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短編 74 魔剣エクスカリバー

作者: スモークされたサーモン


 サラマンダーショックでこんなのも出来ました。


 毒気が抜けましたねー。




 わたち、えくちゅかりばぁなのよ?


 おそれうやまえー! ひれふしゅのらー!


 わたちがきたからにはせかいはこんちょんにつつまれるのにゃー!


 きゃはははははははは!






 ……我はエクスカリバー。


 伝説の聖剣である。この前の忘年会でちょっと羽目を外しすぎた世界で一番有名なソードである。


 忘年会の翌日。朝起きたら正宗たんと村雨たんに超怒られた。


 ちょっと泣くレベルで怒られた。


 二人は真面目過ぎると思う。年に一度の忘年会なんだから少しの羽目外しくらいは許してほしい。


 一緒に騒いでいたグラムと村正は逃げた模様。あいつら覚えてやがれ。


 そんなわけでエクスカリバーである。


 出身はブリテン。


 素材は鋼。


 切り裂くというよりも叩き切る事を主眼にした打撃系ソードが我である。


 正宗たんと村雨たんは切れ味に特化した刀だけど、うちらは『ずっ友』なのだ。仲良しさんである。スイーツパーラーで、きゃっきゃっうふふをする仲である。


 剣と刀で喧嘩する奴等もいるけど、我らはそんなことをしない。我の方が一方的に弱いからだ。


 なにあの切れ味。頭おかしくない?


 我はエクスカリバー。世界で最も有名なソード。


 でも実は普通の剣。


 それもショボい剣。


 我が作られたのは西暦にすると五世紀辺り。


 しかもブリテン。


 治金技術を舐めるでないよ?


 玉にすごいのも作られた時代でもあるけど我は普通の剣だった。普通の職人が作った何の変哲もない剣。


 それが我。


 聖剣とかアーサーとか色々言われてるけど……あれは全てが創作である。確かにアーサーっぽい奴に使われていた時もある。


 山賊男のアーサー(仮)な。


 あいつは剣よりも斧を好んだ。あと棍棒。それと投石。我は控えの武器として背中に背負われていた。


 お洒落枠としてな!

 

 アーサー(仮)は山賊ではあったが男気に溢れた立派な髭男だった。


 あっさり死んだけど。


 そこから我のエクスカリバー伝説が始まった。


 あの山賊アーサーの使っていた剣。


 あの斧と棍棒しか、ろくに使えない髭男アーサーの使っていた剣。


 最初は笑いの種として。


 我は所有者を転々とした。


 使われていないので普通に綺麗だった。あの頃の我はまだ汚れを知らぬ乙女であったのだ。


 いつからか我は剣としてではなく『お守り』として扱われるようになっていた。


 これが我のエクスカリバー人生の始まりだった。


 我の噂を聞き付けた作家が我の謂れを元にして『聖剣エクスカリバー』は生まれたのだ。


 ……我は光らないよ? 切れ味悪いし。王位の証明とかマジで勘弁して。持ってた人は尽く悲惨な最後を迎えてるから。


 殺してでも奪い取る!


 我はそんな人生を生きてきたのだ。剣としてな。むしろ魔剣であるな。


 今の我は、とある博物館の倉庫に眠っている。あくまで資料として。


 誰も我をエクスカリバーとは思っていない。まぁエクスカリバーなんて代物は創作ですし? でも元祖エクスカリバーは我なのだ。


 アロンダイトの野郎は偽物だ! あいつは詐欺師なんだよ! なんだよあの乳パッドは! 盛りすぎじゃねぇか!


 野郎、細身の体を自慢しやがって。こちとらてめぇよりも八百年は歳上なんだぞごら。創作物のくせしてよ! ちったぁ敬えやクソガキが! 刀身が錆びててもう抜けねぇんだよ! 五世紀生まれの鋼の性能舐めんなよ!


 ……とまあ、我にも色々あるのだよ。


 エクスカリバーという概念が一人歩きしてて笑うしかない。


 それでも我がエクスカリバーなのだ。エクスカリバーの始まりとして、我がエクスカリバーの代表になるのだ。


 あとに生まれたやつらの方が圧倒的に格好いいので陰口とかすごい。


『ぷーくすくす。なにあれダサーイ』


『あんな錆びたゴミがエクスカリバーなんて名乗らないでほしいわよねー』


 なんてのが日常である。

 

 ……。


 びえーん! 正宗たーん! あいちゅらがいじめゆのー! びえーん! 





 我はエクスカリバー。


 畏れ敬え。そして我が前にひれ伏すが良い。


 我がもたらすは平和に非ず。


 世界に闘争と混沌をもたらすものなり。


 明日は新年会。お年玉をみんなに貰うのらー! きゃっふー!


 畏れ敬え。


 あたち、えくちゅかりばぁー! えらいにょー! お年玉をよこちゅのらー! うぃー!




 今回の感想。


 お酒は簡単には抜けません。


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