にっっじゅっいっちわめ:ハクとレア
最初は
「サブタイ考えんのメンドクセー」
という思考の下『いーちわめ』で楽してたのですが、ここまでいくと打つのダルいんですよね。まぁ、普通に考えるよりは楽なんで良いんですけど。
3章に突入したらどうしようかと悩んでいます。候補としては『・- ・--・- ・・-・ -・- -・・・-』というモールス信号。分かりにくさアップですね。
※副題更新
昼過ぎの頃、レオガイアがハクの屋敷に訪れる。裏口から入り、罠を掻い潜って部屋の前に辿り着いた。
三度のノックをするも、やはり返事は無かった。いつもの事なので声を掛けて入室する。
「......ふへへ......チクッと、しますよ......」
「ふーっふーっ!?......ふごっ......」
「ふーーっ!!」
「......睡眠薬、良し......次は......」
部屋に入ると、何かしらの拘束を施された4人の男が目に映った。その傍にハクは座っており、手には注射器のようなものが見える。
1人の男にその注射器を刺した。男は数秒だけ暴れ、そして脱力して崩れ落ちる。それを見てハクは満足そうに頷いた。
「ハク......何やってるの?」
「......あ、レア......いらっしゃい」
「あぁ、うん。お邪魔してるよ」
声を掛けると、ハクは手を離してレオガイアに振り向いた。男達は驚愕の表情を浮かべ、次に助けを求める目でレオガイアを見つめた。
「......治験」
「へぇ、それで、その被検体はどうしたのかな?」
懇願の眼差しを向けてくる男達を見下ろしながらハクに訊ねた。ハクを引き寄せ、男達から離す事を忘れない。
「......ネズミさん......捕まえた」
「鼠......鼠ね。見た事ある顔の鼠達だ」
怯えた顔をする男達はどれも見覚えのある顔だった。彼らは冒険者ギルドに屯している男達。他人に嫌味を言うことしか脳のない、薄汚い駄目人間達である。
「......え......やっぱり、知り合いさん......?」
「いや、顔見知りってだけだよ。親しい仲じゃないから大丈夫......」
「......良かった......」
ハクは安堵したように言葉を呟いた。その、一瞬だけだが男達に見せた気遣いに違和感を覚えた。
「ハク。少し説明して欲しいな。さっき"やっぱり"って言ったよね?どういう事なのかな」
「......ん......?えと......」
首を傾げるハクに問い詰め、説明させる。そして起きた出来事を大雑把に理解した。
「はぁ......僕を信用してくれているのは嬉しいんだけど、そこまで安売りして欲しくはないかな」
"レオガイアの知り合い"というだけで罠を解除し、ここまで連れて来てしまったと聞いてため息を吐いた。何故こうも素直なのか。思えば、レオガイアとも出会ってまだ数日だと言うのに、長年の親友バリの信頼を置いているという事実もある。
ハクが襲われた事への心配よりも、その素直過ぎる性格に対して心配してしまった。
「......ごめん......?」
「いや、今回の出来事は明らかに僕のせいなんだ。この屋敷に出入りしている所を見られてしまったようなんだ。ごめんね」
「......あうあう」
ハクの頭を撫でながら考える。このままだと再び強盗が現れるかもしれない。この街には他者の蜜を舐めようとする暇人が多い。その可能性は十分にあった。
「今後も不届き者が来るかもしれない。警戒しないと」
「......大丈夫......防犯は、完璧」
ハクはその平たい胸を張る。表情こそ見えないが、どうだ見たか、というハクの態度にレオガイアは苦笑した。確かに捕まえられたかもしれないが、逃がしているじゃないか、という言葉飲み込んだ。
「はいはい。完璧だね」
「......んっ!」
そう言ってやるとハクは満足そうに頷いた。そして頭を撫でれば大人しく撫でられる。
レオガイアの脳裏にあの女の顔が過った。嫉妬深く、執着心の強い女。ハクの存在を知ればどのような行動を取ってくるか、検討も付かない。
「ハク。僕には知り合いなんて居ない。だから、これからは捕縛したらそのままにしておくんだ。良いね?」
「......うん」
あの女がハクの前に現れて、ありもしないことをペラペラ言われることを想像してしまった。ハクがそれを鵜呑みしてしまえば、最悪な事になりかねない。
「よし。とりあえず、この人達を処理しようか」
「ふーーっ!?」
レオガイアが男達に視線を向けると、涙を流しながら声を出した。それは恐怖を覚えた人間の反応だった。
「なんでこんなに怯えてるんだい?薬を試していただけだろう?」
「......魔法の......練習もしたから、かな......?」
ハクな首を傾げながら答えた。彼等が恐慌に陥った理由を把握はしていないらしい。
「......でも......腕を切り飛ばしたり......した、だけ......だよ......?」
段々と声が小さくなっていくのは、それがあまり良くない事だと理解しているからだろう。ただ、素直故に吐いてしまい、口にしながら後悔しているということか。
レオガイアは少し考え、口を開いた。
「そっか。それならハクは悪くないね」
「......うん......!」
嬉しそうに頷くハクの頭を撫でながら、やっぱり単純だな、と苦笑する。
「それじゃ、僕が後で出すとこに出しておくから、今は外に放り投げておこうか」
「......分かった」
ハクは指を動かし、魔力を操作して男達を宙に浮かせた。そして窓から外へと放り出した。
此処は屋敷の2階。そこそこ高さはあるものの、彼らも冒険者の一端だ。少し捻挫はするだろうが、死ぬことは無いだろう、とレオガイアも気にしなかった。
部屋に2人きりとなってからハクが、そう言えば、と言葉を呟いた。
「......レアって、ぼっち......?」
「......」
ハクの呟きに対し、レオガイアは無言になった。
「......レア......?」
沈黙を続けるレオガイアを見上げる。顔は何時ものように笑っているのだが、目が少し笑っていないことに気が付いた。その目を見て、ハクは何故か身体を震わせる。嫌な予感を覚えたのだ。
「ハクはケーキを食べたくないようだね」
「......え!?......まって......ごめん......謝るから......ケーキ......ケーキ......!」
「あーあ。今日はチーズケーキを買ってきたんだけど、僕1人で食べよっと」
「......うーっ!......ごめん......ごめん......!」
ハクの言葉を無視して、レオガイアは席に着いて紙箱を開ける。そして自分の分だけを取り出してハクの前に持っていった。
「......ケーキ......!」
釣られたハクが手を伸ばした瞬間に上へと持ち上げ、手の届かない所へと運んだ。
「さてと、フォークは何処かな」
「......レアぁ......!ごめんなさい......!」
それから暫くハクの懇願を堪能したレオガイアは、フードを外す、という条件の下ケーキを許可した。




