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乙女ゲームの世界から転生しました

作者: ゆき

雨が降っている。

と、思う。

でもそんなのはどうでもよかった。

目の前には愛しいあの方がいて、体はあちこちが痛くて、口には布が巻き付けられているため何も話せない。

彼は、私の元婚約者のビシアは、剣を振り上げて言う。

…あの子、平民のミーナを背に庇いながら。


「…さらばだ、悪役令嬢ソフィア」

嫌ですわ、死にたくなんてない!

わたくしが何をしたって言いますの!

「…あの世で後悔するんだな。2度と目の前に現れないで欲しいものだ」

なんで、なんであの子を、ミーナを庇いますの?!わたくしは、わたくしはただ、あなたが好きn…


その瞬間、目の前が暗くなった。


〜〜〜

「…っは!?死んで、いない?わたくしはソフィア?いや、私は、私は相田、空で、」

ふっと横をみると鏡があって思わず覗き込んだ。

そこに写っているのは紛れもないただの日本人女子高校生、相田空だった。

今のは、夢ではない、はず。だって切られた感触は鮮明で、想いも嘘ではなくて、あの子に対する憎悪もあの時の絶望も、悲しみも、苦しみも、全て夢であるはずはないのだから。

「転生?」

そうか。こんなこと本当にあるんだ。

つまり私の前世はどっかの国のソフィアという人物だということだ。多分。

「…」

まあ、いいか。今世では楽しく生きてやろうじゃん。

「うお〜!もうあんな婚約者こっちから願い下げですわ〜!!!さあてと、学校に行きますわよ!じゃなくて行くぞ〜!」


今世では楽しく生きてやります。後悔なんてしないですわよ?ビシア。


私、相田空には最近ハマっているものがある。それはいわゆるライトノベルという本で、悪役令嬢もの、無双ものとジャンルは似通っていてもどれも個性溢れておもしろい。母からは芥川とか読めってよく言われるがそんなもの気にしていない。そしてその影響で最近乙女ゲームというものにもハマっている。

「さあてと、最近出て話題の新作乙女ゲーム| 『トゥラストワールド』をやりますか〜!」


これは最初に主人公をヒロイン以外にも設定できるということで有名になった。

それは悪役令嬢。しかし、そのルートは激ムズということと、内容や悪役令嬢の性格などから話題になっただけで人気ではないらしい。未だこのゲームを攻略した人はいないそうだ。

ただ、普通にヒロインのルートは面白いので、そっちが人気だ。


「さあてと私はどっちでやろっかな〜えっと?ヒロイン:ミーナと悪役令嬢:ソフィア、どっちを選びますか?…ん?」

あれ?どっかで聞いたことあるぞ?

ミーナにソフィア…まさか?

「そんなわけないだろ〜ははは。えっと〜メイン攻略対象:ビシア…」

「わたくしの前世ではありませんこと!?」


普通逆じゃありませんこと〜?!普通は、こちらの世界から、乙女ゲームの世界に転生して前世の知識を活かして色々予知して誰かどっかの王太子に溺愛されるもんじゃん!

おかしいですわ!


「…こうなったら、一番にハッピーエンドを攻略してやりますわ!前世の知識を活かして!オーホホホホ!」


「…空?大丈夫?」

「ふぁ!?み、美奈、なに?」

「さっきから変な言葉遣いして、変なこと言って、とうとう気でも狂った?」

「ちょっと!それは、まあ、色々あるんだよ…。でも、気は狂ってません!」

「そう?それならいいけど」


あああああ失敗した…ここは学校だった。でも記憶を思い出してからなんとなくふわふわして常識とかも頭ではわかってるのにできない…。

ちなみに美奈は私の友達だ。


「そういえば空、『トゥラストワールド』はどうだった?面白い?」

「いや、今から」

「そうなんだ…」

「私ね〜悪役令嬢ルートから始めることにしたの」

「まじ?!難しいって噂じゃん!確かソフィア、だっけ…あれ?ソフィ、ア?」

「美奈?」

「いや、なんでもない!」

「ならいいけど…よし、始めますか〜」


〜〜〜

『トゥラストワールド』

ソフィア:今日は学園の入学式。婚約者のビシアと登校できるなんて…。これから楽しくなりそうですわ!

「ビシア、今日からよろしくお願いしますわ」

ビシア:「ああ、よろしく!これからどんな出会いが待ってるんだろう!」


チャーンチャチャチャ〜


ソフィア:今から入学式がはじまるわね…学年挨拶はビシア!さすがですわ

「ビシア、挨拶、頑張ってくださいませ」

ビシア:「当たり前だ!ちゃんとできるか不安だけど、ソフィアが見てるなら失敗はしないさ!」

ソフィア:「あらあら、ふふふ」

〜〜〜


「…」

確かに入学式の時はこんな感じだった。ビシアは優しかったし、嫌われてはなかったと思う。アニメ風になっているからわかりやすいが、この表現だとビシアはソフィアが好きなようだ。

…本当に、そうだったのだろうか?元々は、ビシアもわたくしのことが…


「空?」

「なんでもない」


大丈夫よ、ソフィア。あなたは私の化身…絶対に幸せにしてみせる。

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