79 ネックホールダ―男爵の友との和解(その3)
男爵様の従者の目線です
前にも書きましたが主人公の手下です
でも人手不足の男爵様に貸し出し中だったりします
人はそれをスパイともいう
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「旦那様、スカーフェイス子爵への対応はいかがいたしましょうか?」
スカーフェイス子爵の伯父を名乗る貴族が帰ったので聞いてみた
「もちろん、今まで通りだ」
男爵様が答えた
返事だけは凛々しかった
ソファーに寝転がり溶けている態度でなければ、だ
一仕事終えたからといって、だらけ過ぎである
まあかなり怒っていたから仕方がない
あれだけ怒れば疲れもするだろう
しかし旦那様の友人はクソすぎる
人を、いや世間を完全に舐めきってやがる
ついでにその伯父とやらも、だ
一体何しに来たんだ?
と言いたい
旦那様を不愉快にさせにきたのか?
壁際に控えて聞いていたが本当にそう思った
もっとも使用人なので置き物に徹したがな
大体爵位なんてものは先祖が偉い、それだけの存在だ
誇っている本人は産まれてこの方、なんの功績が無い
・・・男爵様の下で働いているけれど、未だかつて功績がある人間を見たことが無いな
まあそんな貴族様が押し掛けてきて一席ぶちまけたんだ
旦那様はおかげ?で疲れ果ててソファーに寝転がっている
一応言っておくが旦那様はまともだ
貴族として厳しい態度をとるものの、非道をするわけではない
余った菓子を使用人に下げ渡すなど、きまえもいい
まずまずの仕事場と言える
・・・もっともあの方には敵わないがな
執事とメイド(いもうと)を悲惨な生活から救い出してくれた
それだけでなく仕事と教育を与えてくれた
それでいて一切の見返りを求めない
まさに女神だ
いや見返りはあったな
「普通に仕事してちょうだいね」
・・・一体いつになったら恩を全部返せるのだろうな
まあ、とりあえず男爵様を手助けするという女神様の命に従っておこう
あの方のやることに間違いはないからな




