メタモルフォーゼ
お腹を一杯にした所で、次に何をするかという話になった。
優真「やっぱり紗希さんの服を買わないと」
「そうね、帰る方法を探さないと……って、え?」
優真君の発言に耳を疑う。
私の服?
元の世界に帰るのに必要なくない?
優真「ここで生活するのに、紗希さんのスーツ姿や僕のパーカージーンズ姿は混乱などを招きかねないと思います。」
あ、ちょっと正論…
「うーん、確かに」
優真「じゃあ買いに行きましょう!」
半ば彼に強引に引っ張られながら食堂の隣にあった服屋に入った。
…いや、こういう世界では装備屋って言うのか?
中に入ると服が掛かったハンガーラックが並んでいた。
店員「いらっしゃいませ」
店員は割と顔の整った人で、やはり異世界でもアパレル業界は美人がやるものなのか。
優真「よし、じゃあ紗希さん好きな服選んでいいよ」
「え…でもそんなに優真君に頼る訳には…」
食事代まで支払って貰ったのに服まで買ってもらう訳には。
優真「でも紗希さんお金無いでしょ?」
「ぐっ…」
確かに。ここでは優真君を頼るしかないのか…
優真「なんなら俺が選んであげますよ」
「いや、頼んでな……」
言い終わる前に優真君に遮られてしまった。
優真「じゃあ、これとこれとこれに着替えてきて下さい」
数分経って優真君が服を選んできた。
なんかいっぱいあるな…
試着室があるようなので、そこに入って選んでくれた服に着替える。
鏡に映る自分を見て幻滅する。
目の下にはクマが出来てるし、肌荒れもスゴい。メイクもほとんど落ちている。
最近疲れていたから、ここで過ごすのはいい気分転換なのかも。
ほっぺたをつねり、気合いを入れる。
よし、着替えよう。
再度鏡に映る自分を見つめる。
水色のフリルが着いたワンピースにベルトを巻く。
これだけでも充分変身したのだがおまけで茶色のパンプスとダイヤのように輝く宝石が散りばめられたネックレスまでついてきた。
なんか、若返った気がする。
着替え終わってカーテンを思いっきり開ける。
すると先程までパーカーにジーンズ姿だったはずの優真君がいた。
「優真君も着替えたの?」
優真「はい。似合ってますか?」
優真君は青いシャツに黒のベストがきまっていてスタイルの良さがよく分かる。
「うん。すごく。」
優真「紗希さんもめちゃくちゃ似合ってます」
…そんな王子様スマイルで言われたら世の女性は皆虜じゃないの?
想像力が無いのでこういう世界の服を考える時はドラク○の最初の村とかで出てくる村人を参考にするしかありません。ですがそれだと田舎臭過ぎるし、かといって城とかにいる女王のドレスを参考する訳にも行きませんでした。
難しいですね。