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73 ネックホールダ―男爵の帰還(その2)

男爵様のお話です


------------------------------------------------------


「一体何が不満だというのっ!」


妻がキレた




「・・・」


無言で黙々と朝食を食べる男爵オレ




義母と妻と娘が睨んでいる


空気が最悪


でも構わずに食べ続けた








状況を説明しよう




昨日、家出から帰ってきた


寄り親からの命令で強制的に、だ




仕方がないので最低限の荷物 ~『旅人(の葉)』の販売のための書類と着替え~ を持って帰宅した


あ、後は仕事のために個人的に雇い入れた使用人が2人ほど





昨日の夕食は家出なんてなかったかのような雰囲気だった


でも男爵オレからの印象は最悪だから無言で食べて、早々に部屋に帰って仕事した


・・・仕事が本当に山積みなんだよ





『旅人(の葉)』の受け入れと購入費の支払い


保管するための倉庫の借入と盗まれないようにするあめの警備の人間の手配


その警備の人間の雇い入れと、身元の調査





『旅人』を小分けするための人間の手配と、以下同文


新しい『旅人』を作るための薬草やらを集める人間の手配と、以下同文


貴族の屋敷に配達するためにある程度の教養をもった人間の手配と、以下同文


雇った人間の査定と給料の支払いをする人間の、以下同文


人が多くなれば不正ぬすみをする人間も出てくるので、以下同文


・・・朝起きてから寝るまでまったくプライベートな時間が無いと言ってよいだろう






それなのに男爵家じたくに帰るというイベントで無駄に時間を食いつぶす


寄り親のワガママにも困ったものだ


・・・『旅人』関係で貴族から苦情が出てきたら寄り親のせいにしてやろう




そんなことを思いながら家族つまたちを無視して朝食を食べ続けていたら妻がキレた


・・・自分が好かれているとか無条件で思っているあたりが厚かましい




でも何も言わない


言っても無駄だから




話に付き合うと損をする人間というのが存在する


そんなのにレベルを下げて付き合うとかあり得ない


自分勝手な理屈を言った上、自分に都合のよい話しか聞かない


時間と労力の無駄だ





そんなのは相手をせずに無視するに限る


それが最善手




男爵なんて貴族の位からしてみれば最下層だ


でもだからと言って無能だというわけではないんだよ


ついでに入婿も、な




一通り学院で勉強してきているし、30年も生きていればそれなりに世故にも長ける


おまけに足を引っ張るのが仕事と言っても過言ではない貴族の端くれなんだ


それなりに何でもできる




爵位だとか入婿だとかで遠慮しているのをいいことに見下し格下扱い


そんなのは砂上の楼閣だというのが判らない程バカなのが笑える





・・・本当に結婚というのは人生の墓場だな

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