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序列68位 「燃え上がる」偶像の王・ベリアル ※挿絵あり

 挿絵(By みてみん)




 序列68位 「燃え上がる」偶像の王・ベリアル


 異世界『レメゲトン』に存在する悪魔の国『ゴエティア』に属する72の支配者の一人。

 かつては天上を統べた、現在は80の軍勢を率いる序列第68位の王である。


 天上の世界にて君臨していた時代の彼女は、サタナエルと呼ばれる熾天使であった。

 最も尊き存在であったルシファーに次ぐ、第2位の格を持っており、堕落した現在においては、その名こそ抹消されているものの、我々が抱く熾天使のイメージは彼女の姿のものである。


 熾天使とは、

『3対6枚の翼を持ち、その内の2枚で頭を、2枚で足を隠し、残りの2枚で羽ばたいている』と言われ、その姿はメスガキとなった今も受け継がれている。

 頭には羽根飾り、脚には翼模様のハイソックスやブーツ、そして背中には翼があり、目がくらむような彼女の姿を見た誰もが、「ベリアルちゃん、マジ天使」「ポンコツ可愛い、推せる」と感嘆の息を吐くだろう。

 それは、SNSで失敗して大炎上した現在でも健在だ。


 学校に通う時の彼女は、少しでも風評被害を減らすべく、黒く染めた髪をショートカットで切り揃え、羽根飾りで隠している。

 翼の模様が刺繍されたハイソックスも普通の範囲、ランドセルも『天使のつばさ』と呼ばれる、一般流通品。

「地味な格好で、目立たずに生きていきたい」、それが彼女の心からの願いである。


 ソロモン72メスガキは世界に召喚される際、一般的な家庭環境に初めから存在していたかのように紛れ込む。

 そうして、芸能関係の仕事をする両親の子として扱われているベリアルは、アイドル活動を行っていた時期がある。

 だがそれは、ベリアルの意思に関係なく、非常に適性が高い物だった。


「うそうそ、それ嘘だからぁ~~!!」


 自信たっぷりに見栄を張り、失敗した後で嘘だと訂正する。

 そんな典型的なメスガキムーブが爆発的な人気を獲得するも、彼女は狙ってやっているのではない。


 ベリアルが『不正の器』などと他の王から揶揄され失笑を買っているのは、実力よりも過大評価され、配下から崇められているからだ。

 几帳面かつ見栄っ張りな性格であり、逆に、向上心が無く何事も面倒臭がるルシファーの世話を焼いていた結果、彼女達の功績が混同。

 その大半をベリアルがやったと勘違いされ、多くの信者が生まれたのだ。


 ベリアルは嘘とも本当とも取れるどっちつかずの言動が癖になっており、周囲の悪魔が勝手に期待して付いてくる。

 かつては、ベレト、アスモダイ、ガープと並んでソロモン72柱を従えた時期すらあるが、その時も内心ではビビり散らかしていた。

 それは、助言をした配下が想定外すぎる下剋上を成し遂げまくり、結果、ベリアルよりも強い悪魔が配下に加わり、さらに功績を上げ――、そんな悪循環を繰り返した結果、身の丈に合わない地位に押し上げられたのだ。


 慌てたベリアルが「嘘だった」と訂正しようとするも、実際に良い結果を手に入れている配下は謙遜だと認識し、さらに崇拝。

 こうした事案はたびたび起こっており、過去には、最強格と名高いバエルとの全面戦争にすら発展している。



 *



「あっ……、あんたと決着をつける時が来たようね、バエル」

「そうみたいじゃの。大半のソロモンは敗北し、残すは一握り。こうも見られていては、逃げる訳にもいかんしのぉー」


「うっ……、そうよ!あんたなんて、ギッタンギタンのボッコボコにしてやるんだから!!」

「ほぉぉ?この豊穣の神バエルをギッタンギタンのボコボコにのぉー?」


「ひゅ、あ、ちがっっ」

「まぁよい、名乗りを上げよ。格好を付けるのも上に立つ者の務めじゃ」



 序列争いも終盤、互いに強大な勢力となったベリアル軍とバアル軍が激突。

 互角の戦いを繰り広げた両軍の運命は、頂上決戦という形で、ベリアルとバエルの直接対決に委ねられた。

 絶対に相手の逃亡は許さないと、目が血走っている配下が見守る形で。



「すーはーすーはー……いくわよ!我が名はベリアル、かつては地を焼き尽くした、眩い光と熱を持つ者!!」

「ふむふむ」


「貴様が慈しみ育てた豊穣なる地など、一思いに塵と化してやるわ。このバアル・ゼブブゅッ……、め……」

「……。ほぉぉぉぉぉぉ……?」



 様々な知識を与え異世界の民衆を富ませたバエルは、『バアル・ゼブル(・・・)(崇高なる主様)』と呼ばれ、信奉されている。

 そして、それを知っていたベリアルは少しでもバエルの機嫌を良くする為、媚びを売ってから戦いに臨もうと思っていた。

 まともに戦っても勝ち目が無いからだ。



「まさか、言うにことかいて『バアル・ゼブブ(・・・)』とはのぉ」

「ひぃっ、ち、ちが……」


「この儂の事を、こともあろうに、『クソ山の王』と呼ぶ。ならば、儂の配下はクソな訳じゃな?」

「ひゅっ……」



 緊張しまくっていたベリアルは、盛大に舌を噛んだ。

 そして、バアルゼブブと発音してしまった、ただそれだけだ。


 言ってしまえば、これは偶然。

 そんな不幸は――、ここからが本番である。



「うぉぉぉぉ!!最強と名高いバエルをクソ雑魚って言い切ったぞ、うちのベリアル様がーー!!」

「あっちには武闘派で名高い奴が揃ってるのに、ベリアル様にとってはクソだってよ!!」

「肥溜めの中でじめってるクソ共は、ベリアル様の炎で消毒だぁーー!!」


「ひぃ、や、やめ……」


「殺す。ベリアル徹底的に殺す、ミンチになるまで殺すーッ!!」

「殺すだけじゃ済まさん、殺して食って、クソベリアルにして尊厳も殺すーッ!!」

「殺した後にも殺す。堆肥にして畑に撒いて、育ったベリアル野菜も食って殺すーッ!!」


「ちがっ、うそ……!今のは、う……、ひぃっ!?」



 両陣営の殺意を最高潮に高める挑発により、バエルの額の血管が軋み、ベリアル自身も戦う前から腹部(胃)に重傷を負った。

 そして、ソロモン72柱の歴史の中でも珍しい、血で血を洗う全面戦争が始まったのだ。



「ぶっ殺せッ!!じゃのーーーーッッ!!」

「うそうそうそ、うそだから、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



 *


 そんな過去を持つベリアルは、我々人間を魅了するなど造作もない。

 アイドルデビューした直後から熱狂的なファンを獲得し、動画を配信すれば、SNSで大バズリ。

 彼女自身は訳も分からずドン引きしていく中、なんとなく呟いた「んー、このユニットの音楽は好きじゃないなぁ」が大炎上した。


 誹謗中傷された音楽団体+マスコミがベリアルを叩きまくり、大人のお友達が応戦するという地獄絵図へ。

 なお、その音楽団体が力あるソロモン72メスガキの支配下であることを、彼女は知らない。

ベリアルちゃん、マジ、ポンコツ可愛い!推せる!!と思った方は ↓ の評価やブックマークを、どうぞよろしくお願いします!!

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