78 ネックホールダ―男爵の友との和解(その2)
男爵様の回想です
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寄り親の貴族から疎遠になった友(スカーフェイス子爵)と仲直りをするように言われた
まああれだな
『旅人(の葉)』を寄越せ
早い話、そういうこと
アイツだけでなくその親戚まで血縁まとめて売ってやらない
欲しければ自分で他の人から(高値で)買いとれ、だ
ちょっとした嫌がらせ
アイツが苦しんでいるかと思うだけで気分が良くなるからな
まあ、あからさまにやっていれば当然相手も判る
アイツは自業自得だが、その他の面々はとばっちりだからいい迷惑
当然リアクションがある
あれはいつの頃だったかな
家出している頃だったからちょっと前?
いや、結構長い間家出していたから大分前か
常宿にしているホテルに貴族が訪ねてきた
アイツの伯父を名乗る壮年の貴族が
「フランツのことを許してやってほしい」
と言って頭を下げてきた
本人が謝罪に来ずに身内にやらせる
一体どういうつもりだ
仲直りする気があるのか
正直に言ってやった
年上だろうが関係ない
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、だ
それに御貴族様に睨まれても、もう怖くないしな
金があれば何とか生きていける
いざとなれば平民になって商売したっていい
だから本当に怖いモノはない
・・・金って最強のアイテムだな
時にはオブラートに包んで、
時には直接的な表現でそう言ってやった
もちろん嫌がらせだ
どんなに怒っているか、を懇切丁寧に説明した
・・・最後には顔が青ざめていたな
どうやら子爵様、詳しい事情を話していないようだった
まあ言えんわな
暴言吐いたせいだなんて
若気の至り、ここに極めリ
でもよく知らずに和解に来れたものだ
感心すれば良いのか、呆れれば良いのやら
判らないから聞いてみた
もちろん嫌がらせも兼ねて、だ
「・・・」
聞かれた伯父さまは汗ダラダラだったのが笑える
あまりにも面白すぎるので、一瞬許しちゃおうかと思った
・・・しなかったけどな
おかげ?で寄り親から『仲直りしろ』とお願い(命令)されちゃったわけだ
直接男爵に許しを請うのは無理そうだから、裏から手をまわしたわけ、だな
反省も後悔もしていないが面倒だと思った




