貸してもらえるかな?」と言い、借りた定規で、自販機の下に隠れた10円玉を取ってくれた。

 私は 神楽坂先輩と、定規先輩にお礼を言い、犯されて燃やされる前に、その場を逃げた。

 はい。勿論、全速力です!


 それからです、神楽坂先輩は 私とすれ違う度にニコッとしてくる。恐らく、顔ほど、悪いキャラでは無さそうです。


 しかし今は違う! 私を見る目は 違うのだ! 神楽坂先輩から、沸々と煮えたぎるような、憎悪にも似たような、視線…怖いです…。


 そんな時、「新入部員を睨むんじゃねぇ!」と言い放つ、一之瀬部長。しかも、叩き用スリッパで、スパーン! と良い音で、神楽坂先輩を叩いた。

「あと! 発声なんだから! その、黒いマスクも外せ!」

 一之瀬部長が、尚も神楽坂先輩を怒鳴り付ける。

 それに対して、神楽坂先輩は「すみません…」と、か細い声で言う。


「まったく、神楽坂。お前のその黒いマスクな、北斗の拳に出てくる、悪いモブキャラみたいたからヤメロ…。白いマスクにしろ」


 怒られている…。ぷぷ…。マスクの色で怒られている…。ぷぷ…。


 その後、私はいのりん先輩に、部活の色々な事を教わった。部員の紹介もされた。


「隅田さん」

 話しかけてきたのは 砂川さんだ。


「同じクラスだけど、話をするのは初めてだね。これから宜しくね」

 砂川さんって、気さくな娘だったんだな。


「うん。こちらこそ宜しくね。こなた姫」

「何で姫?」


 あっ…。ヤバ…。本人は男子に、姫と言われているのを知らないのか?


「ごめん!  読んでいるラノベに砂川さんに似ているキャラがいたから、つい…」

 んなの、いないけど…。


「本当に!?  貸して! 私も読みたい!」

「うん。読み終えたら貸してあげるね」

 だから! そんなキャラいねぇよ! 空気よめよ!


「しおりん? こっちに来て!」

 突然いのりん先輩は怒ったように言う。


「すみません」

 何で怒っているんだ?


「ねえ、しおりん。これわかる?」


 そう言って、いのりん先輩は幽霊役が着けるであろう、天冠てんかんを見せて、それを私に着けた。


「可愛い」


 嬉しくないのですが…。でも、嬉しそうに私を見るいのりん先輩は可愛いぞ!


「しおりん。私ね、家にたくさんレイアー服があるから、うちに来ない? しおりんに色々と着てもらいたいなぁ」


 マジかー!? いのりん先輩の部屋かぁ! 見たいぞ!


「はい!  でも、良いんですか?」

「うん。それじゃ、明日ね!」

「え?  なんと! 宜しくお願い致します!」


 突然だな…。でも、楽しみだな…。いのりん先輩の部屋かぁ。


 きっと、可愛い部屋なんだろうな…。





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