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95 ネックホールダ―男爵の友との和解(その19)

ネックホールダ―男爵のターンに戻ります


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「そういえばこの前貰ったパイプは良かったよ」


寄り親の伯爵様が感謝してきました




「よろこんでいただけて幸いです」


そう男爵オレは答えた





実はこの前、『旅人(の葉)』を吸う為に陶器製のパイプを伯爵様に献上したのだ


この国にはない逸品


喜ばないはずはない





大抵は木で出来たパイプを使う


でもそれは結構高い


手作業で刳り抜くのだから当然だ


さらに二スで塗って乾かしてと手間が倍になるからな






もっとも貴族は見栄でできているようなものだ


高くても木で出来ったパイプを使っている






御当主様(父親)、夫人(母親)、息子、娘


平均すると家族4人


酷ければ子供が8人(庶子含む)とかザラだったりする


X貴族家数


X消耗品


おかげで男爵おれはがっぽり儲けた







ちなみに庶民の場合はコーンパイプだ


南の方から食料として輸入するコーン


実の部分を取った後の芯の部分を輪切にした後くりぬいてパイプにするんだ


元は廃棄するものなのと、自分で刳り抜くからタダ同然だ





・・・ちなみにパイプがない場合、庶民は『旅人』を直接口で噛んで吐き捨てる





もっとも貴族はそんなことはできない


なにせ家にいるメイドは世間話が好きだと相場が決まっている


直接『旅人』を噛んで「ペッ」と吐き捨てたら翌日にはかなりの範囲に広がっているだろう


コーンパイプでも以下同文だ






だから貴族は家にいても心が休まらない


・・・男爵おれなんか、婿養子なので、妻と義理親が更に加わるのだ


もう悲惨の一言だな






そんな所で誰も見たことがない陶器製のパイプを使ったらどうなるか


次の日には全貴族が知っていることになった


・・・貴族の情報収集はハンパないな






見栄と建前で生きている貴族はくしゃくにとっては近年まれにみるアドバンテージ


そりゃ喜ぶわな


そして献上した男爵おれに感謝の一つでも言うとういうもんだ





なにせ一緒に苦労した仲だ


いわば戦友


たとえ戦いが伯爵様からの依頼という名の命令で始まったものであったも、だ





いや上位の伯爵様の方が男爵風情とは比べものにならないくらい忙しいのが判った


怨まないぞ


いやむしろ迷惑を押しつけてごめんなさい、だ


これまでの感謝を含めてパイプの一つでも送るくらいは安いものだ






・・・実は木よりも高い陶器製のパイプを大々的に売ろうとしたんだ


ガッポガッポのウハウハを狙ってだ


商売というのは儲け始めたらさらに儲けようと思うものなんだよ





そうしたら私設執事が伯爵様に送ることを提案してきた





せっかく最近は関係が良くなったのに、こじれるとやっかいになる


伯爵様の気まぐれでやっかいごとをまた持ってこられた面倒だ


だから機嫌をとって自慢してもらいましょう


そうすると見栄っぱりの貴族はこぞって買うでしょう


執事がそう言った





・・・ウチの執事はハンバないな


男爵おれよりも貴族のことが判ってる(苦笑)







やってみたら実際そうなった


今、伯爵様から感謝され中




これはさらなる儲け話につながるかもしれんな


やっぱり商売はやめられないな



たとえ貴族らしくないといわれても、だ


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マッカーサー氏はコーンパイプがトレードマークだったと記憶していました


長年そういうブランドのパイプがあると勘ちがいしていました


まさか本当にコーンの芯のパイプだと知りませんでした

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