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93 ネックホールダ―男爵の友との和解(その17)

まだまだネックホールダ―男爵のターンです


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「では仲直りをするということで今後は『旅人(の葉)』を金貨5枚で子爵様にお売りいたします」


通常は金貨1枚のところをふっかけた




「うんいいね、これで解決したということで良いな」


伯爵様が乗ってきた




そりゃそうだ


伯爵様の夜会という難題を一緒に切り抜けた仲だ






どこかの


謝らない


そのくせ親族が解決を押しつけてくる


そのくせ自分からは絶対に解決に動かない


子爵様と比べたら誰でも有能にみえるというものだ






今まで子爵様に『旅人(の葉)』を売らなかった


おかげで子爵様とその親族と友人は他の貴族から10倍の値段で買っていた(らしい)


これは手の者に調べさせたから確実だ


・・・男爵わたしの雇った私設執事は本当に有能だな




そこを半額で手に入るというのなら安いものだ


相場の5倍だがな




伯爵様のメンツを立てながら


子爵にイヤガラセをする


なんか制約があると次々にイヤガラセのアイデアがでてくるぞ?





そういえば伯爵様の夜会の手伝いをしてから貴族としての本能に目覚めた(ような気がする)


笑顔で握手しながら、空いた手でナイフを突き立てる


そんなのが息をするくらい普通にできるようになった(気がする)




(寄り)子は(寄り)親の背中を見て育つという格言は本当だったんだな







本当の所、秋になったら『旅人(の葉)』は大量に入荷するんだ


男爵おれは運ばれてきた『旅人』をこの国で売るだけの存在だ


所詮歯車の一部にすぎない


・・・まあ貴族から裕福層、はては荷運びのあんちゃんに至るまで幅広く販路を持つから代えが聞かない存在ですけどね




でも売れると判ってからの『旅人』の栽培者と加工者は増産に踏み切った


要は栽培面積を増やした、だな


現在はすくすく育っているので秋以降は大量に入荷する予定だとか




そうすると子爵様へも今より安価に『旅人』が廻るかもしれん


いや確実に廻るだろう


だったらその前にツバつけておこう


そう言う訳だ




・・・人を陥れる策を即座思いつくオレが悪いのか


そんなのに育てた伯爵様が悪いのか


どちらだろうな




まあ子爵様の顔は引き攣っていたので満足だ


喜んで貴族あくになろう




・・・いや産まれたときから貴族なんだがな

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