世界観 グリモワールとゴエティア ※挿絵あり
ソロモン72柱を識りたいのならば、まずは、かの悪魔達の世界観から語らざるをえないだろう。
悪魔や天使、精霊などが住まう世界の名は『レメゲトン』。
そして、悪魔達が住む国の名こそが『ゴエティア』だ。
『ゴエティア』には巨万と呼ぶにふさわしい数の悪魔が住んでおり、それらは社会性を有している。
我々のように文明を築いているのだ。
そして、その在り方は、人類が持つ貴族社会に近しい。
王、大公、公爵、侯爵、伯爵、騎士、そして総裁。
左から順に爵位が高くなるが、総裁は悪魔達のまとめ役に付けられる称号であり、この限りではない。
なぜ、総裁が特殊な位置付けなのか、また、文献によっては爵位が変わり、地位が低いとされる者が高い者を従えているのは何故なのか?
それは、悪魔達の序列は世襲制などではなく、争いの結果で決まる優劣だからだ。
その為、何度も序列は入れ替わり、
「うわ~ん!昨日まで私の方が上だったのに~!!」
「調子に乗んなぁ!この前は、た、たまたま調子が悪かっただけなんだからねっ!!」
「ふぇぇ……、あ、あなた様が、私なんかの配下ですかぁ……?(汗」
という事が起こっているのである。
なお、総裁とは爵位に関わらず発揮される権威、つまり、求心力やアイドル性のような意味を持つ。
そして、この序列を決める戦いこそが、ソロモン72柱が我々の世界を訪れる理由なのだ。
ソロモン72柱に名を連ねる悪魔達は、それぞれが軍団を持つ貴族であり、それに応じた領地を支配している。
比較的小さい領地しか持ちえない伯爵は侯爵の支配下にあり、侯爵は公爵の――、と続き、現在は9柱の王を頂点とした貴族社会が構築されているが……、それは不変ではない。
数百年に一度、ソロモン72柱全員が一堂に会し、とある儀式を用いて爵位を決める。
悪魔達は直接的な力の比べ合いで、序列の改定を行うのだ。
……だが、ここで疑問に思う者もいるだろう。
小さい領地しか持たない伯爵が、自領を含んだ広大な領地を支配する王に勝つ方法があるのか、と。
普通に考えれば達成しえないその課題を、ソロモン72柱は解決した。
それこそが、『レメゲトン』とは違う世界に自らが赴く――、異世界召喚だ。
その地に赴くのはソロモン72柱の魂のみであり、育てた部下や魔道具などは持ちえない。
さらには公平性を保つ為に己の肉体ではなく、異世界の支配生物、かつ、同一規格で生成された肉体へ転生する。
この条件の下、ソロモン72柱は様々な世界を舞台にして争い、己が爵位を決めて来た。
だが、同一規格で統一された肉体といえど、根底にある魂には違いがある。
武力を誇る者、知力を誇る者、魔力を誇る者……、それらの差は肉体にも影響を及ぼし、優劣を決める大きな要因となるのだ。
また、かの悪魔達の姿が文献によって違うのも、過去に訪れた世界の姿を見せることがある為だ。
異形が支配する世界では、異形に、
獣が支配する世界では、獣に、
意志ある無機物が支配する世界では無機物に、そうしてソロモン72柱は様々な姿を手に入れているのである。
そして、我々の世界にも、ソロモン72柱はやって来た。
先述した通り、かの悪魔達は地球の支配生物『人間』の同一規格で転生した。
それは、身体能力のバラツキが少ない女性であり、なおかつ、肉体的な成長の余地がある状態、年齢10歳~15歳の少女、
『通称 ー メスガキ ー』
こうして、ソロモン72『メスガキ』は、我々の前に顕現したのである!!