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86 ネックホールダ―男爵の友との和解(その10)

寄り親貴族の父親、つまり先代目線です


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「あいつはまだまだのようだな」


ワシが言うと執事が同意するように頭を下げた




・・・その反応をみてホッとした


賢者が隣にいるというのは得難いものだ





執事はワシの父、ワシ、ワシの息子と三代に渡って仕えている


そのためワシの執事であると同時に教師でもあった




なにせ怒られる時には


「ぼっちゃん」


だったからな




まあその厳しい指導?のおかげでワシはなんとか伯爵家の当主を勤め上げることができた


もう感謝しかない




バカ息子に家を潰されるなんてことは貴族家ではわりとあることだ


鵜の目鷹の目で人の粗を探して、足を引っ張ろうとするのが貴族である


そしてちゃっかり財産なり領地なりを横取りする


ほんの少しの油断が命取りになるのだ





隣で自分の意見を聞いてくれ、間違いがあれば正してくれる存在しつじは本当にありがたい


口に出して言うだけでも自分なりに確認になる


その上、先代の隣に居て貴族間のドロドロした世界を実際に経験してきた生き字引となれば言うことはない





高齢であるにもかかわらず幸いなことにワシの息子にも使えてくれることになったのは本当に喜ばしい




人生経験が少ない息子は多少、いやかなり不安があった


ワシも伯爵家を継いだ頃は同様だっただろう


でも父が付けてくれた執事の支えもあって無難に務めることができた





だから息子にも執事を付ければなんとかなるだろう


そう思っていた





ところが息子がやらかした


仲裁に失敗したのだ




子爵家と男爵家というどこにでもある下位貴族のトラブル


そう思い、いつも通り伯爵家の威光で黙らせた




男爵はいま一番勢いがある所でなければ成功していただろう


いや、念には念を入れてきちんと調べておけと言いたい


執事から口を酸っぱくして教えられていただろうに


・・・すくなくともワシはきちんと教えられていたぞ




執事が言うには最初はきちんと調べていたそうだ


でも慣れてくるとやらなくなったそうだ


それでも運が良かったせいか失敗しなかった


それに味をしめて手を抜くようになった


そして今回失敗をした



・・・ワシはどうやら息子の教育を失敗したようだ






事態を放置していた執事はというと


「一度痛い目をみないと成長しません」


だそうだ




・・・そういえばワシも手痛い失敗をしたな


いや執事にわざと見逃されて、だ





そのおかげで成長したのを思うと必要悪か?


いや、でも今回はマズイだろう『旅人(の葉)』がかかっているのだ




さあどうしたものか?




執事を信じて任せるか


息子に(嫌がられれるだろうが)忠告をするか


それともワシが乗りだすべきか



正解はどれだ?

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